2024.08.23

CARS

パワステが死んでまた地獄へ(涙) ヤフオク7万円のシトロエン・オーナー、エンジン編集部ウエダの自腹散財リポート【シトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#47】

神奈川県・大磯に出向いたリポート車。後に見えるのは特集「ちょっと古いクルマ探検隊」取材会場となった大磯プリンスホテルにあるプールの滑り台。強い日差しを避けるため、リアのサン・シェードを引き出している。

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ヤフー・オークションで7万円のシトロエン・エグザンティアを手に入れ、10カ月と200万円かけて大規模修復を実施し、走り出したエンジン編集部員ウエダの自腹散財リポート。今回は路上復帰から1年目の点検時のテスト・ドライブで発覚した、パワー・ステアリングの故障に何度も何度も悩まされたお話。

パワステが効かない……

「あのですね、試運転中、急にパワステが効かなくなったんですよ……」

パワー・ステアリングが効かず、急に重くなった……というイメージカット。

主治医のカークラフト・篠原大輔さんからの電話を、てっきり僕は修理完了の知らせかとのんびり構えていた。が、どうやらそんな落ちついていられる状況ではないようだ。それはそうだ。暑い季節、パワー・アシストのないエグザンティアの重いステアリングを操作し、ガレージに収めるだけでそうとう苦労したらしい。いやはや想像するだけで汗が吹き出てくる。

「この連載、最初は天国と地獄ってタイトルだったよな。まったく地獄なのは修理しているこっちもだよ」

そう苦々しそうにいうのは、カークラフト代表の篠原 勇さん。どうやら修復作業そのものも相当手こずったらしい。ステアリング関連の未整備の怪しいところを1カ所ずつチェックしていったそうだが、結論から言えば原因は、1年前にしっかりと手を入れていた場所だった。おまけにまったく関係のないトラブルも追加で発生。地獄だというのも無理もない。

修理するほうも地獄なら、支払うほうも地獄。いやはやこの地獄、何処までいったら抜けられるのか。取り急ぎ、今回の作業項目と工賃、部品代(※かっこ内に記載)を記しておこう。

台上に乗せて作動をチェック。しかしやはりパワー・アシストは働かなくなる……。

詳細は例によって膨大にあるギャラリー内の写真キャプションを参照のこと。
※部品価格などは2023年7月時点のもの

・ステアリング・シャフト脱着、ピニオン・バルブ脱着、分解とシール交換
・ステアリング・シリンダーのカバー、ブーツを交換後、いったん装着するも、最終的にアクティバからステアリング・シリンダーを取り外して流用、交換
・ステアリング・シリンダーのブッシュを移植
・ハイ・プレッシャー・ポンプ脱着、分解とシャフト・シール交換、ピストンOリング交換
・LHMタンク、フィルター脱着洗浄
上記5項目の合計工賃 57,600円
(※ステアリング・ピニオン・バルブ・リペア・キット 1,100円、LHM 10,000円(5リットル)、ハイ・プレッシャー・ポンプOリング 2,400円(6個)、ポンプ・シャフト・オイル・シール 1,000円、ステアリング・シリンダー・ブーツ 3,100円、パワー・ステアリング・シリンダー(アクティバから流用 0円)、パワー・ステアリング・シリンダー・ブッシュ(前回の修復時に新品交換したため0円)

合計 75,200円

リポート第45回の作業と合計すると、すでに22万円強の請求書だ。うーん、くらくらする。

……順を追って修理の内容を見ていこう。

日本の正規輸入車は全車パワステ装備

エグザンティアにはノン・パワー・ステアリング車両の設定もあったが、ごく初期の、足まわりがハイドロニューマチック仕様車のみ、だったようだ。日本の正規輸入車は、とうぜん全車ステアリングのパワー・アシストは標準装備である。エグザンティアの情報はけっこう仕入れているけれど、これが効かなくなるという話は、聞いたことがなかった。



ただしもともとリポート車のステアリングは、カークラフトに入庫しているほかのエグザンティアより明確に手応えが重く、しゅーしゅーという摺動音もわずかに出ていた。過去の修理記録簿にはステアリング関連の記載もない。17万kmも走っているのだから、何があってもおかしくはない。

カークラフトは10カ月間の大規模修復で手を入れたLHMタンクやフィルターは後回しにし、未着手のステアリング関連ユニットたちから点検を開始。最終的には関連したところはしらみつぶしに全部手を入ることになったのだけれど、ロードテストに出る→ステアリングのパワー・アシストが効かなくなる、という憂き目に都合3度も見舞われたそうである……。うーん、まさに地獄である。

運がいいことに、オーナーの僕は後にも先にもこのアシストなしの状態は未経験だ。予兆はなく、突然そうとうに重くなるらしく、ある程度速度が出ていればいいが、低速時、特に交差点などでは切り遅れて焦るという。エグザンティアの足まわりを支えるLHMという液体は、パワー・ステアリングやブレーキのフルードも兼ねているが、漏れが発生するなどの緊急時は、まずブレーキを優先する仕掛けになっているそうだが……。

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