2024.10.30

CARS

ヤフオク7万円のシトロエン・オーナー、エンジン編集部ウエダの悲しい自爆のガリ傷事件と、予備のホイール探し【シトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#53】

蔦屋書店代官山T-SITEへ買い物に来たところ。入口が狭いが、車止めがないのはうれしい。奥のロールス・ロイスとリア・エンドの位置はほぼ同じです。

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ヤフー・オークションで7万円のシトロエン・エグザンティアを手に入れ、10カ月と200万円かけての大規模修復後、走り出したエンジン編集部員ウエダによる自腹散財リポート。今回は恥を忍んでご報告する復帰後すぐの事件と、そのおかげで色々調べることになったある部品の捜索について。

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天国から地獄、ならぬ天国から自爆

前回のリポートの最後で「平和な日々が訪れた」と書いたのだが、実はクルマを引き上げたその夜だけは悲しい出来事があった。まずはその時の様子をご報告する。



それはテスト・ドライブを兼ねた、東京の自宅までの帰り道のことだった。たまたま綺麗な夕暮れに遭遇し、写真を撮っていたら周囲はすっかり真っ暗。都内に入る頃には、燃料計の針もほぼゼロを指していた。

たまたま燃料価格をリアルタイム検索できるアプリを知人に教えてもらったばかりだったので、安いところはないかと探してみる。すると普段行かないちょっと離れたガソリン・スタンドが、近隣に比べてやけに安いことが分かった。

しかし考えることは誰もが同じようで、夜9時前だというのにそのスタンドの周辺はクルマが溢れていた。エグザンティアの給油口は車体の右側後方なのだけど、空いていたのは左側に対応している給油機。他が空くのを待とうかと思ったのだが、スタンドのスタッフはバックから入れて欲しいという。次々と来るクルマをさばくのも大変なのだろう。向きを変え、お尻から寄せる。

リポート車が60リットルくらいのハイオク・ガソリンを飲み込んだところで給油機は自動停止。粘ればもう少し入れられるだろうけれど、僕はこのオートストップ時点のガソリンの量で燃費計算をずっとしているので、これで給油完了とする。

バックで入ったのでとうぜん出口に対しては逆向きだ。スタッフはわざわざ右側後方へ誘導をしてくれたのだが、その声に頼りきっていたのがいけなかった。まったく気がつかなかったのだけれど、この給油機はいちばん道路側にあり、歩道との境に高さ10cm弱の白い目立たない縁石があったのだ。

すぐ後ろにいるスタッフの「オーライ、オーライ」という声に従ってステアリングを切りながら下がって行くと、ぐにょり、と変な手応えが伝わってきた……。

タイヤ側面にも白い跡が残っている。

まだスタッフは「オーライ、オーライ」と言い続けているが、僕はいったんシフトレバーをPポジションに入れ、外へ出た。……嫌な予感は的中。右後方へお尻を振って出ようとステアリングを右へ切っていたので、左前輪のホイールが段差に乗り上げかけている。リポート車のタイヤの扁平率は65%とある程度厚みはあるけれど、角度が悪かったのか、アルミホイールのリムにうっすらと傷がつき、縁石部分に当たったのだろう、タイヤのサイド・ウォールには白い跡が残っていた。

ホイール・バランスは取り直しに

まさにクルマが仕上がった、その夜にこんなことにならなくても……と落胆したのだが、やってしまったものは仕方がない。誘導していたスタッフに状況を説明。おそらく夜間はほぼワンオペに近い状況なのだろう。それでも作業の手を止めて傷を確認し「明日、責任者と話して欲しい」とちゃんと対応してくれた。



幸い走り出しても、ホイールのブレなど違和感はなかった。だが翌朝、明るいところでエグザンティアをまじまじと見ると……。ほんとうに薄く小さなガリ傷だし、こんなの本人以外まったく誰も気にしないだろう。走行に支障があるとも思えない。けれど、気分が落ち込んでいくのは自分でもよくわかった。僕は昨日スタッフに聞いた連絡先に電話し、あくまで運転していた自分に責任があるのは理解していると伝えた上で、事情を説明した。



ガソリン・スタンドの責任者は話を丁寧に聞いてくれ、さらには防犯カメラで昨晩の様子も確認したようで、スタッフが確認をせず誘導したことを認めた。見た目の傷はともかく、走ることについて異常があるのは困る。結局このガソリン・スタンドに再訪し、点検をすることになった。

そういうわけで復帰直後にもかかわらず、エグザンティアは早々にまたリフト・アップ。左前側ホイールは外され、タイヤ側面の点検と、バランサーにかけてのチェックを実施。幸い異常は何も見つからなかった。後退時だったので、ごくゆっくりとした速度だったのも良かったのかもしれない。

後日、このホイールとタイヤについては再度カークラフトでも点検をしてもらったのだが、やはり異変はなかったようだ。ホイールのリムのガリ傷については、取り急ぎ次回のタイヤ交換までお預けすることにした。そしてきっと補修の間は予備ホイールが必要だから「その捜索自体を楽しもう!」とポジティブに考えようと決めた。

現状のアクティバ用の15インチ・アルミホイールからいったん何に履き替えるべきか。純正? 社外品? どうせなら乗り心地の向上も狙えるし、タイヤ代も抑えられるから、極初期型のエグザンティアのような14インチへのサイズ・ダウンも試してみたい。

この年代のエグザンティアのインチ・ダウンは、ホイールによってはクリアランスがなく、リアのブレーキ・ディスク裏側のバックプレートに干渉しやすいらしい。アルミホイール内側によく貼るウエイトすら、気をつけないといけないほどの隙間しかないそうだ。でも純正サイズのスチールホイールならいけるかも……。

ネットを検索すると、シトロエンC3にスチールホイールを履かせ、さらにベルランゴなど商用車用のセンター・キャップや、リム部分のトリム・リングまで付けている面白い例も見つかった。

落ち込んでいても何もはじまらない。とにかく前向きに予備のホイールの情報をどんどん集めていこう、そう僕は思うことにしたのだった。




ホイールはとかくぶつけやすいもの。世には大径のホイールが溢れ、街をいくクルマのリムはたいてい傷だらけだ。仕事がら毎日のように乗るクルマの扱いにおいて、いちばん気をつけているのもホイールやリムの接触事故である。繊細な足まわりの味つけを維持するため、車止めなどにも、極力タイヤを当てないよう配慮している。今回のことは、たぶん人間でいえば、勢いよくつま先をタンスの角にでもぶつけたようなものか……。きっとエグザンティアもさぞ痛かったに違いない。これからも、くれぐれも気をつけるようにします。

なおホイールのリムの補修や、予備のホイールについては、また回を改めて報告したい。

さて次回は、またしてもメーターの付近で悪さをする座敷童が現れたことと、お買い物の話。食欲の秋、ならぬ物欲の秋として、手に入れた2つのものについてご報告する。

■CITROEN XANTIA V-SX
シトロエン・エグザンティアV-SX
購入価格 7万円(板金を含む2023年9月時点までの支払い総額は276万7262円)
導入時期 2021年6月
走行距離 17万9887km(購入時15万8970km)

文と写真=上田純一郎(ENGINE編集部)

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