2024.07.17

CARS

【海外試乗速報】想像を上回る進化を遂げている マクラーレンのオープン・スポーツ、アルトゥーラ・スパイダーに自動車評論家の渡辺敏史が南仏で試乗!

マクラーレン・アルトゥーラ・スパイダー。車両本体価格はクーペ+350万円となる3650万円。

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マクラーレン・アルトゥーラに加わったスパイダーにモータージャーナリストの渡辺敏史が南フランスのワインディングを中心に試乗した。

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パワーは700馬力の大台に!


マクラーレンの新章を担うアルトゥーラは、この春、パワートレイン周りを中心にマネジメント・プログラムのアップデートが加わることになった。これはレトロフィットにも対応しており、日本仕様への対応は検討中だという。



その内容が盛り込まれた2025年モデル・イヤーと同時に発表されたのが、オープン・モデルのスパイダーだ。ルーフ・パネルは透明度を電気的に調節するエレクトロクロミック・ガラス・ルーフもオプションで選択が可能、50km/h以内であれば11秒で開閉が可能……と、この辺りのスペックは750Sスパイダーと変わりはない。加えてマクラーレンらしいこだわりとしてはバットレス形状のクォーター・ピラーを透明化していることだ。思えば750Sでも同種のディテールはみることができるが、ともあれマクラーレンはビジビリティに対しての執念が凄まじく、それはMP4-12Cの時から一貫している。おかげでアルトゥーラ・スパイダーも、斜め後方の視認性がきちんと確保されている。これは日常域での扱いやすさにおいて少なからぬプラスとなるだろう。

インテリアの意匠は基本的にアルトゥーラ・クーペと共通。

PHEVパワートレインはプログラムの変更により、120度バンクとなる3リッターV6のM630Tユニットがパワーを20ps上乗せし605psになった。小型高トルクのアキシャル型駆動モーターに変更はないが、アウトプットは700psの大台に乗せると共に、アップデートでバッテリーのマネジメントが変わり、BEV走行の航続距離が最長33kmと、約1割伸びている。

一部のアルミ・セクションを含めてモールディングで一体成型されるMCLAアーキテクチャーは、アルトゥーラのみならず今後のマクラーレンのプロダクトに反映されていくだろう新たなキー・テクノロジーだ。先代のモノケージに対してより軽量化が推し進められ、アルトゥーラのPHEVシステムの重量増の幾ばくかを相殺している。結果、アルトゥーラ・スパイダーはライバル(といえば296GTSだろうか)に対して80kg以上軽く仕上がったと胸を張る。





実際、試乗でもまず感じられるのはその軽さと小ささだ。実寸上のサイズもさておき前述の視界の良さ、さらにはインターフェースの緻密さもあって、必要以上にクルマの尺を感じない。最新のスポーツウェアのように体にピタリとフィットする。その印象が実重にも増してクルマを軽く感じさせているというところはあるだろう。



アルトゥーラ・スパイダーの白眉は見事なフットワークだ。バネ下の路面追従性の高さや上屋のしっとりした動きは、凝った油圧サスシステムを持つ750Sに比べてもまったく遜色ない。こちらもアップデートで電子制御可変ダンパーの応答スピードが倍近く向上したというが、それが奏功している一面もあるのだろう。試乗コースではタイトでバンピーなワインディングにもしばしば出くわしたが、そんな路面状況でも700psをしっかり使って走り込める、それほどに足まわりの柔軟性が高い。

今回のアップデートによってアルトゥーラ・シリーズは想像を上回る進化を遂げている。それはスパイダーに乗ってきっちり体感できた。F1でも好調が続くマクラーレンだが、このクルマのエンジニアにしてみても、ロードカーの分野でライバルを引き離すのは、これからが本番といったところだろう。

文=渡辺敏史 写真=マクラーレン・オートモーティブ



(ENGINE Webオリジナル)

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