2024.10.25

CARS

地球上に敵なしのジムニーと狂気の爆速オフロード4WDのG63の対決 自動車評論家の清水草一が価格15倍以上のジムニーとGクラスを乗り比べて分かったこととは?

もともとはあくまで機能ありきで産まれたオフロード・カーだったのになぜかオンロードはもちろん、都心でも大人気となった日独大小の4WD、スズキ・ジムニーとゲレンデヴァーゲンに乗ってモータージャーナリストの清水草一が感じたこととは。

地球上におおむね敵はいない

カーマニア的な見地からすると、いま世界で最も“濃い”クルマが揃っているのは、日本車ではないだろうか。その主な理由は、欧米勢がEVシフトを強めたからで、EVファンにすれば、逆に日本車は不毛の地かもしれないが、内燃エンジン搭載車に限れば、日本車は大変な多様性を持っており、カーマニア泣かせなモデルもテンコ盛りである。



中でもスズキ・ジムニーは、最も濃い一台だ。

ジムニーは、現在もラダーフレーム+4輪リジッド・サスペンションを持っている。4WD機構も、古風なパートタイム方式を守っている。今どきそんなクルマ、ジープ・ラングラーとジムニーくらいしかない。その上MTが残されているのだから、それだけで猛烈に濃い。

しかもジムニーは、圧倒的にサイズが小さい。なにしろ軽自動車規格だから、特に全幅の狭さに関しては、地球上におおむね敵はいない。



サイズが小さいから、その分軽くもある。悪路走破性は、基本的には軽くて小さいほうが有利。道が狭ければなおさらだ。いずれにせよ、ジムニーのオフロード性能は世界屈指である。こんなクルマ、スズキにしか作れない。

かくもジムニーは濃い上に、とんでもなくカッコいい。スタイリングはパーフェクトに機能優先で、たくらみがまったくない。ジムニーのデザイン開発陣は、あえて「何もしなかった」というが、本当に何もしていない。そんなクルマも稀有である。



過去3代のジムニーと比べても、現行ジムニーのデザインの達観ぶりは際立っている。初代はあくまで「ウィリス・ジープ」のミニチュア版だったし、二代目・三代目は、どこか時代にすり寄っている部分も感じられた。しかし現行ジムニーのルックスは、すべての欲を捨てた即身仏。誰も文句をつけられない。

あえて難クセをつければ、「メルセデスGクラスにソックリじゃないか!」ということになるが、「Gクラスソックリに見えるかもしれないなぁ」という危惧すら捨て去って、何もしていない。それがたまらなくカッコいい。



ジムニーの国内向けの生産が追い付かず、いまだに納車待ち約一年が続いているのは、あまりにもデザインがカッコいいからだろう。世界屈指のオフロード4WD性能という裏付けがあるにせよ、林道を走るのに必要だからという人は、ごく一部のはずである。

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