2024.05.10

CARS

「なるほどアメリカで売れるワケだ」 ホンダのフラッグシップ・セダン、新型アコードにモータージャーナリストの国沢光宏が試乗!

ホンダ・アコードe:HEVに国沢光宏氏が試乗。

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日本におけるホンダ唯一のセダンになっていたアコードが11代目に進化。しかも、レジェンドが勇退した現在は日本市場におけるフラッグシップでもある。そんな車両価格も500万円を超える、ちょっと立派な新型にモータージャーナリストの国沢光宏氏が乗った。

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アメリカ人からすると270万円程度で買えるクルマ

私と同年代の諸氏なら、子供の頃に放映されていた『奥さまは魔女』や『わんぱくフリッパー』というアメリカのTVドラマを楽しんだと思う。設定は大金持ちの家庭だと思っていた。なんせ広くて立派な家に住み、大きなクルマを所有し、家電製品がフルに揃ってましたから。我が家といえば、カラーTVこそあったけれど、戦争で焼け野原になった東京に多い貧弱な建物。風呂も無し。やがてドラマの主人公は平均的な家族だったことを知って愕然としました。

水平基調のインパネはオーソドックスなデザインだが、質感は高い。インフォテインメント・システムにはGoogleを搭載。


新しいアコードに乗り、そのときのことを思い出させられた。考えて頂きたい。直近で言うとアメリカの平均年収は日本の2倍。つまり日本だと540万円超のアコードながら、アメリカ人からすると270万円程度で買えるクルマというイメージなのだった。日本で540万円といえば、決して安いクルマじゃない。したがって、それなりの存在感を持つデザインやブランドイメージが必要になってくる。新型アコード、そういった“オーラ”を一切持たない。

なぜかといえば前述の通りアメリカではミドル・クラスのクルマだからだ。日本人からすれば新型アコードを高いクルマだと考え、それなりの高級感を欲するだろう。ところがアメリカ市場をメインとするアコードというクルマ、『奥さまは魔女』や『わんぱくフリッパー』的な中流家族御用達なのだった。540万円のアコードはアメリカ人にとってはその半分程度ということをイメージすればOK。この点を頭のどこかに置いて以下の試乗レポートを読んで頂ければ、と思う。

全長約5mの前輪駆動ということで、大人4人乗車なら室内のスペースは十分以上。


まずエクステリアだけれど、全くもって普通。ミドル・クラスなので存在感を意識する必要も無いということなんだろう。ドアを開けてドライビング・シートに座ると、これまた印象が薄い。ポジティブに評価すれば「飽きない」とか「落ち着く」になる。少し高い価格設定のビジネスホテルという感じ。高額のクルマに要求されるゴージャスさやキラキラ感、素材の良さなどは無し。ただアメリカで販売されている同じ価格帯のライバルと比べれば高い評価になるだろう。


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