2024.06.26

CARS

日本のEVの新たな起爆剤になるか? ホンダN-VANにEV仕様の「e:」が登場

ホンダは、2024年春発売予定として、ティザーサイトを2023年9月にオープンさせていたものの、発売が延期になっていた軽商用EVの「N-VAN e:」を正式発表し、2024年10月10日に発売することを明らかにした。

日本メーカーの軽商用EVの第2弾

いわゆる「ラスト・ワンマイル」を担う軽商用バンも電気自動車=バッテリーEV(BEV)化が避けられない流れだ。日本のスタートアップ企業が企画した中国製の軽商用EVが宅配便業者に導入されている一方で、日本車では三菱の「ミニキャブEV」という選択肢しかない。ダイハツとトヨタ、スズキは3社共同で軽商用EVを開発中だが、ダイハツの認証不正問題を受け、延期になっている。発売時期は半年ほどずれ込んだものの、N-VAN e:の登場で、中国勢が攻勢を仕掛ける軽商用EV市場の本格化が進むか注目だ。



N-VANのパワートレインをモーターに変更

ガソリン・モデルの「N-VAN」をベースとしたN-VAN e:は、大容量バッテリーの搭載や電動アクスルの小型化、高電圧部品の集中配置による部品専有スペースの最小化など、商用ユースに求められる実用航続距離と大容量の荷室空間の両立。ベース車と同様のフラットな低床設計と余裕のある室内高がもたらす大容量の荷室を実現している。助手席側のセンター・ピラーをなくした大開口もそのままだ。また、車両からの給電機能など、EVならではの価値を付加している。

気になる航続距離は、一充電走行距離(WLTCモード)245km。主な商用ユースである配送業務に十分に対応できる距離を確保している。充電時間は6.0kWの普通充電で約4.5時間、50kWの急速充電で約30分となっている。

バッテリーは冷却および加温システムの搭載により、高温や低温による性能低下を抑制。とくに冬季における充電時間の短縮と航続距離の向上に寄与するとしている。



軽商用バン初のサイド・カーテンエアバッグを装備

先進安全装備は最新装備が全タイプに標準装備されるとともに、軽商用バンとして初めてサイド・カーテンエアバッグが運転席と助手席に標準装備された。さらに、軽自動車で初めて、衝突事故での2次被害を軽減する衝突後ブレーキ・システムも採用されるなど、安全装備にも抜かりはない。

コネクティビティやリモート操作の充実も盛り込まれた。会員制サポートサービス「Honda Total Care」(ホンダ・トータル・ケア)のIDを取得することで、お出掛け前タイマー設定、充電待機時間設定、最大電流量設定、最大充電量設定、外部給電下限SOC設定が無料で利用可能。スマホ・アプリからリモート操作することができるのも魅力となっている。



用途に応じて4グレードを設定

グレード展開は、商用から個人ユースまで対応する4タイプ。「e:L4」は、商用から個人の使用まで幅広く活用できる4人乗りのスタンダード・タイプ。多彩な情報を表示できる7インチの液晶メーターが採用されたほか、ボディカラーには2トーン・カラーも設定されている。

「e:L4」をベースとする「e:FUN」は、趣味やアウトドア・レジャーにも似合うデザインや装備が特徴。インテリアには、明るくナチュラルなベージュ・カラーを用意する。エクステリアには、e: L4と同様に2トーン・カラーも設定されている。また、LED式ヘッドライトが採用されたほか、急速充電を標準装備している。



1人乗りとタンデムの2人乗りも選べる

商用ユースに特化し、機能性が追求された「e:G」は、ドライバー1名での使用を想定し、シートは運転席のみとなっている。長尺物を積めるように助手席側ダッシュボードの形状が工夫されたことで、室内長はN-VANのガソリン・モデルからさらに95mm伸びた。また、助手席がなくなったことで4人乗りのe: L4やe: FUNに対してフロア高も120mm低くなっている。



「e:L2」は2人乗りだが、運転席と運転席側後席の前後タンデム仕様。左側からシートを排したことで、縦長の広大な空間やピラーのないボディ・サイドの開口部などN-VANの価値が強調され、荷物の積載や積み下ろしがよりしやすい仕様になっている。

なお、e: Gとe: L2は、ホンダの法人営業部および、新車オンラインストア「Honda ON」での限定販売となり、契約はリースのみとなっている。



価格は、e: L4が269万9400円(急速充電機能なし)、280万9400円(急速充電機能あり)、e: FUN(急速充電機能ありのみ)が291万9400円、e:G(急速充電機能なし)が243万9800円、e:G(急速充電機能あり)が254万9800円、e: L2(急速充電機能なし)が254万9800円、e: L2(急速充電機能あり)が265万9800円となっている。



文=塚田勝弘

(ENGINE WEBオリジナル)

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