2024.07.18

CARS

価格が発表されたEVの新型ポルシェ・マカンに仏ニースで試乗! マカン・ターボは1525万円 電気になってもマカンはマカンだった!!

新型ポルシェ・マカン・ターボ。

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初代発売から10年を経て、ポルシェ初のフル電動SUVとして生まれ変わった2代目マカンは、どんな走りを見せてくれるのか。このほど日本国内でも価格が発表され注文の受付が開始された新型カマンに試乗! 南仏ニース周辺で開かれた国際試乗会からエンジン編集長のムラカミが報告する。

ガッカリするようなクルマだったらどうしよう

2014年の初代発売以来、兄貴分のカイエンと並ぶポルシェの大黒柱のひとつとして、10年で85万台以上を販売してきたマカン。私もライプツィッヒの生産工場を拠点に開かれた最初の国際試乗会に参加してから、ずっとシンパシーを感じながら見続けてきたので、ついにフルモデルチェンジすると聞いて、感慨深い、というか、もっと言えば、いささか寂しいような気分を抱いていたのだ。

プロヴァンスという名の美しい紫色のボディ・カラーの個体はマカン4。フロント・バンパーの左右にあるライトまわりとエア・インテークの形状がターボとは違うことを扉の写真と見比べて欲しい。こちらの方がやや大人しい印象だ。

「ああ、あのミッドサイズSUVとして極めつけのスポーティな走りを持っていたマカンが、ついにフル電動モデルになってしまうんだ。果たして、電気になったら、あの飛び切り軽快で気持ちのいい乗り味はどうなってしまうのだろうか?」

正直言って、乗ってみてガッカリするようなクルマだったらどうしようという不安半分、いや、ポルシェが自信を持って世に出すものなのだから、きっと納得させられるものになっているはずだ、という期待半分を胸に秘めて、国際試乗会が開かれる南仏に向かったのである。

ニース空港に降り立ち、そこからクルマで30kmほど西に移動した先の、かつてピカソが住んでいたことでも知られるアンティーブの半島の根元にある港に、今回の試乗会の拠点は設けられていた。そこに用意されていた試乗車は、マカン4とマカン・ターボの2種類。いずれも前後アクスルに電気モーターを持つ4WDモデルで、4はその名の通りだが、ターボの方はむろん実際にはターボチャージャーなど付いておらず、あくまでポルシェのハイパフォーマンス・モデルを表す象徴的なネーミングとなっている。ちなみに、4があるなら、今後、後輪駆動の素のマカンも出るのかとプロダクト責任者に尋ねたら、否定せず、どうやらすでに準備していそうな感触だった。

まるでスーパーカーのスペック

さて、新型マカンはアウディと共同開発した800Vのアーキテクチャーを持つPPE(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)を使った初のポルシェだ。モーターは前後ともタイカンと同じ永久磁石同期式で、そのシステム最高出力は、ターボが通常時584psでブースト時639ps、4が同じく387psと408psとなっている。あまりに数字が大きいのに驚くが、さらに凄いのは最大トルクで、ターボが1130Nm、4が650Nmというのだから恐るべし。まるでスーパーカーのスペックみたいだ。

なにしろ、マイナーチェンジしたばかりのタイカンだって、同じターボ同士で比較すると、最高出力こそブースト時884psとタイカンが上回っているものの、最大トルクは940Nmでマカン・ターボに及ばないのだから、どうやらこのあたりに味つけの違いがありそうだ。

ターボのローリングシャシー。左側が前で、右側の最後部にある金属製の筒状のものはエアサス用のエアコンテナ。その横にあるポンプを介して4つのエア・スプリングに空気を送る。後部モーターはリアにオーバーハングするようにして搭載されているのがわかる。

さらに両車を比較すると、マカンはタイカンのような2段の変速機を持たず、減速ギアのみとなる。タイカンの場合は、発進加速と最高速度を両立させるために、もうひとつギアが必要だったと聞いたが、マカンにはそこまでは求めなかったということだろうか。タイカン・ターボの0-100km/h加速が2.7秒、最高速度が260km/hであるのに対して、マカン・ターボは3.3秒と260km/h。最高速度は同じで、0-100km/h加速はやや劣っているわけだが、それでもSUVとしては驚異的に速いのは変わらない。

新型マカンは総容量100kWhのリチウムイオン・バッテリーを前後アクスルの間のアンダーボディに搭載し、そのうち最大95kWhをアクティブに使用することができるようになっている。新しい国際基準であるWLTPモードでの走行可能距離はターボが最大591km、4が613km。

また、800Vのアーキテクチャーを持つおかげで充電速度も圧倒的に速く、最大270kWの充電性能を持つ。800V超の急速充電器を使えば、たったの21分で10%から80%まで充電できる。もっとも、日本には400Vまでの充電器しかないのだから宝の持ち腐れになりかねないが、その場合でも、400Vの電池がふたつ搭載されているのと同じ状態にして充電効率を上げ、最大135kWでの充電が可能で、その充電時間は同じく10%から80%までが33分。さらに、AC充電の場合には11kWでの充電となり、10時間で0%から100%まで充電できるのだという。

リアのデザインも4とターボでは違うので、次ページと見比べて欲しい。

もうひとつ、私が注目したいと思ったのは、牽引能力が飛躍的に上がり、2トンまで可能になったことだ。これまでのマカンはトランスミッションにツインクラッチ式自動MTを使っていたため、トルコンATのカイエンとは違って牽引には向かなかった。欧州や米国ではトレーラーハウスやボートなどを牽引してバカンスに出かける姿をよく見かける。これまでポルシェではカイエンだけだったが、これからはマカンも見かけることになりそうだ。

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