2024.04.26

CARS

アウディS3がマイナーチェンジ エンジンのパワーアップなデザイン変更でよりスポーティに進化 

「アウディA3」に続き、スポーティ・バージョンである「S3スポーツバック」と「S3セダン」がドイツ本国でマイナーチェンジを受けた。

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キリッと引き締まったフロント・マスク

キリッと引き締まった印象を受けるエクステリアは、六角形のシングルフレーム・グリルがフレームレスになり、よりフラットでワイドな形状になった。フロント・グリル内に備わるL字型のデザインエレメントがボリューム感のあるグリルを強調。大型のサイドエアインテークとともに、ダイナミックなムードを放っている。モータースポーツからインスピレーションを得たという、2本の支柱が目を惹くフロントスポイラーもレーシーな雰囲気を漂わせている。



ダイナミックになったリアまわり

リアまわりはダイナミックな形状になったバンパーが印象的だ。ディフューザー上の光沢ブラックのリア・エプロンは特徴的なL型のエレメントを備えたシングルフレームの形状が反映されている。Sモデルの特徴である4本出しのテールパイプがダイナミックなイメージがさらに強調。オプションのチタニウム製サイレンサーを備えた「パフォーマンス・エグゾースト・システム」を選択すると、より豊かなサウンドを奏でるという。 

アウディ自慢の最新ヘッドライトも見どころだ。よりフラットな形状になったヘッドライトがS3のワイド感を強調。ライトハウジング上端には、マトリクスLEDヘッドライトのデジタル・デイタイム・ランニングライトを構成する24ピクセルのエレメントが3列に配置されている。「MMI」を介して最大4種類のデジタル・デイタイム・ランニングライト・シグネチャーを選択できるようになったのも新しい。

ボディ・カラーは、「ディストリクトグリーン」、「アスカリブルー」、「プログレッシブレッド」など、表現力豊かなメタリック・カラーが設定されるとともに、初めて「デイトナグレー」にマット仕上げも加わった。



インテリアはライトで演出

外観と同様に、内装もよりシャープな仕立てになっている。シフト・セレクターのデザインをはじめ、エアコン吹き出し口、ファブリックの加飾、新しいインテリアライトまで、細部まで高い精度で仕上げられ、先進的なイメージに寄与している。さらに、標準装備される「アンビエントライト・パッケージプラス」は、シフト・セレクターやドアまわりや足元の収納にアクセントを付加する。センターコンソールとカップホルダーにもコンツァーライトを用意。

インテリア最大の注目点は、300回のレーザーカットが施されたフロント・ドアのファブリックパネルだ。フロント・ドアはパネル内に設置された光源によって、5つに分けて照らされる。それぞれが異なるサイズになっていて、ダイナミックな光の流れが生み出されるという。このライトは車両のロック時とロック解除時にも点灯する。

シートには一体型ヘッドレストと立体的なサイド・ルスターを備えたスポーツシートが用意され、コーナリング時に横方向のサポートを強化。内装のトリムでは、「Dinamica(ダイナミカ)マイクロファイバー」、アルミニウムやカーボンファイバーに加えて、新しい「テクニカル・テクスチャード・ファブリック」も選ぶことができる。



インフォテインメントも充実

機能面では最新のコネクティビティへの対応がトピックス。「DAB(Digital Audio Broadcasting)+デジタルラジオ」と10.1インチのタッチディスプレイに加えて、「アウディ・バーチャルコックピット」、ワイヤレス充電機能を備えた「スマートフォン・トレイ」が標準装備される。

オプションの「MMIナビゲーションプラス」、「Audi connect(アウディ・コネクト)」では、車両のディスプレイを介して、多彩なアプリが使用できるアプリストアにも対応。選択したアプリは、手持ちのスマホを経由することなく、車両のインフォテインメントシステムに直接インストールできる。

操作性の向上も図られている。音声操作(ボイスコマンド)を介してアプリを操作することも可能。車両購入後も「myAudi」アプリを使い、最大5つの個別のインフォテインメントと快適機能をオンラインで追加することもできる。



2リッター・ターボは333psへ出力向上

S3に求められる動力性能も向上した。従来モデルと同じ2.0リッター直4ターボの「2.0TFSI」は、最高出力333ps、最大トルク420Nmに達し、改良前から23ps/20Nmの増強を果たしている。0-100km/h加速は4.7秒。最高速度はリミッターにより250km/hに制限されている。 

さらに、パワートレインのセッティングもよりスポーティ志向になっている。定速走行時や低・中速度域でアクセル・ペダルの踏み込み量が少ないときにも、ターボの回転数を一定に維持するため、常に素早い加速へと移ることができる。

RS3の機能を移植

ハンドリングの向上もトピックスだ。「RS3」に続きトルクスプリッターを搭載することで、俊敏性と走行安定性をアップ。この技術は、各ドライブシャフトに搭載された複数の油圧多板式クラッチを用いることで左右の後輪の間で駆動トルクを完全に可変配分することができる機能で、運転状況や選択した走行モードに応じて、コーナー内側と外側の後輪間でトルクを最適に配分する。

また、走行モード切り替え装置の「アウディドライブセレクト」は、乗り心地の良さなどの快適性重視からダイナミックな走りまで、多彩な走行特性を実現する6モードから選択できる。改良前のドライブモード(オート、コンフォート、ダイナミック、インディビジュアル、エフィシェンシー)に加えて、「ダイナミック・プラス」もモードが加わったのが新しい。



アグレッシブな走りを引き出す

ダイナミック・プラスは、トルクスプリッターがリア・アクスルとコーナー外側のタイヤに可能な限り多くの駆動トルクを配分するため、オーバーステアの傾向になるという。「スポーツ」モードでは、姿勢安定制御システム(ESC)が自動的にオンになる。同システムが適度に介入することで、摩擦係数が異なる路面でもよりアグレッシブな走りを引き出せる。

パワートレインもダイナミック・プラス専用の設定を備え、「ダイナミック」よりもアイドリング回転数が200rpm高い1300rpmになり、発進時のパフォーマンスがさらに高まる。スロットル・レスポンスもさらにダイレクトになり、ギアシフト時間の短縮、遅めのシフトアップと早めのシフトダウンにより、ダイナミクス性能を向上させる。



シャシーもブラッシュアップ

シャシーには、より硬いベアリングを備えたウィッシュボーンと、よりネガティブ・キャンバーを可能にする新しいピボット・ベアリングにより、ステアリング・レスポンスとタイヤの横方向の剛性がアップしている。さらに、「プログレッシブステアリング」を最適化することで、ライントレース性がアップ。操舵角によって可変するステアリング・レシオにより、とくに中立付近での操舵がよりダイレクトになっている。

サスペンションは、「Sスポーツ・サスペンション」を標準装備。A3よりも15mmのローダウンとなっている。タイヤ・サイズは225/40R18が標準で、さらにオプションで235/35R19タイヤ、さらに、ドライコンディションでより高いグリップ力と安定性を発揮するファルケン製のスポーツ・タイヤが新たに用意された。

動力性能の向上に伴い制動力も引き上げられている。フロントに大径のベンチレーテッド・ブレーキディスクを装備。18インチのスチールディスクの直径は357mm、厚さは34mmで、以前よりも4mm厚くなった。フロントブレーキの2ピストン・キャリパーも新採用で、大きなパッドと広いディスクの摩擦面積により、熱や負荷に対する容量が増している。

現時点で日本での発売時期は明らかにされていないが、ドイツでは、2024年第2四半期の発売予定になっている。



文=塚田勝弘

(ENGINE WEBオリジナル)

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