2024.06.06

CARS

モーガンとピニンファリーナがコラボした50台限定のオープン・スポーツ、「ミッドサマー」が姿を現す

モーガンとピニンファリーナがタッグを組み、生み出した新型「ミッドサマー」(Midsummer)の写真が公開された。実車は、2024年7月に開催の「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」で初公開される。

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バルケッタ・スタイルを採用

ミッドサマーは、モーガン最新の「CX」世代と呼ばれる接着アルミニウム構造を持つプラットフォームがベースとなっている。6気筒ガソリン・ターボに8段ATが組み合わされている。最大の見どころであるデザインは、ヨーロッパのスポーツカー・デザインのひとつであるバルケッタ・スタイルを採用。その全盛期のモデルたちからインスピレーションを得ている。

スタイリングで特徴的なのは、リアを斜め後ろから眺めたスリークォーター・アングル。この角度は、流麗なプロポーションや新しい表面仕上げ、ショルダーラインの造形が最もよく分かるという。そのプロポーションは、ピニンファリーナの象徴的なデザインで、1930年代後半から40年代前半の自動車デザインを想起させるエキセントリックなエレガンスを漂わせている。



モーガン伝統の木製ボディ

エクステリアにはかつてのモーガンの各モデルに使用されていた木材を採り入れている。ミッドサマーが再構築したバルケッタ・スタイルは、木材を利用してショルダーラインを生み、コクピットの周囲を強調。モーガンの職人による技術の高さも誇示している。高品質で耐久性のあるチーク材が手作業で形成され、何百もの個別の木材層が繊細に積層されて各セクションが完成。チーク材の各層の厚さは、0.6mm 以下だという。

さらに車両には、9つのチーク材セクションがあり、30時間以上かけて製作され、持続可能な方法で調達された83平方メートルのチーク材を使用。最も目を惹くのは、126層のチーク材が使われたダッシュボード上部と、120層にもなるドア上部セクション。単一の木材とは対照的に複数の層を使用することで、露出した要素に必要な強度と耐久性を与えている。



ひと目でモーガンとわかるサイド・ビュー

ボディ・サイドはモーガンとひと目で認識できる意匠で、ドアの上にはショルダーラインが配置されている。これは、露出した木製構造の導入によって可能になったもので、バルケッタ・スタイルであることを特徴づけている。従来からの前後のフェンダーの形状はもちろん、自在に描かれたラインが目を惹く。空力の最適化も盛り込まれ、ピニンファリーナの独自の能力が活用されている。フロント・フェンダーとフロント・ノーズはミッドサマーならではの造形で、そのボリュームはホイールの形状と同心円状化されている。

足元の軽量鍛造19インチ・ホイールは専用設計で、軽量でありながら重厚感を漂わせている。なお、重量は10kgに収まっていて、「モーガン・プラス・シック」の19インチ・ホイールと比べると3kg以上の軽量化を実現している。タイヤは、ミシュラン・パイロット・スポーツ5で、ダイナミックな走りと豊かなロードインフォメーションをもたらすという。

また、手作業で成形されたステンレス鋼のロアシルはフェンダーにボリューム感を与え、「アンダーカット」を形成。これは、初期のピニンファリーナのデザインからインスピレーションを得たもので、ステンレススチール仕上げによりボディサイズが周囲の色に染まり、周囲と一体化することになる。



馬蹄形グリルに特徴的なヘッドライト

また、フロントまわりは、シルバーのインサートが配置されたモーガンの新しい特徴的なヘッドライトユニットが、ストーンガードの上部にある半月の形を特徴とする馬蹄形グリルの側面に配置される。半月の形状は、デザイン上の特徴であると同時に、グリル開口部内の空気の流れを方向付けるのにも寄与。馬蹄形グリルの両側に小さな垂直の通気口が配され、空気のスムーズな流れと冷却性能の向上に貢献する。

リアまわりで目を惹くロングテールは、エレガントさを強調するため設計され、1930年代後半から40年代前半の象徴的なピニンファリーナのデザインを彷彿とさせる。なお、新しいテールライトは、半分面取りされたライトポッド内に配置されている。



ピアノキーをあしらったデザイン

モーガンの大きな特徴である、コクピットからの独特な眺めも歴代モデルから受け継がれている。ほかのモデルと同様に、ロングノーズから視線がフェンダーの頂上に導かれ、前輪の位置が明確に把握できる。ミッドサマーも特徴を継承しつつ、ピニンファリーナは若干の違いをもたらし、フロント・ウインドウの前に配されたボンネット上の縦方向に刻印された象徴的なルーバーを「ピアノキー」デザインで再解釈した。このピアノキーは手作業で形成され、各ボンネットのスカットル・セクションに沿って横方向に配置。ピアノキーは美しさだけでなく、エンジンルームから空気を排出するという機能的な役割も果たしている。

量産車としては初となる「ピニンファリーナ・フオリセリエ」のバッジを戴くのも特徴だ。ボディ・サイドと前輪の後ろに配置されるこの特別なエンブレムは、ミッドサマーの高いステータスを示している。



目標乾燥重量を1000kg

内装のディテールでは、アナログ文字盤が新しくなり、ミッドサマーが全体から醸し出す柔らかさと温かみに合わせてオフホワイト色仕上げとなっている。ステアリング・ホイールは再構築され、頑丈な鍛造アルミニウムを用いている。

走りももちろんブラッシュアップされている。目標乾燥重量を1000kgとし、専用セッティングと専用に製造された調整可能なNitron(ナイトロン)ダンパーにより、ダイナミクス性能の向上を盛り込んだ。

50台のみ生産される新型ミッドサマーは、そのすべてが特別プレビュー・セッション中に顧客に販売されたという。ミッドサマーの生産は、モーガン創立115周年である2024年にスタートし、2025年中に終了する見込みとなっている。



文=塚田勝弘

(ENGINE WEBオリジナル)

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