2024.10.26

CARS

「贅沢なクルマ創りの完成形」by 菰田潔 9位は本物を知る人が最後にたどり着くモデル 自動車評論家44人が選んだ「2024年 身銭買いしたいクルマのランキング!」

第9位はチューニングではなく調律と言われる繊細な仕立てにこだわるドイツのクルマ

全ての画像を見る
雑誌『エンジン』の大人気名物企画、「エンジン・ホット100ニューカー・ランキングス」。「いい・悪い」ではなく、「身銭を切ってでも欲しいかどうか」、「そのクルマにどれだけ大きな愛情を注げるか」に加えて、今年はオリンピックイヤーにちなんで「時代のトップランナー」も選考テーマとした。44名のホット100選考委員のジャーナリストと編集部員、そして今年もEPC(エンジン・プレミアム・クラブ)会員が加わって、2024年の今だからこそ買いたいと考える20台にポイントをつけて投票し、新車で買える注目の100台を選んだ。まずは2024年版のホット100に選ばれた上位20台をカウントダウン形式で発表する。9位にランクインしたのはアメリカを代用するこのスポーツカーだ!

第9位! BMWアルピナB3&D3S(ツーリング含む) 168pt

なんと昨年とまったく同じ9位となったのは、アルピナのB3&D3S。BMWグループに収まることが確定となったいまだからこそ、という思いで13人の選考委員が票を投じている。



いよいよ来年末に迫ったBMWへの商標権譲渡。アルピナをBMWがどう扱っていくかについて公式コメントはまだ出ていない。「この繊細な味のチューニングを後に引き継げるのかはちょっと読めない感もあり」(渡辺敏史)という懸念はたしかにある。最悪のシナリオは、ピンストライプとエアロパーツとバッジだけを付けた、なんちゃってアルピナ化だ。しかしBMWが半世紀以上にわたって育んできたアルピナへのリスペクトを考えれば、最大限の礼節をもって接するのは間違いないだろうと僕は考えている。

とはいえ、BMWグループ内での将来的な立ち位置を考えると、3シリーズをベースとしたB3/D3Sは肩身が狭くなるかもしれない。もしアルピナをBMWとロールス・ロイスの間を埋めるブランドに位置づけるとすれば、大型モデル、つまり7シリーズやX7ベースのアルピナがメインになる可能性が浮上してくるからだ。



さぞかし素晴らしいクルマになるだろうが、一方でそうなった場合、3/4シリーズベースの存続は怪しくなる。もちろんこれは僕の想像にすぎないが、「将来どうなるかは定かではないが(なくなることはないはず)、気になる人はお早めに」という高平高輝さんのコメントは決して脅しじゃないし、「どんな方策を用いてでも構わないので、とにかく一日も長く延命してほしいのだ」とアピールする武田公実さんの気持ちもすごくよくわかる。それほどまでに、B3/D3Sは他に代えがたい魅力をもつクルマである。

実際、「贅沢なクルマ創りの完成形」(菰田潔)、「本物を知る人が最後にたどり着くモデル」(山本シンヤ)、「街を流すだけでも骨の髄まで染み渡るような心地よさ」(村山雄哉)、「上質な革を1枚被せたような滑らかな感触」(新井一樹)、「アルピナマジック」(日下部保雄)と、皆さん惜しみない賛辞を贈っている。

この偉業を支えているのが、アルピナ独自の調律技術だ。

かつてのようにホワイト・ボディから作りあげていくようなことはしていない。しかし、8段ATはBMWのV8/V12モデルが積む高トルク容量型をさらに強化し、ブレーキはM760i用の大容量システムに320i用のブースターを組み合わせサーボ特性を最適化。その他、20インチ鍛造ホイール(標準の19インチより4輪でマイナス13・7kg)、専用ピレリPゼロ、専用インテーク・マニホールド、専用エグゾースト・システム、専用スプリング&スタビライザーなど、BMWから流用できるものは流用しつつ、要所要所に専用品を惜しみなく奢っている。



その上で、エンジン、トランスミッション、四輪駆動、サスペンション、パワー・ステアリング、ABS、DSCといった電子制御関連のあらゆるプログラムにアルピナ独自のソフトウェアを書き込み最適化することで、速さと快適性と気持ちよさと意のままのコントロール感を最大限に引き出しているのだ。

ブッフローエ生まれ、ブッフローエ育ちの最終モデルとして新たに登場したGTはその集大成。「歴代マストバイ」(西川 淳)となれば、これはもう間違いなく見逃せない一台である。

BMWアルピナB3&D3S
BMW 3シリーズをベースとするアルピナB3はすでに最新型のB3 GTへと移行。全長×全幅×全高=4800×1850×1440mm。ホイールベース=2856mm。車両重量は1965kg。3リッター直列6気筒ターボは最高出力529ps、最大トルク730Nmを発揮し、8段ATを介して4輪を駆動する。車両価格=1660万円

文=岡崎五朗 写真=茂呂幸正

BMWアルピナB3&D3Sには13人が投票した!
168pt/菰田20pt+岡崎19pt+武田19pt+山本18pt+西川15pt+新井14pt+高平14pt+村山13pt+日下部9pt+大谷9pt+渡辺8pt+飯田7pt+藤野3pt

BMWアルピナB3&D3Sに投票した上位5名のジャーナリストの「マイホット20」はこちらでチェック!
◆乗り味は「超」高級車! モータージャーナリスト、菰田潔の「いま身銭を切ってでも欲しいクルマ20台」のランキング 1位はドイツのプレミアムカー
◆史上最高に美しいSUVがこれ! モータージャーナリスト、岡崎五朗が選んだ「いま身銭を切ってでも欲しいクルマ20台」のランキング 5位はイギリスのあのクルマ
◆生産終了、残るは在庫限り! モータージャーナリスト、武田公実の「いま身銭を切ってでも欲しいクルマ20台」のランキング 1位はイタリアのあの小さいヤツ
◆本物を知る人が最後にたどり着くモデル! モータージャーナリスト、山本シンヤの「いま身銭を切ってでも欲しいクルマ20台」のランキング 第3位はドイツのあのクルマ
◆空冷時代を彷彿とさせる麻薬的な乗り味! モータージャーナリスト、西川淳の「今この瞬間に欲しいと思うクルマ、ベスト20」のランキング 第2位はドイツのあのスポーツカー

(ENGINE2024年9・10月号)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement