2024.09.11

CARS

ヤフオク7万円のシトロエン・オーナー、エンジン編集部ウエダの選んだカー・オーディオは今どきカセット?【シトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#49】

フリマサイトから入手したアルパイン製のM6304というカセット・プレイヤー兼AM/FMチューナー。新車時マツダが輸入したエグザンティアに純正装着されたものに非常によく似ているが、若干ボタンの配置などが異なる。

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連載がはじまってまだ間もない第6回のリポートで、エグザンティアのオーディオ・ユニットについてご紹介した。毎度毎度修理ばかりでは気が滅入るので、今回はその続編として、たまたま入手できた今どき珍しいオーディオ・ユニット装着のお話を。

長距離行とラジオとステアリングのスイッチ

クルマの中の、ラジオが好きだ。お気に入りのパーソナリティや番組があるというわけじゃないし、運転中、意識の多くはクルマを操ることに持って行かれている。そんなとき、流れる曲やひとの声が、なんとなしに耳から入ってきて、頭の中を通り抜けていくのが、いい。仕事でひたすらクルマと真摯に向き合うだけのときもあるけれど、たいていクルマの中にいると、指先でラジオのチューニングを無作為に合わせ続けている。声も、音楽も、ほとんどは、まず記憶には残らない。一期一会の、その場限りの出会いだ。でも、それがまた、いい。



東名高速、名神高速、中央道。人生の半分弱を過ごした故郷と、残りの半分を過ごした東京を、年に何度か往復する。箱根や伊豆、長野、千葉と、日帰りで数百kmを移動するのもしょっちゅうだ。そしていつも僕は、ときにひとの声を欲し、ときに音楽を望みながら、ものすごい勢いで動き続けるクルマという物体の中で、周波数を変え、好みのサウンドを探し続けている。

だから運転への集中を切らさず、かつ好きな音を追求し続けられるステアリング・ホイールのリモート・コントロール・スイッチは、クルマに欠かせない装備だと思っている。いまではすっかり当たり前の装備だし、やや最近は音声認識技術や液晶へのタッチ・スイッチの進化で陰りもあるのだけれど……。

このリムに手を添えたまま、指先の動きだけで自在にチューニングを変え、音量を操る感覚を知ったのは、いつのことだっただろうか。思い返してみれば、たぶん僕は、はじめて買ったワイン・メタリックのエグザンティアで、ロング・ドライブと、ステアリングのスイッチと、ラジオのマッチングの良さを知ったのだった。1990年代までのフランス車は、優れたシートばかりに話がいきがちだけど、総じて長時間、運転への集中を途切れさせないようにすべく、人の生理と真摯に向き合っていた、造り手の思いがこもっていたように思う。

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