2024.06.11

CARS

「まるで真横に吹っ飛びそうな驚きの回頭性」 モータージャーナリストの武田公実がBMW XMほか5台の注目輸入車に試乗!

モータージャーナリストの武田公実さんが5台の注目輸入車に試乗

全ての画像を見る
モータージャーナリストの武田公実さんがエンジン大試乗会で試乗した5台のガイ車がこれ! BMW XM、BYDドルフィン、キャデラック・エスカレード、ヒョンデ・コナ 、ボルボXC40リチャージに乗った本音とは?


BEVは“元気の種子”


元日に北陸地方を襲った痛ましい震災から連想してしまったこともあるが“ガイシャ”と“元気”といえば真っ先に思い出したのが、13年前の東日本大震災と当時の愛車アルファ・ロメオ147。あのとき筆者の住む地域は、液状化現象によりライフラインが長期間にわたり途絶えてしまった。そこで生活物資の確保、あるいは入浴などの支援を受けるため、当時のアシ車である147とともに、液状化で路面が盛り上がった近隣の道を連日走り回ることになったのだが、アルファ生来の楽しさに気持ちが大いに救われたことを記憶している。

そんな懐古志向の筆者に、クルマの神様がお灸でも据えようとしたのか、今回の大試乗会で担当させていただいた5台の“ガイシャ”のうち3台が、実用系のBEV。旧来の価値観による“元気”とは遠いキャラかと思いきや、それぞれ将来への期待感を持たせる“元気の種子”のように感じられた。




BMW XM「まぎれもない“M”」

伝説のミドシップスーパーカー “M1”に次ぐ、史上第二の “M” 専用モデル。ただ、もはや定番の一つとなったSUV様式で、しかもPHEVながら、やはり“M”は“M”。システム総出力653psのもたらす走りは、クールに熱い。そして48Vアンチロールバーのおかげか、コーナーにおいてもロールはほとんど見せず、まるで真横に吹っ飛びそうな回頭性をもって、巨大な体躯を感じさせないフットワークを披露する。これはやはり、まぎれもない “M” なのであろう。

そしてXMとのドライブを続けているうちに、余人から嫌われることを恐れない強烈なボディ・デザインや、BMW門外漢にはとっつきにくい各種設定スイッチの操作でアタフタしてしまうことさえも、ある種の「通過儀礼」であるかのように感じられてきた。

自分自身が元気ハツラツな時には、気持ちをさらに引き上げてくれる最高の相棒となる。でも、そうでない時にはクルマに負けてしまいそうにもなる。この恐るべき“M”と真っ向から向き合うには、強靭な精神力と自己肯定力が必要とさえ感じたのである。




BYDドルフィン「元気はホンモノ」

現時点では自動車やライフスタイル系メディアよりも、経済誌などで見かける機会の多いBYD。でも同時に、世界で最も元気な自動車ブランドの一つであることに疑う余地はあるまい。昨年試乗の機会を得た「ATTO3」でも、予想外のできばえに目を瞠ったが、今回乗せていただいた「ドルフィン」は、さらに上をゆく仕上がりだったと太鼓判を押したい。

まだ乗用車の経験は豊富とは言えないのに、たとえば今回乗ったロングレンジ版のマルチリンク式の後脚は、高速でも一般道でも快適さを損なわない足さばきを見せる。あるいは内外装のつくりの良さも、筆者の意地の悪い予想を遥かに上回るもの。ただ、触れて乗って、あるいは日常的に使用して「元気になる」というよりは、ひたすら感心してしまう段階にある。

レーンキープ・アシストが気まぐれで、しかも強力過ぎる。発進時および停まる寸前に発生する擬似サウンドのON/OFFが唐突であることなど、重箱の隅を突けば気になる点も皆無ではないのだが、それでもBYDの元気はホンモノと実感させてくれたのだ。

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement