2024.05.23

CARS

「バンプを超えても一切Gが抜けない圧倒的なダウンフォース!」 モータージャーナリストの藤原よしおがポルシェ911GT3 RSほか5台の輸入車に試乗!

モータージャーナリストの藤原よしおさんが5台の注目輸入車に試乗!

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マセラティMC20チェロ「ちょっと荒っぽい感じ」

「本来ならチェロじゃなくチエロね」とはイタリア語ペラペラの武田公実さん。おかげで乗る前から1つ賢くなってスタート。カーボン・モノコックのミドシップ・スポーツとしてはサイドシルも低めで乗りやすく、内装の仕立ても派手さはなくシックで好ましい。乗り味も見た目とは裏腹に快適だし、開放的なオープン・トップがラグジー感を増してくれる。ところがひとたび背後の3リッターV6ツインターボに鞭を入れると世界は一変。まるで重力から解放されたかのように軽くなり、ただただ猛烈に加速する。トップを開けていると加速感はさらに倍増。それでいてシャシーはミシリとも音を立てず頑強そのもので「さすがはカーボン・モノコック、さすがはダラーラの仕事!」と叫びたくなる。ただその高いパフォーマンスを思うと、もっと路面に食いつくダウンフォースや、ガツッとさらにダイレクトに効くブレーキが欲しい……と、どんどん欲深くなってしまうのも事実。この軽さやシャシーの余裕っぷりをみると、この後出てくるBEVこそ本命なんだろうな。でもこのちょっと荒っぽい感じも悪くない。むしろ好き。




メルセデスAMG EQE53 4マチック・プラス SUV「じわっと沁みてくる」

正直に言って驚いた。BEVというと、ロケットのような加速力があってメチャクチャ速いんだけど、クルマ全体の妙な重さは払拭できなくて、ハンドリングもどこか人工的でダイレクト感に乏しく自動車というより家電的……という先入観があったし、実際に乗ってもそういうクルマが多かった。でもEQE SUVはその真逆。確かにアクセレレーターを思いっきり踏めば速いのだけれど、すべての動き、感触がとってもナチュラル。車重は2.7トンもあるけど、EQS SUVのような自らの重さを制御しきれないチグハグ感もなく、ハンドリングも乗り心地もスッキリと爽やか。特にゆっくり、ゆったりクルージングしてみると、クルマ全体の手触りの良さ、耳馴染みの良さ、良いモノ感がじわっと沁みてくる。さすが内燃機自動車の祖として1世紀以上積み上げてきた「クルマ作り」の勘所は、電気になっても健在。BEV食わず嫌い、もしくは内燃機からのスムーズなBEV移行がしたいという人に最適。既存のBEVから乗り換えるとよりその出来の良さ、上質さが際立つはず。これからのBEVのベンチマーク。




ポルシェ911GT3 RS「新手の合法ドラッグ」

純レーシングカーとロードカーとの圧倒的な差は、パワーや見た目ではなく、構造やパーツに妥協や遊びが一切ないこと。素手で洗車したら何箇所か切り傷を負うんじゃないか? と心配になるほどカクカク、トゲトゲしたエクステリアが圧巻の911GT3 RSは、まさにそれ。一見911GT3のモディファイ版と思いきや、中身は別物。エンジンやギヤボックスをソリッド・マウントしているような塊感、ダイレクト感に溢れたボディ。ミクロン単位での制御すらできそうなほどシャープで遊びのないステアリングと、それをしっかり受け止めるサスペンション。さらに驚異的なのがバンプを超えても一切Gが抜けない圧倒的なダウンフォース! それらがもたらす鉄壁のグリップはスピンする隙すら与えない。確かに9000回転まで一気に吹け上がる4リッターNAエンジンも凄いけど、この驚くほど安定してコントローラブルなシャシーから得る快感はまさに新手の合法ドラッグ。ありきたりの表現で恐縮だけれど、これぞ純度100%のレーシングカー。それをオプション込み4000万円以下で売るポルシェは凄い!

文=藤原よしお

(ENGINE2024年4月号)

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