2024.06.06

CARS

ヤフオク7万円で買ったシトロエン、希少なオリジナルの運転席を求めて滋賀へ!【シトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#39】

現在のリポート車のシートを見て悩む編集部ウエダ。運転席は座面をアクティバから流用し、内部のウレタンも補修済みなのだが、助手席座面もそろそろ外側がヘタリはじめ、電動調整式スイッチの周囲にまた穴が……。

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ヤフー・オークションで7万円のシトロエン・エグザンティアを手に入れ、10カ月と200万円かけて修復したエンジン編集部員ウエダの自腹散財リポート。今回は極上のドライバーズ・シートを入手すべく訪れた滋賀の模様と、修復作業の現状をお届けする。

まるで新品のよう

僕が「シートがあります」というENGINE誌読者からの1枚の葉書を頼りに、琵琶湖からほど近い静かな住宅街に到着したのは、3月のある日の夜遅い時間だった。途中までは雪が舞っていたが、いつの間にか雲の隙間から月が出ていた。目指す住所の建物前にはカーポートがあり、ユーノス・ロードスターが駐まっている。僕らが来たことに気づいたのだろう。その横にある小さなガレージから、エグザンティアの運転席の持ち主、伊豆田 剛さんが顔を覗かせた。挨拶も早々に、まずはガレージへと招かれる。

エグザンティアの運転席を譲ってくれた伊豆田 剛さん。

中にはタイヤやホイールなどロードスター用の部品がたくさん置かれており、壁には工具類が整然と並んでいた。よく見ればタイヤはネオバだし、ホイールはレイズのボルクレーシングだ。伊豆田さん、どうやらロードスターでけっこう走り込んでいるようである。

お目当てのエグザンティアの運転席は、その工具の前に置いてあった。

「これ、身体が楽なシートですよね」と伊豆田さんは懐かしそうに眺めながら、しみじみという。写真から想像していた以上に綺麗で、保管状況が良かったのか、日焼けによる退色もなく、ほとんど見た目は新品のようである。

ただ、わずかに横のモールが波打ち、右側サイド・サポートの中のクッションが崩れはじめていた。とはいえありがたいことに、僕が欲しかったグレーの生地の状態はとてもよかった。擦れて薄くなったり、破れたりもしていない。最悪ここが駄目なら、もう肘掛け部分の生地を流用するしかないと思っていたが、これなら十分使えそうだ。



おまけに付いていたキャスター付きの脚は、ステンレス製の非常にごつくしっかりしたもの。これは伊豆田さんの知人のお手製らしい。オリジナルのシートの取り付け穴を利用し、ボルトとナットで固定されている。クオリティはまるで市販品のようだ。これだけでシート本体と同じくらいの重量があるという。

「だから重すぎて、使い勝手はよくないんですよ。事務仕事はこたつ机でやったりすることも多くて、あんまり使っていませんでした(笑)」と伊豆田さん。最終的に不要になるこのシートの背面と、リポート車に付いているアクティバの座面と、ステンレスの脚を組み合わせれば、エグザンティアのシートを流用したオフィス・チェアが一脚造れそうである。

伊豆田さんはシートを前にして、ロードスターと2台持ちだった頃の、エグザンティアの思い出をいろいろと話してくれた。「湧き水を汲みに行った時なんかは、とても広い荷室のおかげで、20リットルのタンクを10個載せても大丈夫だったんですよ。しかも姿勢がお尻下がりにならず車高を維持するし、山道でも乗り心地が上々でしたね」と懐かしそうに目を細める。

過去の愛車については細かく資料を残しており、エグザンティアに関するものも、きちんとファイルにとじてあった。こうした履歴がしっかりと分かって、しかもこれほど状態のいいシートは、もはやそう簡単には手に入れることはできないだろう。本当に葉書で連絡を取って頂いたことには感謝しかない。

こうして伊豆田さんのところから引き上げてきたシートとキャスター付きの立派な脚は、分解してみるとなんとかエグザンティアの荷室に収まった。そこで後日、主治医のカークラフトに入庫する時に、そのまま持っていくことにした。

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