2024.10.01

CARS

【海外試乗記】新たなるボルボの旗艦、EX90にモータージャーナリストの大谷達也がロサンジェルスで試乗 実に魅力的なプレミアムSUV

ボルボの新たなフラッグシップ、EX90

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電動化への道筋を調整しながらも推し進めようとするボルボ。アメリカでも生産される、最新にして最上位のBEV、EX90に試乗した。モータージャーナリストの大谷達也がリポートする。

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新たなるボルボの旗艦

ボルボの最新EVであるEX90は、さきにデビューしたコンパクトSUVのEX30とともに、電動化を推し進める同社の今後を象徴するモデルだ。

シート・レイアウトは最大2+3+2の7座となるが、モーター出力によって2つの仕様(408ps&770Nmと517ps&910Nm)があり、それぞれ座席数は5~7人の範囲で設定されている。なおICE搭載のXC90も試乗会と同タイミングで発表された。

そのことはエクステリア・デザインにも表れていて、トーマス・インゲンラートが大変革をもたらした現行モデルのデザインとはひと味異なる、より未来志向の強いスタイリングに仕上げられている。いわゆるフロント・グリルが廃されてストロボ・パターンのヘッドライトを採用したり、コの字型テール・ライトを左右でつなぐように設けられたリア・ガーニッシュなどが、そうした“新しさ”を演出する原動力となっている。



いっぽうで、インテリア・デザインはインゲンラート時代からの発展形といえる。明るいカラーを主体とし、北欧家具を思わせるシンプルさと質の高さで開放感を強調する考え方はこれまでと同様。そのうえで、大型タッチ・ディスプレイに様々な操作を集約したインターフェイスを採用した。

サステイナブル素材を全面的に採り入れたことも特徴の1つだが、レザーの代わりに採用されたノルディコという名のシート表皮はリサイクル素材とは思えないほど質感が優れている。もう1種類の、ウールを思わせるファブリックも同じくサステイナブルな素材だが、こちらもザックリとした感触や微妙な色合いが魅力的。どちらもボルボのフラッグシップモデルにふさわしい仕上がりだ。



ロサンジェルス郊外で行われた国際試乗会には、ツイン・モーター・パフォーマンスと呼ばれるトップグレードのみ用意されていた。その名のとおり前後にモーターを搭載する4WDで、最高出力は517ps、最大トルクは910Nmを発生。0-100km /h加速は4.9秒で走り抜ける、失礼ながらボルボらしからぬ動力性能を達成したモデルである。

もっとも、2チャンバー式エア・サスペンションがもたらす乗り心地は快適そのもの。とりわけ、ハーシュネスを巧みに吸収するしなやかさを備えているのに、フラットな姿勢をほどよく保つバランスのよさに感銘を受けた。

電池容量は111kWh。

だとすればコーナリングが鈍重であってもおかしくないが、これもまた車重が2.5トンを超えることが信じられないほど、意のままに操れる。

実は、EX90にはデュアルクラッチ式トルクベクタリング・システムを搭載。これは、リア・デフの代わりに2組のクラッチを用い、左右の後輪に伝える駆動力を電子制御することで、コーナリングのアジリティを高めるほか、ドライビング・モードによっては高速域のヨーダンピングを改善したり駆動系と車輪を切り離すことで電費の向上にも役立つというシロモノ。おかげでシャシー性能が全方位的に改善されたように感じられたのである。

デザイン面だけでなくドライビング・ダイナミクス面でも大きな進化を果たしたEX90は、常に人と寄り添うボルボの思想に共感を覚える人たちにとって実に魅力的なプレミアムSUVといえるだろう。

文=大谷達也 写真=ボルボ・カーズ

(ENGINE2024年11月号)

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