2024.05.12

CARS

「走ることが大好きなクルマ通からすれば、正真正銘の天国」 モータージャーナリストの国沢光宏がポルシェ911GT3 RSほか5台の輸入車に試乗!

モータージャーナリストの国沢光宏さんがエンジン大試乗会で5台の輸入車に試乗!

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ヒョンデ・コナ・ラウンジ2トーン「気になるのはデザインだけ」 

世界に先駆けてリチウムイオン電池を搭載した電気自動車を市販した我が国ながら、モタモタしているうち、テールエンダーに近いポジションになってしまった。ウサギとカメの寓話は、先行して昼寝しているウサギが地道に進むカメに負けるという話だけれど、昨今の世界情勢を見ると、日本勢は先に出発したカメ。ヒョンデって遅れて出発した昼寝をしないウサギというイメージ。コナのスペックは現在販売しているすべての日本製電気自動車より優れていると考えます。航続距離はWLTCモードで625km(ヴォヤージュ)。アクセレレーターを踏めばパワフルに加速するし、乗っていて何のストレスも無い。489万5000円のグレードならBOSEのオーディオからサンルーフ、世界最先端のナビ・システムまで標準装備する。唯一にして最大の弱点は、日本人の感性に合うとは言えないデザインか。日本人の好みはシャッキリしたロー&ワイド。日本向けにデザインしたクルマじゃないので仕方ない? 逆にデザインさえ気に入れば、環境にやさしくないエンジン車を持っている人の相棒にいかがだろう。




ジープ・ラングラー・アンリミテッド・ルビコン4xe「山に行きたくなる!」

Jeepで最も硬派な存在であるラングラーのルビコンに、30kmくらいまでなら電気自動車として使えるPHEVをラインアップしてくるなど予想もしていなかった。フラッグシップだからこそ環境対応すれば良いアピールになると考えたのかもしれません。試乗すべく走り出すと、電池残量が少なかったためエンジンが掛かるハイブリッド状態。そこで「ハイブリッド+充電モード」を選ぶ。電池が無くなったハイブリッドモードは272馬力を発生する2リッターターボエンジン+8速ATをモーターがアシストするのだけれど、何の違和感もなし。説明無しで試乗したら、普通のエンジン車だと思うくらい自然な走りをする。20分くらい走ると電池も貯まってきたので、通常モードに切り替える。電池減るまで電気自動車です。オールテレーンタイヤを履いたこんな大柄なクロカンが静々走るのだから面白い! 自動車税は2000ccと同じだし、ハイブリッド車なので13年過ぎても割り増しなし! 長く乗るなら面白いチョイスかと。こんなクルマ買ったら、久しぶりにスキー板でも積んで山に行きたくなります!




ランドローバー・ディフェンダー110 V8「地球上で最強のクルマ」

ロールス・ロイスを頂点にする高価なイギリス車の面白さは、明確な“クラス”感があることだ。妙な表現になるけれど、ハンドルを握っていると心に余裕が生まれるのだった。少し詳しく状況を説明すれば「こんな良いクルマに乗って申し訳ないですね~」みたいな感覚になる。だから多少粗雑な運転をしてるクルマに出くわしても「チッ!」じゃなく、無関心を決め込める。相手をする気にもならないってこと。EPC会員の方も「確かに張り合う気にはならないですね!」。 今回試乗したのは悪路を極めるためのディフェンダーに、あろうことかスーパーチャージャーを付けた5リッター V8を搭載してるんだから恐れ入る。アクセレレーターを踏めばたいていのクルマより速い。加えてランドローバーの伝統なのだけれど、オンロードのコーナリング性能だって素晴らしいです。深いロール姿勢を保ったままグイグイ曲がっていく。優雅なだけでなく強さも持つ。地球上で最強のクルマと言い換えてもよいかと。このクルマのオーナーになれば、ハンドルを握る度に穏やかな人格になっていきそうです。




ポルシェ911GT3 RS「正真正銘の天国」

写真でも凄いと思っていたけれど、実車のインパクトときたらはるかに強烈だった。「このサイズで車検取れるのか?」と思えるF1のような可変式リア・ウイングもさることながら、ボディのいろんなところに穴が開いている。穴の形状も様々。おそらく空洞で時間を掛け、冷却やダウンフォース、空気抵抗など検討したのだろう。その時点で「こりゃまいりました!」です。今や純エンジン車は絶滅危惧種であり、多くのメーカーが開発を終了している。そんな中、ポルシェって情熱を全く失っていないのだった。走り出すと、もはや走ることが大好きなクルマ通からすれば、正真正銘の天国です。公道だと標準のセットアップで使い切れないほどの性能を持っている。道交法遵守の範囲内で楽しんでみたら、718乗りでもあるEPC会員の方も大喜び! 徳大寺師匠も常々言っていた通り「最高のポルシェは最新のポルシェだね」。そして「スポーツカーはレーシングカーが終わったところから始まる」。多くのクルマ好きに味わっていただきたいと思える「元気の出る究極のスポーツカー」です。

文=国沢光宏

(ENGINE2024年4月号)

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