2024.06.12

CARS

「購入の検討は、読んでから」 新型メルセデス・ベンツGLCのPHEVにモータージャーナリストの森口将之が試乗 絶妙な立ち位置!

GLC350e 4マチック・スポーツ・エディションスター

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3年前、「2030年までに市場が許す限り新車販売のすべてをEVにする」と宣言したメルセデス・ベンツが、「顧客に押しつけてまで人為的に目標を達成するのは理にかなっていない」として、エンジン搭載車も引き続き展開していくと方針転換したことは、読者の中にも知っている人がいるだろう。とはいえガソリン車やディーゼル車はマイルド・ハイブリッド化を推進しており、環境問題を考えれば、広い意味での電動化は進めていくはず。ここで紹介するプラグイン・ハイブリッド(PHEV)も重要なピースであり続けるはずだ。

大きく違うのは駆動用バッテリー

2023年に初のモデルチェンジを実施したGLCのPHEVは、GLC350e 4マチック・スポーツ・エディションスターと、少々長い車名となるが、限定車ではなく通常のカタログモデルである。



2.0リッター直列4気筒ターボ・エンジンとモーターを組み合わせて4輪を駆動するパワートレインは先代と基本的に同じだ。大きく違うのは駆動用バッテリーの容量で、31.2kWhへと大幅に増やし、モーターのみでの走行距離は46.8kmから一挙に118kmにまで伸びた。これに伴いリア・バンパー右端の普通充電に加え、左側リア・フェンダーにチャデモ対応の急速充電口が用意される。

走行モードは「オフロード」、「バッテリー」、「エレクトリック」、「ハイブリッド」、「スポーツ」、「インディビジュアル」と多彩。電動モードはもちろん、ハイブリッドモードでも、バッテリー容量に余裕があるので、限られた試乗時間内はほとんどエンジンを回さず走っていた。



都市内はモーターでスムーズに、遠出はエンジンを使って航続距離を伸ばし、自然豊かな目的地で再びモーターを用いて静かに移動するというドライビングシーンが1台でまかなえるわけで、PHEVは絶妙な立ち位置にあるとあらためて思った。

ただし、バッテリー容量の大幅な増加のために、車両重量は2340kgと、同時に乗ったGLCクーペのディーゼルより約300kgも重くなっており、エアサスペンションを標準装備するにもかかわらず、乗り心地はややバタバタすることが気になった。



ハンドリングはリアが重くなっているにもかかわらず、メルセデスらしい自然で素直な身のこなしを保っていた。リアに対して相対的にフロントが軽いためか、ステアリングの滑らかな操舵感は印象的で、リサーキュレーティングボール式を用いていた昔のメルセデスの感触が戻ってきたような感じを受けた。

いずれにしてもGLCは、パワーユニットで乗り心地やハンドリングのキャラクターにも違いが出てくることがわかった。購入の検討は、そのあたりまで考えて結論を出すのが良さそうだ。

文=森口将之、写真=茂呂幸正

(ENGINE2024年7月号)

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