2024.11.05

CARS

ドイツ人の911、アメリカ人のコルベットに匹敵する国民的スポーツカーだ by 西川淳 1位、マツダ・ロードスター 2位のアルピーヌA110に大差で圧勝!

マツダ・ロードスターにはなんと33人のジャーナリストが投票した!

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雑誌『エンジン』の大人気名物企画、「エンジン・ホット100ニューカー・ランキングス」。「いい・悪い」ではなく、「身銭を切ってでも欲しいかどうか」、「そのクルマにどれだけ大きな愛情を注げるか」に加えて、今年はオリンピックイヤーにちなんで「時代のトップランナー」も選考テーマとした。44名のホット100選考委員のジャーナリストと編集部員、そして今年もEPC(エンジン・プレミアム・クラブ)会員が加わって、2024年の今だからこそ買いたいと考える20台にポイントをつけて投票し、新車で買える注目の100台を選んだ。まずは2024年版のホット100に選ばれた上位20台をカウントダウン形式で発表する。1位は、33名のジャーナリストと4名のENGINE読者(ENGINEプレミアム・クラブ会員)が選出。4年連続の2位からついにホット・ワンを獲得したこのスポーツカーだ!

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第1位! マツダ・ロードスター(RF含む)426pt

昨秋のアップデートについては山本シンヤさんが「990Sの軽快さとRSの安定感を両立させるアシンメトリックLSD、応答性とフィールにこだわったEPS、エンジンをシャキッと目覚めさせる制御のアップデートなど、中身はフルモデルチェンジ級」と簡潔にまとめてくれている。NDはこれまでLSDやリア・スタビライザーがなく、姿勢変化を許す、ややノスタルジックな挙動のSと、サーキット走行なども考慮し姿勢変化を抑える方向のそれ以外に分かれていて、ユーザーは好きなほうを選んで楽しんできた。

初代(NA型)の登場から2024年で35周年となったマツダ・ロードスター。9年前にデビューした現行モデル(ND型)は今年1月に大幅改良を受けた。改良点の目玉は減速時も適度な差動制限力を与えるというアシンメトリックLSDの採用で、これによりターンインでよりノーズの入りがシャープになった。

それが昨秋のアップデートで、S以外に新開発のLSDが付き、リア・スタビライザーありでも絶妙な姿勢変化を楽しめるようになり、どちらを選ぶか、非常に悩ましいラインアップとなった。まぁ どちらを選んでも凡百のスポーツカーよりずっと楽しいのだが。

ロードスターは初代NAの時点で操る楽しさという意味では“正解”に達していた。それ以降のこのクルマの歴史は、安全、エミッション、燃費、騒音……と時代を重ねる度に操る楽しさを奪う方向の要求ばかりが積み重なっていくなかで、いかに同様の魅力を保つかという歴史だ。昨秋のアップデートもまさにその一環だ。速くなったわけではないし、豪華になったわけでもない。ただ遅ればせながらACCという“文明の利器”を獲得した。

インテリアのデザインはシンプル。何も足さず何も引かないといった潔さを感じる。メーターの視認性、スイッチの操作性は極めて良好。運転席に座った瞬間、馴染む感じだ。とてもフレンドリーなコクピットである。

EPCのMT好き濱ちゃんが言っている。「世界に誇れる日本の名車。NDに2年ほど乗っていましたが、手元に置くことができず、泣く泣く別れました」。いや手放したんかい! でも大丈夫。マツダは思いつきでスポーツカーを始め、売れなくなったらやめるというメーカーではない。だからマツダはトヨタやホンダのように大きくないのだ。

経営判断としてのやめ時ならとっくに逸しており、そうこうするうちに渡辺敏史さんが「もはやフォロワーも手の届かない、天上天下唯我独尊の如き存在といえるでしょう」と言うように、西川淳さんが「今や、ドイツ人の911、アメリカ人のコルベットに匹敵する国民的スポーツカーだ」と言うように、世界が廃止を許さないアイコニックな存在になってしまった。マツダがロードスターをやめる時があるとしたら、自動車メーカーをやめる時だろう。



岡崎五朗さんが「何馬力だのニュル何秒だのゼロヒャク何秒だの、そういう世界ともっともかけ離れたスポーツカー。それを生みだしたのが日本だというのが純粋に嬉しい」と言うように、とかく1を10にするのは上手いが0から1を生み出すのは苦手と言われる日本のものづくり現場から、世界中で愛されるスポーツカーが生まれたことが誇らしい。

歴代ロードスターは何も特別なことをしてきたわけではない。だれもが楽しめるパッケージ、すなわちほどよいサイズと重量と馬力の屋根開き後輪駆動車を提供しているだけだ。それを適価で、30年間以上途切れることなく提供し続けているところが偉大なのだ。長年販売し続けることで中古車市場が充実し、新車購入が難しい層にも希望を与えている点も素晴らしい。

マツダ・ロードスター
全長×全幅×全高=3915×1735×1235mm。ホイールベース=2310mm。車両重量=990kg~。フロントミドに搭載する1.5リッター直4は最高出力132ps/7000rpm、最大トルク152Nm/4500rpmを発生する。後輪駆動。車両価格=289万8500円~。

文=塩見 智 写真=奥隅圭之/柏田芳敬/望月浩彦

マツダ・ロードスターにはなんと33人が投票した!
426pt/
日下部保雄20pt+藤野太一20pt+塩見 智20pt+村山雄哉20pt+大井貴之20pt+山本シンヤ19pt+渡辺敏史19pt+高平高輝18pt+塩澤則浩18pt+上田純一郎17pt+石井昌道17pt+斎藤 聡16pt+清水草一16pt+竹岡圭15pt+菰田潔15pt+西川淳14pt+小沢コージ14pt+岡崎五朗13pt+村上 政12pt+武田公実11pt+河村康彦11pt+嶋田智之10pt+松田秀士10pt+藤島知子10pt+桐畑恒治7pt+島下泰久6pt+小川フミオ5pt+飯田裕子5pt+金子浩久4pt+島崎七生人4pt+藤原よしお2pt+佐藤久実2pt+九島 辰也1pt+EPC会員15pt

ロードスターに投票した上位5名のジャーナリストの「マイホット20」はこちらでチェック!
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(ENGINE2024年9・10月号)

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