2024.08.16

CARS

ポルシェ911キラーが2代目に進化 SLと兄弟車になり利便性も高まった新型に試乗した

2014年に「メルセデス・ベンツSLS AMG」の実質的な後継車として誕生した、「AMG GTクーペ」が2代目へと進化。ポルシェ911ターボ・キラーの役を担うメルセデス・ベンツのスポーツ・ブランド、「AMG」専用開発の2ドア・クーペにモータージャーナリストの高平高輝氏が試乗した。

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キープ・コンセプト

長大なボンネットの先端に低く構えた縦バーの「パナメリカーナ・グリル」、後ろに寄った小さなキャビン、力強く大胆に張り出したフェンダーなど、相変わらず獰猛そのものの姿を見る限り、ほぼ10年ぶりにモデルチェンジした新型AMG「GT」とはすぐには判別できないほどキープ・コンセプトだ。ただし中身は一新されている。



全長は20cm近く拡大

全長は従来型よりも20cm近く伸び、同じく70mm延長された2700mmのホイールベースはAMGブランドに移管され3年前にデビューした新型メルセデスAMG SLと同一、そう新型AMG GTはSLと新規開発のアルミ・スペースフレームをはじめとした基本コンポーネンツの多くを共用しているのだ。

その拡大分を生かして、新型GTでは+2のリア・シート(ただしSL同様身長150cm以下の制限が付く)をオプションで選択することができる。その場合はバックレストを倒すことでラゲージルームの容量を標準状態の321リッターから675リッターに拡大することができるという。GTレーシング・カーさながらの攻撃的なルックスでありながら、実用的なラゲージルームも備える4人乗りクーペとはこれいかに、と驚くばかりだ。ほんの少しだけラグジュアリー寄りに、かつ実用的なGTを目指したと見ることができるだろう。



AMGの「63」といえばやはりV8

長いボンネットのバルクヘッド寄りに積まれるのは、AMGの象徴ともいえるM177型4.0リッターV8ツインターボである。今や「63」を名乗りながら2.0リッター4気筒ターボを搭載するモデルも存在するが、AMGの63といえばやはりV8である。

いかにF1由来の電動ターボチャージャーと強力なモーターを組み合わせたとしても、AMGに4気筒では物足りないという世界中の顧客の声を受けてメルセデスAMGも方針を修正するという噂が流れているほどだ。



0-100km/h加速は3.2秒

2基のターボをVバンクの内側に詰め込んだホット・インサイドVレイアウトのAMG謹製V8は585ps(430kW)/5500-6500rpmと800Nm/2500-5000rpmを生み出し、トルクコンバーターの代わりに湿式多板クラッチを備えた9段ATのスピードシフトMCTを介して4輪を駆動する。

新型GTは新たに可変トルク配分の「4マチック+」システムを採用しており(日本仕様は63 4マチック+のモノグレード)、0-100km/h加速は3.2秒という。従来型の最硬派モデル「AMG GT R」は3.6秒だったからその違いは明らかだ。



獰猛さをひしひしと感じる

一般道でそんなとんでもない突進力を試すことはできないが、「コンフォート」モードで首都高を流していても秘めた獰猛さがひしひしと感じられる。硬質で緻密だが、まったく荒々しくなく融通無下にパワーを吐き出すV8ツインターボの息吹は格別である。

さらに21インチ(鍛造アルミホイールとともに標準装備)の巨大なタイヤを履きながらも、乗り心地は決して、少なくとも走行モードを「スポーツ+」や「レース」に切り替えない限りはスパルタンなものではない。油圧アクティブ・スタビライザーを備えるAMGアクティブ・ライドコントロール・サスペンションやリア・ステアリング、電子制御LSDなどを総動員した新型シャシーの面目躍如である。

もちろん、どこでどう振り回したら不安定になるのだろう?と思うほどハンドリングも盤石だ。というより、正直限界があるのかさえ分からない。底が知れない不気味さにAMGの意地とプライドを感じたのである。



文=高平高輝

(ENGINE WEBオリジナル)

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