2024.11.01

CARS

これは間違いなく史上最速のウルスだ! プラグイン・ハイブリッドのウルスSEにモータージャーナリストの島下泰久が試乗!!

ラインナップに追加されたプラグイン・ハイブリッドのウルスSE。

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ランボルギーニのSUV、ウルスにプラグイン・ハイブリッド・モデルのウルスSEが追加された。レヴエルトに続く電動化はどうだったのか? イタリア、ナルドで開かれた国際試乗会からモータージャーナリストの島下泰久がリポートする。

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アップデート版ウルス

旗艦レヴエルトに続くプラグイン・ハイブリッドの採用による電動化は、単に燃費向上のための施策ではない。パフォーマンス、そして快適性など、あらゆる面で従来の内燃エンジン・モデル、ウルスSを凌駕する存在だとランボルギーニが謳うのが、新たに登場したウルスSEである。

ランボルギーニのSUV、ウルスにプラグイン・ハイブリッド・モデルのSEが追加された。


実際、ウルスSEは内外装、シャシーにも大きく手が入れられている。単なる新たなパワートレインの追加ではなく、まさしくアップデート版ウルスと位置づけられているのだ。

イタリアを靴と見立てたならば、ちょうど踵の内側辺りにあるテストコース、ナルド・テクニカル・センターを起点とした試乗会で対面したウルスSEの外装は、全高を抑えた独特のフォルムを継承しつつ、大幅なお色直しが行なわれていた。



フロントまわりでは、闘牛の尾かがモチーフだという円弧を描くかたちのDRLシグネチャーが新しい。同時に変更されたボンネットはフードが前方に伸ばされ、レヴエルトに似たテイストを感じさせる。

リアにまわると、センターピークに折れ線が入り、ライセンス・プレートは低い位置に移動。重心を低く見せている。ちなみにテール・ライト下に入れられたメッシュは、ガヤルドのテールにヒントを得たそうだ。



全体に猛々しさが少しだけ抑えられ、洗練の方向に振られた。外観の第一印象は、そんなところである。

インテリアも大きく改変された。ダッシュボードは水平基調が強められたデザインとなり、レヴエルトのディテールを引用するかたちでメーター、インフォテインメントなども一新されている。

注目のパワートレインは、これまで同様のV型8気筒4リッター・ツインターボ・エンジンに、8段ATに内蔵される電気モーターの組み合わせ。システム最高出力は800ps、最大トルクは950Nmに達する。



車体後端のラゲッジスペースの床下に積まれるリチウムイオンバッテリーの容量は25.9kWhで、EV走行距離は60km以上。一方で動力性能は、0-100km/h加速がウルスSよりコンマ1秒速い3.4秒、最高速が同様に7km/h速い312km/hに達する。間違いなく史上最速のウルスである。

デフォルトのハイブリッド・モードでのウルスSEは、十分な電気があればそれを主体に、至極滑らかで静かな走りを披露する。エンジンは必要に応じて始動、停止を繰り返すが、無粋なショックなどとは無縁。それどころかトルキーな電気モーターの加勢により、速さも上質感も高まっているのが嬉しい。



もっとも、電気モーター単体でも192ps、483Nmと強力なだけに、日常的にはEVモードでも十分事足りる。エンジン出力を用いた充電モードもあるので、充電設備が無くても、そうした旨味は享受可能だ。

ナルドではオフロード走行とドリフトを試すこともできた。現在はポルシェが所有するこのコースは、有名な高速周回路以外にも多様なコースが用意されたウルス開発の主たる拠点なのである。

ここでは、800psものパワー、2.5トンにもなる車重にもかかわらず、徹頭徹尾リニアな操縦性に舌を巻いた。クルマだけが勝手によく曲がるとか、意にそぐわない動きをするようなことは無く、ドリフトもまさに意のままに楽しめる。

実はウルスSEは、センターデフが従来のトルセン式から電子制御多板クラッチ式に置き換えられ、リアには電子制御LSDが組み込まれている。フィードフォワード制御の最新のソフトウェアを用いるとは言え、ハードウェア的には新味は無いが、これは違和感、人工的な動きを避けるための敢えての選択だという。さすが自らランサー・エボリューションやR32~35のGT-Rを所有し、ドリフトも大好きな走れるエンジニア、ルーベン・モール チーフ・テクニカル・オフィサーの仕立てである。

垂涎のパフォーマンスを一層の高みに押し上げる一方で、内外装や走りは、より洗練度が高められたウルスSE。デザインにしてもPHEV化にしても、変化の大きな時代に於ける社会的受容性に配慮しながら、ファンをしっかり驚かせ、納得させる巧みな進化を果たしたと言って良さそうである。

文=島下泰久 写真=Automobili Lamborghini S.p.A.

■ランボルギーニ・ウルスSE
駆動方式 エンジン縦置き4輪駆動
全長×全幅×全高 5123×2022×1638mm
ホイールベース 3003mm
車両重量 2500kg
エンジン V型8気筒DOHCツインターボ+モーター
排気量 3996cc
最高出力 620ps/6800rpm
最大トルク 800Nm/2250~4500rpm
モーター最高出力 192ps
モーター最大トルク 483Nm
変速機 8段AT
サスペンション 前&後 マルチリンク/エア
ブレーキ 前&後 通気冷却式ディスク
タイヤ 前 後 285/45ZR21 315/40ZR21
車両本体価格 3150万円~

(ENGINE2024年12月号)

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