ヤフー・オークションで7万円のシトロエン・エグザンティアを手に入れ、10カ月と200万円かけて修復したエンジン編集部員ウエダの自腹散財リポート。今回は海外からの個人輸入で手に入れたシフトノブの製作者と出会ったことと、自分で交換しようとしたら、予想外のトラブルに見舞われてしまったことをご報告する。
フランス在住10年
都内某所の待ち合わせ場所へ約束の時間に向かうと、F.D.M.(Fujiwara Design & Manufacturing)の代表、藤原彰平さんから声を掛けられた。フランスの南、マルセイユとニースの中間くらいの港町イエールから、関西でのイベント参加や付き合いのあるショップなどを回って、上京したばかりだという。年に1度くらい、こうしてフランスから日本へやって来ているそうだ。
フランスで自動車パーツの販売や、3Dプリンターによる絶版部品のリプロダクトを行っている藤原さんは大阪出身で、自動車部品メーカー、光学機器メーカー、ソフトウェア会社を経て2014年に渡仏。6年ほどは会社員だったが、フランス在住のクルマ好きであることを活かし、2020年にF.D.M.を立ち上げたという。もともと日本にいた時もシトロエン2CVのオーナーだったそうだが、フランスで自分の愛車として最初に購入したのがエグザンティアで、現在は日本には未上陸だった5人乗りのC4ピカソと2CVのシトロエン2台持ちだ。

エグザンティアは一度はハイドローリック・シトロエンに乗りたい! ということで選んだそうで、水色の2000年モデルだった。1.8リットルのガソリン・エンジン仕様で、足まわりはシンプルなハイドロニューマチックという、フランスではごくベーシックなスペック。これに4年5万km乗って、2代目ニュー・ミニ(R56型)に乗り換えるも、やはりシトロエンの吸引力は強いのか、今は2010年型の1.6リットル・ディーゼルのC4ピカソと、435ccの1973年型2CV4に乗っている。
コロナ禍がきっかけ
3Dプリンターのリプロダクト品については、コロナ禍のロックダウン時にスタート。欧州向けの販売が主だったが、僕が購入したXMやエグザンティア用のシフトノブは例外的に日本でもよく売れているらしい。3Dプリンターについては独学だが、もともとCADソフトは使っていたのでさほど問題なかったそうだ。
ただし素材にどんなものを選ぶか、仕上げをどうするかなどは、造りながら学んでいった。住んでいるイエールは乾燥した気候で、湿度に弱い3Dプリンターの素材を扱うのにもいい土地だという。
僕が購入したシフトノブに関しては、やはり元オーナーらしく純正部品が廃盤で、多くのエグザンティアやXM乗りが探していることを知っていたようだ。そこでまずエグザンティアのチェンジ・レバーをユニットごと中古で購入し、試作を開始。量産後も1つ1つユニットに装着し、ちゃんと動作するか検品を行った後で発送している。
表面の仕上げについては、てっきり3Dプリンターによる積層素材そのものを磨いていると思っていたのだが、実際には整形後さらに塗装もしている。オリジナルに近しい革のしわを再現した表面の仕上げ方法は「企業秘密(笑)」だそうだ。オーダーは月に6個から7個と、コンスタントに売れている。
なおF.D.M.公式ホームページでも紹介されているが、在庫の部品だけでなく「あれはないだろうか」「これは見つからないだろうか」という日本のパーツ難民からの相談にも対応しているそうで、僕も何度かシートの生地について問い合わせをさせてもらったが、なかなか手こずることも多いようだ。
「以前オーダーがあったルノー・エクスプレスのリア・ハッチのヒンジ。三日月型のアームなんですが、これは苦労しましたね。オランダでようやく1つ見つけました」
エクスプレスのような古いクルマの部品はコンスタントに問い合わせや注文があるが、近年は比較的新しい日本にいる並行輸入車たちのパーツの相談も増えている。たとえばルノー・トラフィックや4代目のエスパス、3代目のセニック、モデュス、シトロエン・ネモなどなど。僕もそうだけど、F.D.M.はいまや趣味人たちの駆け込み寺になっているといえるだろう。
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