2024.07.19

CARS

ヤフオク7万円のシトロエン・オーナー、エンジン編集部ウエダ、シフトのノブを交換しようとしたら、中のロッドが折れていた!【シトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#42】

シフトノブを交換しようと外してみたら、ロッドの先端が折れていることが発覚!

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シフトノブの中のロッドが折れた!

藤原さんからシフトノブを受け取ってから約1カ月後のゴールデンウィーク初日。ようやく時間ができたので、僕は自分でオリジナルからリプロダクト品への入れ替えをすることにした。4月頃からシフトの横にあるロック解除ボタンを押していても、なんだか操作時にひっかかる感じがしていたので、そのチェックも兼ねての作業である。



シフトブーツを下に引っ張って外し、隠れている2つのボルトを小さめのラチェット・レンチを使って緩めると、シフトノブはフリーになった。中にはロッドとロック解除ボタンと、スプリングが入っているので注意しながら取り外すと、カラカラとノブの中から音がする。これ以外に入っているものはないはずなのに何の音だ? ノブの中に剥がれた表皮でも紛れこんだのか? と思ってひっくり返すと、想像に反して出てきたのは光る小さな金属のかけらだった。

え!? なんでこんなものが出てくるの? と思ってむき出しになったロッドの先を見返すと、本来先端はT字型のはずなのに、ただの尖った棒になっている! おそるおそるかけらをそこに合わせてみると、見事にぴったり合った!! ロッドの先が折れたのだ!!!



内部の構造を再確認してみると、シフトノブ横のロック解除ボタンを押すことで先端のT字で引っかかっていたロッドが上に引き上げられる。その結果、シフトのワイヤー・ケーブルがフリーになり、PからRなどへも切り替えられるようになる。

一瞬、シフトロックが解除できなかったらエグザンティアが動かせない! とめちゃくちゃ焦ったのだが、ロッドそのものを手でつまんで引き上げると、ロックは解除できた。ただし慌てていたのか、最初は引き上げずに無理に動かしてしまったようで、ロッドそのものが少し曲がってしまった……。

おそらくもともとロッド先端が経年劣化で折れかけており、そのためシフトの操作がしにくかったのだろう。それにしても、どうしたものか。けっこう力が掛かるところなので、接着剤でくっつけるくらいではまた破損しそうである。

部品はないし、脱着も大変

仕方なくパーツ・リストをにらみ部品を捜索したが、当然こんなものが新品パーツとして売っているはずがない。しかもこのロッドは車体の下側からボルトでセンター・トンネルに固定されており、潜り込まないと取り外しは容易ではない。



ちょうどシトロエンXMオーナーのカメラマン、岡村智明さんとゴールデンウィーク明けに一緒に取材旅行をする予定だったので、打ち合わせの時に「ロッドが折れてしまって……」と事情を話したところ、ちょうど1台、部品取りのV6 3リットル搭載のオートマチックのXMがあるという。同じオートマチックで、ノブも共通だから、ロッドも同じかもしれない!

そこで横浜・都筑にある、彼のXMの主治医のひがし自動車さんに向かうと、すでにシフトノブは取り外され、ロッドがむき出しになった青いXMが保管されていた。リポート車と違い、T字の部分は健在だ。下の基部のほうは見えないが、ロッドはエグザンティアとそっくりに見える。これなら部品が合わなくとも、最悪ロッドの先端だけ接ぐことはできるのではないか……。

しかし部品取り車両ゆえに、このXMはハイドローリック・システムが不動で、見事なシャコタンになっていた。これでは床下に潜って、ロッドを外すことはそう簡単にはできない。

結局、この個体からのピックアップは断念。さらに岡村カメラマンのつてを頼り、最終的に青森県八戸市在住の漆坂良浩さんという、XMなど複数のフランス車を所有しているオーナーから中古のロッドを譲り受けることになった。

漆坂さんは1996年にXMを購入して以来、フランス車にどっぷりとハマってしまったひとで、初代C3と初代C4ピカソを普段使いしつつ、エグザンティアやXM、AX TRS、そしてプジョー205CTIを実家のある十和田市で保管している。今回はわざわざXMからロッドを摘出してくれたそうだ。

ひがし自動車の代表、東 亮仁(あきひろ)さんと漆坂さんには、この場を借りて再度御礼申し上げたい。

シトロエンXM用シフトのロッド(中古)     5000円

さて次回は、このロッド以外にもちらほらと補修作業が出てきたので、タイミングを会わせて入庫した2023年の梅雨時の模様をお届けする。

なお工場入りした翌日、想像はしていたが、リポート車の主治医のカークラフトから悲しい知らせが届いた……。



「エグザンティア、シフトのロッドを外してみたけど、青森から取り寄せたっていうXMのロッドと、形がぜんぜん違うぞ」

……さぁ、ここからはいよいよ購入直後以来の大規模修復のはじまりである。

文=上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=上田純一郎(ENGINE編集部)/F.D.M. 取材協力=F.D.M./ひがし自動車/カークラフト

■CITROEN XANTIA V-SX
シトロエン・エグザンティアV-SX
購入価格 7万円(板金を含む2023年5月時点までの支払い総額は238万5922円)
導入時期 2021年6月
走行距離 17万4088km(購入時15万8970km)

(ENGINE WEBオリジナル)

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