2024.07.18

CARS

価格が発表されたEVの新型ポルシェ・マカンに仏ニースで試乗! マカン・ターボは1525万円 電気になってもマカンはマカンだった!!

新型ポルシェ・マカン・ターボ。

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タイカンの対極にある

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私は最初にターボから試乗することになった。実車をパッと見た限りでは、電気自動車になったとは言っても、これまでのマカンとそう大きくは違わない感じがする。確かに、よく見ればホイールベースが若干延びてタイヤが4隅に押し出され、オーバーハングが少なくなり、プロポーションがこれまで以上にスポーティになっている。それは内燃機関を捨てたおかげかも知れないが、だからと言って、これを即座に電気自動車だと言い当てる人はいないだろう。それより、Cピラーがこれまで以上に寝かされ、よりクーペみたいなルーフラインを得たことの方が、カッコ良さを際立たせて、目立っている。

アイス・グレイ・メタリックのボディ・カラーの個体はマカン・ターボ。旧型よりもCピラーが寝かされて、よりクーペ・ライクなルーフラインを持つようになったのが上の写真でわかる。全長は60mm長くなったが、ホイールベースも86mm延びており、結果としてオーバーハングがやや短くなっている。試乗車のタイヤはターボも4も22インチだった。

ヘッドライトのように見えるのは実はデイタイム・ランニングライトで、下のバンパーの中にあるのが本物のヘッドライトだというのも不思議なデザインだ。ボンネットの左右には911にも似た峯を持っている。どうやら、電気自動車であることを強調するよりも、まずこれが紛れもないポルシェであることを誰にもひと目見てわからせるようなデザインに、意図的にしているのだと思った。

運転席に乗り込んで、まず感じたのも、「おっ、これはポルシェのインテリアそのものだ」ということだった。確かに、インパネまわりには、タイカンゆずりのカーブしたメーターパネルを始めとして、巨大なディスプレイが横に並び、デジタル化が進んだことを印象づけているが、横一直線に延びたダッシュボードの造形は、むしろ、ナロー911やそれを引用した992型のデザインを想起させるものだ。ポルシェらしく、タイトに身体を支えるシートといい、フロントガラスを通して眺める、ボンネットの両側の峯が際立った風景といい、ポルシェそのものである。

インパネのデザインはタイカンから始まった液晶パネルを多用したデジタル系のものに一新されたが、インテリア全体のテイストは誰が見てもひと目でポルシェとわかるものだ。

そして、なにより感心したのは、走り始めても、これが電気自動車であることを感じさせないくらいに、これまで長い間私が親しんできたポルシェの乗り味をそのまま実現していたことだった。スムーズな走り出し、どこにもユルいところがないと感じさせる足回りとボディの剛性感、路面の状況が手に取るように伝わってくるステアリング・フィール。どれをとってもポルシェのものだ。

確かに、エンジンの音は聞こえて来ないし、よく観察すれば、走り出しのクルマの動きも、一瞬にして最大トルクを立ち上げる電気モーターならではのククッと押し出す感触がないとは言わない。しかし、少なくとも、これ見よがしに電気自動車であることを強調するような味つけには、まったくしていないということに、ポルシェの新しい電気自動車づくりの哲学を感じさせられたのだ。

シートの着座位置は旧型より前席が28mm、後席が15mm低くなっている。

電気自動車だから室内はとても静かだけれど、運転していてまったく違和感がないのは、ロード・ノイズや風切り音など外から侵入してくる音の中で、不必要なものを遮断し、必要なものを入れているからだろう。エアサスのおかげで乗り心地は抜群にいいし、それでいてスポーツ・モードに切り換えれば引き締まったハンドリングが楽しめる。恐らく、こ一直線に延びたダッシュボードの造形は、むしろ、ナロー911やそれを引用した992型のデザインを想起させるものだ。ポルシェらしく、タイトに身体を支えるシートといい、フロントガラスを通して眺める、ボンネットの両側の峯が際立った風景といい、ポルシェそのものである。

そして、なにより感心したのは、走り始めても、これが電気自動車であることを感じさせないくらいに、これまで長い間私が親しんできたポルシェの乗り味をそのまま実現していたことだった。スムーズな走り出し、どこにもユルいところがないと感じさせる足回りとボディの剛性感、路面の状況が手に取るように伝わってくるステアリング・フィール。どれをとってもポルシェのものだ。



確かに、エンジンの音は聞こえて来ないし、よく観察すれば、走り出しのクルマの動きも、一瞬にして最大トルクを立ち上げる電気モーターならではのククッと押し出す感触がないとは言わない。しかし、少なくとも、これ見よがしに電気自動車であることを強調するような味つけには、まったくしていないということに、ポルシェの新しい電気自動車づくりの哲学を感じさせられたのだ。

電気自動車だから室内はとても静かだけれど、運転していてまったく違和感がないのは、ロード・ノイズや風切り音など外から侵入してくる音の中で、不必要なものを遮断し、必要なものを入れているからだろう。エアサスのおかげで乗り心地は抜群にいいし、それでいてスポーツ・モードに切り換えれば引き締まったハンドリングが楽しめる。恐らく、これまで内燃機関のマカンに乗っていた人が乗り換えても、まったく違和感を感じないであろうと思える自然な乗り味になっている。それでいながら、踏めば一瞬にして加速して、明らかに速いし、重心が低く、重量物がすべてホイールベース内にあるため、ハンドリングも素晴しくいいから、ニースの裏山のワインディングを走った時など、ついついスポーツカーを運転している気分で、右足に力を入れたくなってしまったのだ。

唯一、これが電気自動車だと意識させられたのは、エレクトリック・スポーツ・サウンドをオンにした時だ。ヒューンという何とも言えない電子音が響き渡る。これを聞いて、私はタイカンを思い出した。電気モーターの音をサンプリングしてスピーカーから出しているタイカンは、何よりも声高に自らがポルシェの電気自動車であることを叫んでいるようなクルマだった。ある意味、今度の新型マカンはその対極にある。

翌日、4にも乗ったが、こちらもエアサスがオプション装着されていたにもかかわらず、乗り心地がターボに劣っていると感じられたのは、後で知ったが、リア・アクスルまわりの構造が4とターボでは違い、4はPPEそのまま、ターボではポルシェ独自のチューニングが大幅に施されているためと思われる。しかし、そのほかは4でも特に見劣りするところはなく、十分に速いし、基本的な乗り味はまったく同じだと思った。

電気になってもマカンはマカン。その飛び切り軽快で気持ちのいい乗り味は不変であることを知り、私は大いに納得して、試乗を終えたのだ。

文=村上 政(ENGINE編集長) 写真=ポルシェA.G.

■ポルシェ・マカン・ターボ
駆動方式 前後電気モーター4WD
全長×全幅×全高 4784×1938×1621mm
ホイールベース 2893mm
車両重量 2405kg
電気モーター 永久磁石式同期型
最高出力(通常時) 584ps
最高出力(ブースト時) 639ps
最大トルク 1130Nm
バッテリー リチウムイオン
総電力量 100kWh
サスペンション(前) マルチリンク/エア・スプリング
サスペンション(後) マルチリンク/エア・スプリング
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク
タイヤ(前/後) 235/55R20/285/45R20
車両本体価格 1525万円

■マカン4
駆動方式 前後電気モーター4WD
全長×全幅×全高 4784×1938×1622mm
ホイールベース 2893mm
車両重量 2330kg
電気モーター 永久磁石式同期型
最高出力(通常時) 387ps
最高出力(ブースト時) 408ps
最大トルク 650Nm
バッテリー リチウムイオン
総電力量 100kWh
サスペンション(前) マルチリンク/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク
タイヤ(前/後) 235/55R20/285/45R20
車両本体価格 1045万円

(ENGINE2024年7月号)

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