2024.07.24

CARS

ヤフオク7万円で買ったシトロエンのオーナー、エンジン編集部ウエダ、フランスの聖地で愛車エグザンティアに関わったレジェンドたちと出会う!【シトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#43】

左から、コンセルヴァトワール管理人であるドゥニ・ユイユさん、アクティバ・クラブ代表のトマ・ベリニエさん、足まわりの責任者だったエマニュエル・レショーさん、製品マネージャーだったジャン=ピエール・デュヴィエさん。

全ての画像を見る

advertisement


実現しなかったシトロエンのクーペ

デュヴィエさんに対しては参加者から「この時代、クーペのプロジェクトはありませんでしたか?」という質問も飛び出した。観音開きドアで4WSというちょっと非現実的なコンセプトカー、アクティバ1に対し、後に登場した普通のドアのアクティバ2はかなりリアリティのある造りで、当時シトロエンが大きなクーペの市販化を模索していたことは間違いなかった。



「本格的なプロジェクトがあり、スタイリングを検討するモックアップもありましたが、市販化は実現しませんでした。市場を調査した結果、販売は伸びないと判断されたためです。コンセプトカーのアクティバ2に関しては、エグザンティア・アクティバのプロモーションであり、予告のためのクルマでした。あくまで将来の方向性を示すものだったんです」

SM以来、シトロエンは何度もクーペのプロジェクトを模索しているが、残念ながら一度も形にはなっていない。このプロジェクトの後にプジョーはピニンファリーナと406クーペを手がけたが、シトロエンがアクティバ2の製作を担当(デザインはシトロエン社内のダニエル・エイブラムソン)したカロッツェリア・ベルトーネと手を組んで、もしこのクーペを市販化していたら、はたしてどんな評価がされたのだろうか……。

こちらがアクティバ2。保管されていた場所とこのクルマの詳細は次回にて。

また、生産開始当時はラインナップになかったエグザンティアの3リットルV6モデル搭載モデルについては、実は車体の設計段階からすでに検討がされていたという。大きなV6ユニットの搭載が前提の設計となったというのは、後継モデルの初代C5からとアナウンスされていたが、事実はそうではなかったようだ。



もう1つ、極初期のエグザンティアだけのディテールについても質問されたデュヴィエさんは、当時のいきさつを話してくれた。



「なぜ1993年モデルだけにボンネットにシトロエンのエンブレム、ダブル・シェブロンが付いているのか。実は開発段階で、いったんボンネット上と決まったんです。でも当時の上層部も、スタイリング部門の人々も、そこが最良の場所ではないと考えました。そこで発売の前に、グリルの中に移動することは決まっていたんです。でも実施が間に合わず、結果的には、これが最初のモデルだけの特徴になりました」



個人的には極初期型エグザンティアのエンブレムのないつるんとしたグリルによる顔つきはむしろ好みだし、最初に世に出たカタチにこそデザイナーのこめた思いが宿っていると思っていたので、この話はとても意外だった。今後、もしこの極初期型のグリルが手に入ったなら、リポート車も試しにダブル・シェブロンをボンネットに付けても面白そうだし、XMのように少しオフセットさせて付けてみたりしてもいいかもしれない。




デュヴィエさんはその後初代C5やC6に関わり、とても苦労が多かったことも語ってくれた。コンセプトカーの2台のアクティバに続く、本来もっと美しかったC5が、上層部からの意向で大きなスタイリングの変更を余儀なくされてしまったこと、C6のプロジェクトが2度も中止になったこと……。

そうして次第に開発に様々な横やりが入る時代となりながらも、C6までアクティバから発展していったサスペンション・システムを見事踏襲していったのが、デュヴィエさんからマイクを受け取った、もう1人のエグザンティアの生き字引、エマニュエル・レショーさんだ。

次回はいよいよこの海外篇の最終回。レショーさんの幻となったシトロエンの4WSシステムや、ハイドローリック・サスペンションがその歴史を終えた理由、そしてアクティバ2のいるバックヤードについてご紹介する。

■CITROEN XANTIA V-SX
シトロエン・エグザンティアV-SX
購入価格 7万円(板金を含む2023年3月時点までの支払い総額は238万922円)
導入時期 2021年6月
走行距離 17万4088km(購入時15万8970km)

文と写真=上田純一郎(ENGINE編集部)/岡村智明
協力=ACTIVA CLUB

(ENGINE WEBオリジナル)

◆エンジン編集部ウエダのシトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート連載一覧はコチラ
ヤフオク7万円25年オチのシトロエンの長期リポート連載!

◆ちょっと古いクルマ趣味を愉しむ人たちのリポート一覧はコチラ
ちょっと古いクルマが面白い!

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement

advertisement

PICK UP

advertisement