2024.12.18

CARS

ヤフオク7万円のシトロエン・オーナー、エンジン編集部ウエダ 入手困難なパーツを求めてふたたび海外行きを企てる! その2【シトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#56】

ハイドローリック・シトロエンの複数台持ちオーナー取材のため、比較用に借り出したC5 Xプラグインハイブリッドとリポート車両。

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ヤフー・オークションで7万円のシトロエン・エグザンティアを手に入れ、10カ月と200万円かけての大規模修復後、走り出したエンジン編集部員ウエダによる自腹散財リポート。2023年はポーランドとフランスを訪ね、エグザンティアに関する2つのイベントに参加したが、それに続き、2024年もふたたび海外に出かけることになるきっかけをご報告する。

ハイドロ車維持の要となる部品

ポーランドでフランス車の情報を発信しているウェブサイト、francuskie.pl(フランクスキー.pl)の編集長、Krzysztof Gregorczyk(クシシュトフ・グレゴルチク)さんと日本で再会した時点では、僕はまったく彼の国を再訪することなど考えていなかった。では、なぜ、ふたたびポーランド行きが決まったのか。実は最初に目指すことになったのは、ポーランドではなく、隣国リトアニアのある企業だった。



話は2023年の秋に遡る。僕はFacebook上で、あるニュースを目にした。日本シトロエン・クラブのメンバーが【XMのストラット・マウント販売情報】というタイトルで、海外でラバー製のストラット・アッパーマウントが再生産されることを発表したのだ。

このストラット・アッパーマウントはエグザンティアをはじめ、XMやBXなどハイドローリック・システムを備えるシトロエンたちの鬼門である。サスペンション・シリンダーと車体と窒素ガスの入ったスフェアを繋ぐ、金属のドームと筒の間をラバーで囲んだ構造の部品なのだが、経年劣化でこのドーム内側のラバーが崩壊し、最終的にはドームとシリンダーがボンネットを突き上げ変形させるという、とんでもないリスクを背負っている。

走行中の突き上げ事例はあまり報告されていないが、停止中に遭遇した経験者によれば「ボン!」という音と共にいきなりボンネットが持ち上がり、ぐにゃりと変形してしまうそうだ。当然こんなことになればまったく動けなくなる。鈑金修理に必要なコストも手間もかなりのものになる。かつてはこれを恐れ、エグザンティアを降りた人も少なくない。XMではリコール対象にもなったようだが、エグザンティアやBXではそうした対応はされていない。

こちらはボンネットを突き上げてしまった初期型XM。こうなってしまってはもう身動きは取れない。

いわゆる“アッパーマウント抜け”、いうなれば“ボンネット突き上げ病”とも言うべきこの現象は、2世代ある近年のC5ではあまり事例を聞かないが、C6でも同じ現象があると、ウェブ上ではときおり話題になっている。

日本シトロエン・クラブのメンバーによれば、なんと再生産されるラバー製のストラット・アッパーマウントの金型は、ステランティスから正式に入手した図面を元に造られている。そして驚いたことに、エグザンティアにも対応可能だというのだ!

やりとりは日本を愛するオランダのシトロエンXMオーナーが対応してくれる上に、ロシアのウクライナ侵攻以来高騰し続けている輸送料金も、共同購入を募ることでかなり圧縮できるらしい。価格は送料別で左右一対350ユーロと、さほど高くもない。保障は購入から3年間。ただし製造はこのとき発注する1ロットのみで、次の生産予定はないという。

もちろん僕は即、購入を決意。速攻で手を挙げたのだが、残念ながらマウントのバリエーションが少ないXMに対し、エグザンティアは複数あるサスペンションの構造ごとに細かく仕様が異なっており、なんとエグザンティア用については再生産計画自体が中止となってしまった……。そして、このことがきっかけで、僕のストラット・アッパーマウント捜索は、火がついてしまったのである。

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