2024.04.19

CARS

モータージャーナリストたちもみんな「ちょっと古いクルマ」に乗っている! あなたのちょっと古いクルマを見せてください!!

モータージャーナリストのちょっと古いクルマが勢揃い!

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なぜいま、ちょっと古いクルマがこれほどまでに盛り上がっているのか。それを探るべく、清水草一、森口将之、藤野太一、桐畑恒治、高桑秀典の5人のモータージャーナリストと、5台の彼らのちょっと古い愛車に、集まって語ってもらうことにした。まずはメンバー5人それぞれの愛車を紹介してもらおう。

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これが5人のモータージャーナリストが所有する5台のちょっと古いクルマだ!


桐畑恒治の愛車「ランチア・デルタ(2014年型)」
皆さんが想像するランチア・デルタとは似ても似つかぬ姿形の、(戦前分は除く)モデル名の系譜で3代目に当たるのが2008年にデビューしたこのデルタだ。日本にはガレーヂ伊太利屋の手によって1.4リッターと1.8リッターのガソリン、1.6リッターディーゼルの合計3タイプの直4ターボ搭載車が導入された。筆者の愛車は後期型にあたる2014年型1.6リッター直4ディーゼルで、2021年夏に偶然の出会いがあり、それまで乗っていたメルセデスMLとの入れ替えという形で愛車となる。走行距離は購入時から2万km超増え、まもなく10万kmに達しようとしているが故障はほぼナシ。ドッグラン巡りの忠実な愛犬エクスプレスとして快調・快適に走ってくれている。(桐畑恒治)


高桑秀典の愛車「アルファ・ロメオ GT1600ジュニア(1974年型)」
ジウジアーロがデザインし、1963年にデビューしたクーペで、ジュニアはジュリアの廉価版として1965年に登場。当初、段つきと呼ばれるマスクだったが、1970年からフラットな形状になり、寄り目ではなく離れ目の2灯ヘッドライトを採用した。1998年の購入時に赤だったボディ・カラーは、鈑金塗装によって白になるも、直後に発生した本棚(ガレージ内)の崩壊により再塗装され、内外装とも水色になり今日に至っている。3000km毎のオイル交換時に各部を総点検してもらい、リセットする必要があればその都度作業してもらっているので驚くほど調子がいい。古いイタリア車の購入をきっかけに、ここまで人生が充実するとは思わなかった。(高桑秀典)


清水草一の愛車「フェラーリ328 GTS(1989年型)」
フェラーリ328は308の発展形として1985年に登場、1989年までクーペのGTBとタルガトップのGTSが生産された。これは1989年型の最終型GTS。エンジンは3.2リッター V8DOHCで最高出力270ps、最大トルク31.0kgmを発揮する。2019年に総額1180万円で購入し、走行距離は約4年間で4000kmほど。328とともに出かけるシチュエーションの多くは、自宅からの首都高1周50kmコースで、これを年に何回かこなす。運転席のピローと助手席後ろの消火器、LEDライトはノン・オリジナル。本当はライトは暗い方が好き。いまのところトラブルは燃料ホースの経年劣化くらい。乗るたびにますます絶好調である。(清水草一)


藤野太一の愛車「ポルシェ911カレラ(2010年型)」
2004年にデビューした6代目911。コードネームは997。2008年6月に後期型へとマイナーチェンジが行われ、NAモデルには新設計の直噴型エンジンを搭載。また、ティプトロニックにかわってデュアルクラッチ・トランスミッションの7段PDKが採用された。所有車は家人も運転できるようにと選んだ後期型の右ハンドルPDK。ワンオーナーで、マカデミア・メタリックの外装とテラコッタのレザー内装の組み合わせにひとめぼれして10年ほど前に購入したもの。購入時の走行距離は2.5万kmほどで、現在は約4.5万km。数年ごとに交換するのはタイヤのみ。メンテナンスは車検時にディーラーにおまかせ。一度も大きなトラブルなく走っている。(藤野太一)


森口将之の愛車「ルノー・アヴァンタイム(2002)」
ルノー・エスパスをベースとしたミニバン・クーペとして、1999年にコンセプトカーとして登場し、2年後にヨーロッパで発売。日本には2002年11月に上陸した。でもこの時点では正体不明のクルマという印象が強く、ちょっと遠目で眺めていた。ところがわずか3カ月後に生産終了を発表。独創と革新のものづくりに惹かれていたマトラが自動車業界から撤退することも決まり、もう買うしかないと決断。2004年に納車となった。東京暮らしなので公共交通で移動することが多く、他にクルマやバイクもあるので、年間走行距離は平均5000km弱。2023年4月にスターターが逝ってからは、アヴァンタイムの良さが味わえる機会を選んで乗ることが多くなった。(森口将之)


【座談会】なぜ今、ちょっと古いクルマが人気なのか?

桐畑 ここでは“今”という時代を俯瞰しながら、ちょっと古いクルマを選ぶことの意義というか意味を語っていただければと思います。ちょっと古い、という基準も人それぞれでしょうから、そのあたりも選ぶ理由につながったりするのかな、と思いますが。

藤野 一般的な立体駐車場のパレットのサイズ、具体的には全幅が1850mmまで入庫可能っていうのが1つの基準になるのかな。今のクルマは幅が広すぎて入らない。

清水 もしかしたら280馬力規制も正しかったのかもね。パワー的に扱いきれるかどうかも1つの基準。

藤野 あとはちょっと古いとMTの選択肢も広がりますよね。

桐畑 未だに987ボクスター・スパイダーのマニュアルが欲しいです。

藤野 実はユーノスの初代ロードスターも持っていて、それ用にいろんなパーツも用意して、クルマごと知り合いのメカニックに預けてある。

桐畑 羨ましいなあ。

藤野 年代にもよるけど、手をかけられる自由度の高さもあるよね。

高桑 僕は1998年から乗っているので、ちょっと古いのを選んだのではなく、なっちゃったクチ。だから皆さんとはニュアンスが違うんですけれど、足グルマとして活用できちゃったんですね。森口さんのアヴァンタイムって何年経ってます?

森口 僕のところにきて20年。もともと広報車だったものを1万km超の時に買って、現在は9万kmになりました。だから高桑さんと同じパターン。ずっと持っていると車齢とかってあまり気にならないよね。

高桑 僕のジュニアは小さくて扱いやすいし、高速巡航も苦にならない。年数を重ねてもパフォーマンス的には衰えていないし、十分実用に足るものだから、それも乗り続けられている理由の1つです。

清水 うちの328がそうだけど、高桑さんのアルファも走っていたらバラバラになりそうだよね(笑)。

高桑 でもほぼ毎日乗っていますよ。18万kmで買ったのが今は32万km。一時期動かしていなくって、そのときは自重でブッシュがダメになっちゃって。それからは毎日動かすようにしています。

清水 すごいねえ。僕のはそんなにしょっちゅう走らせているわけではなくて、2カ月に1回くらいかなあ。

森口 僕自身、本当に古いのは足には使わないほうがよいと思っています。クルマが「今日は走ってもいいよ」っていうときだけ乗ってあげる。10年落ちくらいなら問題ないけど。

高桑 さすがに真夏は厳しいですけど、暑さに対して実はクルマ自体は大丈夫。先に人間がダメになる(笑)。

桐畑 だから、実用に供するようなちょっと古いクルマはエアコン、パワステ、パワー・ウィンドウ付きが基準という意見もありますよね。

森口 人間が我慢していた部分をクルマに負わせるから大変になる。

清水 そんな負担を減らすのもあって、アシ用のクルマは別にあるけど、それもちょっと古いのを選び続けている。最近はもっぱらディーゼル車。それってやっぱり経済性が高いからね。ちょっと古くても燃費は良いよ。

森口 選ぶうえでのこだわりポイントがあるっていうのは本当大事です。

高桑 初代のランチア・イプシロンとかよくないですか? 緑色のアルカンターラ・シートありきで、っていうのが僕のなかにはあります。

藤野 ちょっと古いクルマに乗るモチベーションって、いつかの憧れのクルマに乗ってみたいなという思いが実現できるところにあるのかなと。あとはクルマの電動化がどんどん進んでいるから、今乗っておかないとっていう衝動にも駆られます。

清水 僕自身、この世代のフェラーリに落ち着いたのは、新しいクルマが面白くなくなったから。そこに自分にとってのロマンはないなあと思っちゃった。古ければ古いほどロマンは増していくけれど、その分高くなってとても買えない。だからちょっと古いクルマの適度なところに魅力を感じるんです。そこにはコスパの良いロマンがあるからね。

話す人=桐畑恒治(座談のまとめ)+高桑秀典+清水草一+藤野太一+森口将之 写真=神村聖

(ENGINE 2024年5月号)

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