2024.04.29

CARS

初代セリカ、TE27レビン、二代目セリカXX、70スープラ、80スープラ、そして現行のGRスープラに西川淳がイッキ乗り! ヴィンテージは無理でもネオクラシックなら手が届く!!

スープラ RZ(2002)/80型は1993年に「THE SPORTS OF TOYOTA」のキャッチコピーで登場した。試乗車は2002年型の上位グレード「RZ」で、同モデルの最終年式である。

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中部地方では初となるエンジン・プレミアム・クラブ(EPC)のイベントを愛知県で開催。ちょっと古いクルマのイッキ乗り試乗会に、自動車ライターの西川淳氏が参加した。


何を隠そう、私もエンジン・プレミアム・クラブの会員だ


「きれいな205ですね~」

問いかけてみるとオーナーらしき男性が笑顔で振り向いた。

「いやぁ、ボチボチかな。でも随分手をかけました。あともう少しですが、他にも欲しいクルマがあって」

青いプジョーが“連れて帰れ”と子猫のように私を見つめている。

「なら譲ってください!」

言ってからいつものように幸福と不安の入り混じった気分になる。喜びもさることながら、“また余計なクルマを買って! どこに置くの?”と怒る妻の顔が思い浮かんだからだ。

電話番号を聞き、試しに鳴らす。チャラララ。彼の胸元が点滅する。しかし彼が通話ボタンを押しても音は消えない。目が覚めた。夢だった。ホッとしたような残念なような……。

最新のスーパーカーから戦前のヴィンテージ・カーまで。私のクルマ趣味の守備範囲は広い。ほとんど雑食である。戦前車は所有したことがないけれど、50年代以降はだいたい乗ってきた。ところが最近、キャブ車にちょっと疲れ気味(=乗っても乗らなくても壊れる)で、気楽に楽しめる制御の効いていない時代=80年代以降のネオクラシックが気に入っている。程よく古く、そこそこモダンで、衝突安全のためにスタイルを犠牲にしていない。電子の入ったエンジンもまだ活発に回り、シャシーの制御もいうほどエラくない。気合を入れてガレージを出発しなくて良いぶん、出番も必然的に多くなる。だから、この原稿を書くつもりだったこの日は、そんな夢で目が覚めた。



何を隠そう、私はEPCの会員だ。もちろん会費もちゃんと払っている。根が単なるクルマバカなので、面白そうな企画にはすぐに乗ってしまうタチなのだ。会員になると月に何度かイベントの案内があって、どれも面白そうではあるけれど、如何せん人数は限られている。仕事が仕事だけに、皆さんの貴重な席を奪うのもどうかと思い、参加は遠慮していた。

ところが、一月半ばに案内された「新着イベント」だけは他の誰かを蹴落としてでも参加したいと思った。お題は『トヨタ博物館スペシャル見学会+「特選旧車」試乗体験会』。

世界的にも認められている自動車ミュージアムを副館長の案内で巡るという魅力的なオファーに加えて、「Vintage Club by KINTO」ともコラボレーションし、なんと歴代セリカ&スープラの垂直試乗がいっぺんに叶うというのだから、そんな機会は私の仕事でもまたと無さそうだ。しかもその旧車たちを仕上げたのは、トヨタ博物館の収蔵車両も手掛ける新明工業というからマニア垂涎である。

車両のレストアや整備は、新明工業(愛知県豊田市)とトヨタ自動車による強力なバックアップで行われている。



私のクルマ好きの原点
 
セリカとスープラには特別な想いがある。幼少期に母の実家へ預けられることの多かった私を送迎してくれたのが叔父の初代“ダルマ”セリカ(赤に白のバイナル・トップ)で、助手席に座った私は彼の手さばきに憧れてクルマ好きになった。18歳になって叔父と一緒に巡った中古車店で見つけたのが初めての愛車、二代目XX(赤黒のツートーン)だった。

それだけ思い入れがあれば、仕事など関係なく、いち“会員”として参加しても許してもらえそうじゃないか。そう思い込むことにした。

ちょうど1月のエンジン大試乗会で編集長と会ったので、参加したい旨を伝えてみたところ、「それじゃ手伝って仕事にしてよ」というありがたいオファーをいただく。

思いがけず仕事になったとはいえ初参加のEPCイベント。気合を入れて前夜のうちに開催地である豊田市は新明工業近くのビジホに入り、早朝から始まる旧車試乗会に備えた。

翌朝。新明工業の前には試乗に供される歴代セリカ&スープラにTE27レビンまで並んでいる。壮観だ。続々と集まってきた会員たちは早速、写メ合戦。大試乗会で同乗した方もいて、早速クルマ談義にも花が咲く。
 
まずは会員たちが試乗する。目的地はトヨタ博物館。私の仕事は先導車のドライバーだ。3グループの真ん中だったので、私の前と後はトヨタの旧車である。毎度ながら古いクルマの“小ささ”に感動し、元気なサウンドと排気ガスの臭いに酔いしれる。「トヨタの旧車に一度乗ってみたかった」とか「歴代の名車を一気に楽しめる」、あるいは「旧車のマニュアルを試すことができる」と、会員たちも一様に同じ思いで参加したようだ。色とりどりの懐かしい名車たちによって、現代の街並みの趣も増したように思えた。



この日の試乗車は全部で6台。古い順に、初代セリカ、TE27レビン、二代目セリカXX( 60 スープラ)、70スープラ、80スープラ、そして現行のGRスープラ(91)だ。

旧型モデルたちをよく見るとフルオリジナルではないことがわかる。新明工業で丹念にレストアを施されたとはいうものの、ホイールが換わっていたり、マフラーが太くなっていたり、車高が落ちていたり、と軽くモディファイされている。実は“あえて”そうしたようだ。その時代に流行った“改造”を再現しているクルマもある。今は貴重なクラシックカーも、安いフツウの中古車だった時代があったのだ。当時はクルマ好き若者たちの遊び道具でしかなかったから、吊るしのままなんてダサかった。ホイールやハンドルの交換は基本で、徐々にドレスアップやライト・チューンを楽しんだものだ。だから、ヴィンテージ・クラブの旧車たちを見ると時代の流行りを思い出して、いっそう懐かしい気分になる。

博物館に到着してからも会員の試乗は続く。走る姿を眺めながら先導するのも悪くないが、だんだんムズムズしてきた。私も早く乗ってみたいぞ! 昼食のあと、館内見学をしている間=撮影タイムに、余っているモデルを試すチャンスがついにやってきた。うまい具合にカローラ・レビンとダルマセリカがある。最も古い2台から乗ってみることにした。

◆いよいよ、ちょっと古いトヨタ車6台にイッキ乗り! 試乗の様子は後篇で!

文=西川淳 写真=茂呂幸正 取材協力=KINTO、新明工業、トヨタ博物館

(ENGINE2024年5月号)

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