2024.08.09

CARS

2リッター直4ディーゼルはもたつき一切なし! BMW523dツーリングにモータージャーナリストの高平高輝が試乗 どこまでも走れる気にさせるいいクルマ!

BMW 523d Xドライブ・ツーリングMスポーツに試乗!

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昨年登場した新型BMW5シリーズに待望のツーリングが導入された。これまで同様、セダンをベースにBピラー以降をワゴン・ボディに仕立て直している。SUV全盛の昨今の現状を打破するだけの実力を有していただろうか。モータージャーナリストの高平高輝がリポートする。

クールでスタイリッシュ

昨年7月に国内発売されたセダンから少し遅れてステーションワゴン版の5シリーズ・ツーリングが導入された。5シリーズのワゴンとしては通算6世代目となるG61型ツーリングの日本仕様ラインナップはセダンよりもさらにシンプルで、エンジン・モデルは2.0リッター直4ディーゼル・ターボを積む523dのみ、さもなくば2機種、3グレードをラインナップする電気自動車(BEV)のi5ツーリングと割り切られている。後者はBMWとしては初のBEVツーリングとなるが、セダン系と同じくボディは共通である。523dツーリングにはエクスクルーシブ(890万円)とMスポーツ(960万円)の2車種が用意されるが、どちらもxドライブ(4WD)である。その中から523dMスポーツを紹介する。



全高がやや高いせいかどことなくボッテリ大きく見える(実際に大きいが)セダンに比べて、ツーリングの方はクールでスタイリッシュだが、全長×全幅×全高=5060×1900×1515mm、ホイールベース2995mmという基本ディメンションはセダンの523iとまったく同一だ。今やライバルのメルセデスEクラスより明らかに大きい。

乗り心地は意外に穏当

523dのエンジンは197ps /4000rpmと400Nm/1500-2750rpmを生み出す2.0リッター直4ディーゼル・ターボで、48Vマイルド・ハイブリッドが組み合わされている。4WDの523dツーリングはセダンのガソリン・モデルである523i(190ps /310Nm)よりもだいぶ重い1940kgもあるが、2.0リッターガソリン・ターボより強力なトルクのおかげでもたつく印象は一切なし(欧州仕様の0-100km /h加速は7.5秒という)、一般道でも高速道路でも扱いやすく望むだけの加速が手に入る。トランスミッションはシフトパドル付き8段ATで、左側パドルを長引きすると10秒間のブースト機能が作動する。

2画面のカーブド・ディスプレイのインパネを含め、室内の造形はセダンに準拠。

Mスポーツではあるが、意外や乗り心地は穏当でラグジュアリー志向。硬派ドライバーは物足りなく感じるかもしれないが、もちろんスタビリティは高くロングドライブでも安心快適なはずだ。さらにこの試乗車にはオプションのコンフォート・ドライビング・パッケージ(可変ダンパーのアダプティブ・サスペンションやインテグレーテッド・アクティブ・ステアリングなど)が備えられており、スポーツ・モードを選べば期待通りに引き締まるが、その場合でも十分にしなやかだ。サイズと重さを感じないといえば嘘になるが、この大型ボディでこれだけ爽快に走れるなら文句はない。

取材車のシート表皮はオプションのメリノ・レザーだったが、標準仕様は植物由来のレザーであるヴェガンザ+アルカンターラとなる。

そのサイズを活かした室内空間は当然広く、ラゲージスペース容量も標準状態で570リッター、後席を倒した場合は最大1700リッターに拡大できる(BEVのi5ツーリングも同じ容量)。ただ新型ツーリングではこれまでBMWステーションワゴンの特徴だった独立開閉式のリア・ハッチ・ガラスは廃止されている。ルーフ・エンドとスポイラーの造形にメカニズムを組み込むのが難しかったのかもしれないが、あの使い勝手に馴染んだファンは残念に思うだろう。とはいえ、新型ツーリングの真骨頂はまさにロングツーリング性能である(満タン航続距離は1000km以上の表示)。どこまでも走れる気にさせるのがいいクルマである。

文=高平高輝 写真=望月浩彦



(ENGINE2024年9・10月号)

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