2024.08.07

CARS

トヨタGRカローラがマイナーチェンジ エンジン、シャシーともに改良を加えて走りの性能をアップ

トヨタはGRカローラのマイナーチェンジ・モデルをアメリカ・カリフォルニア州で世界初公開した。発表のリリースには北米以外の地域への導入は検討中と記されているが、日本でも間違いなく販売されるはずだ。なお、北米では今冬の発売予定で、価格などは今年後半に発表される見込みとなっている。

レースとプロドライバーのノウハウを盛り込む

今回のマイナーチェンジは、水素エンジンを搭載して参戦しているスーパー耐久シリーズなどのモータースポーツから得られたノウハウが投入されている。さらに、富士スピードウェイなどの世界のサーキットでプロドライバーの石浦宏明選手や社内の評価ドライバー、そしてマスタ―・ドライバーでトヨタ自動車の会長でもあるモリゾウ氏によるテストの結果もフィードバックされているという。



8段ATを初設定

高速コーナーでの旋回性能をはじめ、加速性能や冷却性能などが改良されているほか、進化型GRヤリスにも搭載された新開発8段ATの「GAZOO Racing Direct Automatic Transmission」(ガズー・レーシング・ダイレクト・オートマチック・トランスミッション=GR-DAT)が追加されている。

旋回性能では、前後ショックアブソーバーにリバウンド側で作動するスプリングが内蔵され、旋回時の車両姿勢と内輪の接地荷重特性を改善することで、旋回中の車両安定性向上が図られた。さらに、リア・サスペンションのトレーリングアームのボディ側の取付点を高い位置に移動させることで、加速時の後輪の沈み込みを低減。スロットル操作に対する車両姿勢変化を抑えることで、駆動力の応答性を向上させるとともに、安定した姿勢でのコーナーリングを実現するという。また、リアのスプリングとスタビライザーの特性を見直すことで、スプリングとスタビライザーのロール剛性の分担率を最適化させることで、旋回時の後輪の接地性を向上させ、車両のコントロール性を高めている。



最大トルクをアップ

GRヤリス譲りの1.6リッター直3ターボ・エンジンでは、スポーツ走行時のエンジン使用領域を分析することで、304psの最高出力はそのままに、コーナーの立ち上がり加速に重要な中速域のトルクを現行型に対して30Nm増加。最大トルクを400Nmまで高めている。サーキットのみならずワインディングや高速道路などでもさらに鋭い加速が得られそうだ。

新開発8段ATのGR-DATは世界トップレベルの変速スピードを追求。これまでのATは減速度や車両速度などの車両状態に基づき変速されていたが、GR-DATは、ブレーキの踏み込み方や抜き方、アクセレレーターの操作まで細かくモニタリングすることで、運転状況を先読みし、プロドライバーによるシフト操作と同じようなタイミングでのギヤ選択を実現。トランスミッションがドライバーの意図に近い操作を行うことで、ドライバーはシフト操作に気を取られず、ステアリング、アクセレレーターやブレーキ操作に集中できるようになっている。また6段MTに近いギヤレシオを採用することで、6段MTと同等以上にエンジンパワーを無駄なく引き出せる設定になっている。



冷却性能と空力性能も進化

冷却性能と空力性能の進化のトピックスとなる。GR-DAT搭載車にエンジン始動時の暖気促進も兼ねる水冷式ATFウォーマー&クーラーに加えて、空冷式ATFクーラーを標準装備。グレードによっては、スポーツ走行を考慮し、エンジン冷却を強化するためにサブ・ラジエーターが装着される。

さらに、空冷式ATFクーラー前のバンパー・グリルに冷却用の開口を設置するとともに、フロント・バンパー側面のサイド・ダクトにも空気をスムーズに排出できる出口が設けられ、見た目の迫力もアップ。バンパー・コーナー部に乱気流を発生させる段差が設けられ、バンパー・コーナー部からの空気の剥離を抑制する。冷却性能強化のため必要な各機構を追加しつつ、操縦安定性が確保されている。

限界領域でも安心、安全で懐の深いクルマに近づけるためABSも改良。上下Gセンサーにより、ABS作動輪の接地荷重をモニタリングすることで、ABS作動時の安定した制動力を実現した。



走り味も熟成

性能面だけでなく、走り味のさらなる熟成も盛り込まれている。ステアリング・コラムとインパネ・リインフォースメント(補強材)の締結部に、締結剛性の高い溝付ワッシャー・ボルトを採用することで、直進安定性と操舵に対するダイレクト感を向上させたとしている。

MT車では、クラッチのトータルレバー比やクラッチ・カバー、ターンオーバー・スプリングの荷重特性を最適化することで、クラッチ・ペダルの操作性を向上。ピーク踏力を高めに設定することで、踏み応えのあるペダル操作フィーリングが追求された。ピーク踏力以降は、ペダル・ストロークでの踏力を減少させることでペダルの踏み切り感を高めている。よりスポーティな操作感となるようにクラッチ特性も最適化され、戻し側の荷重増加による足への追従性、半クラッチストロークの短縮による操作性の向上も朗報といえるだろう。



文=塚田勝弘

(ENGINE WEBオリジナル)

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