2024.05.29

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自動車メディアを騒つかせるHyundaiの「IONIQ 5 N」にモータージャーナリストの国沢光宏が試乗! ただ速いだけのEVの時代をこのクルマが終わらせる!!

モータージャーナリストの国沢光宏さんがヒョンデ・アイオニック 5 Nに一般道で乗った!

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日本市場に再参入したヒョンデ。現在、バッテリーEV(BEV)のアイオニック 5とコナ、そして燃料電池自動車(FCEV)のネッソを日本国内で販売しているが、このほどアイオニック 5をベースにしたスポーツ・モデルとなる高性能BEV、「アイオニック 5 N」の日本導入を発表した。さらにカタログモデルの発売に先立ち、5月30日までの期間、限定50台の「IONIQ 5 N First Edition」の受付も行っている。国内はもとより、いまや世界中が注目するEV。いま自動車メディアを騒つかせているアイオニック 5 Nに、モータージャーナリストの国沢光宏が一般道で試乗した。


ただ速いだけのEVの時代は終わろうとしている!

昨年のラリージャパン終了後、一部のメディアを対象としたWRC参戦車両の同乗試乗会があったのだけれど、そこに今回紹介するアイオニック 5 Nの最終プロトタイプが置いてあった。どうぞ試乗してください、ということで走り出したらビックリ! 今まで乗ってきた電気自動車と全く違う。解りやすく書くと、どんなパワフルな電気自動車であっても「速いだけ」だった。



以前テスラのモデルSで全日本EVグランプリに参戦していた時だって、速いがエンジン車のような官能的な楽しさは一度も感じなかった。それがアイオニック 5 Nでクローズドの試乗コースを走ってみて思わずでた驚きの言葉が、「なんだコレは??」だった。そもそもエンジン音がする。アクセルを踏むとブリッピングもする。スポーツモードでDレンジをセレクトしてコースインすると、あらま! レーシングカーのシーケンシャルシフトですね、これ。

回転数が上がっていくと、私のラリーカーに搭載されているドグミッションのようなシフトショックを伴いシフトアップする! いや、本当はシフトアップなんかしてない。音と前後方向のGを上手にシンクロしてあるため、バーチャルゴーグルしているような感じであたかもエンジン車に乗っているような感じがある。こう書くと「偽物でしょ」と思うかもしれない。ところがどうだ。私もまんまとだまされてしまった。

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走り出してからも「凄いね!」が続く。そもそもがまず速い! 聞けば開発段階では筑波サーキットも走らせたという。タイヤは騒音規制をクリアした市販車に採用される標準スペックだったとのこと。タイムは1分3秒6とか。GT-Rがデビューした時と同等。ハイグリップタイヤを履かせたら1分1秒台に入るんじゃなかろうか。速さのイメージとしては完全にGT-Rでいいと思う。実際、600馬力もありますから。

しばらくこのモード(変速がショックあってV8エンジン風の音を出しよく曲がる)で乗っていたら、電気自動車ということを忘れてしまい、エンジン車の気持ちで走りを楽しんでいた。こう言っても信じてもらえないだろう。実はあまりに驚いたため50人くらいの知人にアイオニック 5 Nというクルマの凄さについて話をしたのだが、皆さん信じてくれなかった。



その後行われた先日のメディア向けの先行試乗会で乗った知人のひとりに改めて「どうよ?」と聞いたら、凄いの連続! 全員が「やられた感があるね!」と口を揃える。どういうことかと言えば、本来なら日本の自動車メーカーにこの手のクルマを作って欲しかったことと、もはや追い抜かれてしまったという意味。実際、日本勢はこういったクルマの開発に着手すらしていない。完全に出遅れたように思う。

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映画『ワイルドスピード』のファン

話が脱線した。試乗レポートを続けよう。聞くところによれば、開発陣の多くは映画『ワイルドスピード』のファンで、どうしてもNOS(ニトロ噴射)のようなギミックを作りたかったそうな。「だったらやっちゃえ!」のノリで、ブーストボタンを付けている。押すと10秒間パワーが50馬力ほど上乗せなるそうな。背中にGの変化を感じるかと思ったが、そもそもが600馬力もあるので普通の環境だと+50馬力の差はハッキリは解らない(笑)。







サーキットで競争したら、ストレートで抜く時に有効だと思う。今後上乗せ可能なパワーが増えてくると、短時間なら温度上昇も想定内だろうから、20%(120馬力)くらいのアップは出来そう。これまた面白いアイテムになるかもしれない。いずれにしろ0-100km/hで3.4秒は十分な速さ。パフォーマンス的にもGT-Rを射程距離に入れたと考えてよかろう。

また、前後にモーターを持つため、前と後ろの駆動力配分も自由に選択可能。後輪駆動やFFのような挙動も作り出せる。いろいろ試してみたが、FFはアンダー傾向のハンドリングのため扱いやすい。FRモードだと軽いテールアウト姿勢で曲がって行く。とてもじゃないが1回の試乗では全て試せないかもしれませんが。自由に特性を変更出来るモーター駆動の「特技」と言えそうだ。







止まる&曲がる性能だってバッチリ。ブレーキペダルを踏むと大径のブレーキがガッツリと減速Gを出す。回生ブレーキの効きも強力で、回生力の一番強いモードを選んだときは、EVならではのスポーティなワンペダル・ドライブも楽しめる。電気自動車は床下に強固なバッテリーケースを置くため基本的にボディ剛性が高い。ダンパーやタイヤも欧州のスポーツモデルが使っているのと同じメーカーである。車重は2210kgと決して軽くないものの、バッテリーを車体の中央床下に搭載しているため、Z軸周りのモーメントが極めて小さいんだと思う。

そのためコーナリングは重さを感じさせずフロントノーズは向きを変えていく感じ。アンダーステアは無し。コーナーのアペックス手前からアクセルを踏んでいくと、前後の駆動力配分の選択により前から曲がって行く感じと,後ろから曲がって行く感じをつくり出せる。私の好みはニュートラルだった。いつの間にか電気自動車だということを忘れ、しかも運転していて楽しかった! プロダクトのつくりはもとより、商品企画として電気自動車でこんなクルマづくりが出来ることにも驚く!

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何を隠そう一番「凄いね!」と思ったのが今回の試乗で一般道を走った時の”普通のクルマ”感だ。ノーマルモードを選ぶと、何もかもジェントルで静かで滑らかな普通の電気自動車になる。ウチの嫁さんがノーマルモードで乗ったら、マナーの良い4枚ドアの乗用車としか思わないだろう。静かな乗用車とピュアスポーツの2台を1台でカバー出来るワケ。

悲しいかな、おそらくここまで読んでもらってもアイオニック 5 Nの楽しさは完全には伝わっていないと思う。40年間クルマの試乗レポートを書いてきたが、表現の難しさじゃダントツである(笑)。とにかく一度試乗してみて頂きたく思う。乗ればわかる!

文=国沢光宏(モータージャーナリスト) 写真=望月浩彦

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(ENGINEWEBオリジナル)

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