2024.11.03

CARS

自然吸気エンジンのポルシェ911の最高峰、GT3が992.2型に進化 果たして、その中身は?

992型「ポルシェ911カレラ」がマイナーチェンジで992.2型へと進化したのに伴い、自然吸気エンジンを積む911の最高峰というべき「GT3」にも新型が登場した。

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最新の排出ガス基準に適応

911GT3のキモというべき、4.0リッター水冷水平対向6気筒ユニットは2つのパティキュレート・フィルター(粒子状物質除去装置)、4つの触媒コンバーターの装着によって、最新の排出ガス基準に適応。また、改良されたシリンダー・ヘッド、「911GT3RS」譲りのカムシャフト、最適化されたスロットルバルブとオイルクーラーなどにより、最大トルクこそ先代から20Nmダウンの450Nmとなっているが、最高出力は510PSをキープしている。



0-100km/h加速は従来値を維持

そこに組み合わされるギヤボックスはデュアルクラッチ式7段自動MTのPDK、もしくは6段MTで、最終減速比が8%落とされた結果、PDK装着車の0-100km/h加速は3.4秒、6段MT車は3.9秒と先代と同一。しかしながら、最高速度はPDKが311km/h、6MTが313km/hへと、ともに7km/hダウンしている。

一方車体側の軽量化がさらに推進され、シルバーカラーの軽量アルミニウム・ホイールの採用でバネ下重量を1.5kg以上軽減。さらに「ヴァイザッハ・パッケージ」、「ライトウェイト・パッケージ」のマグネシウム製ホイールを装着すれば、9kgもの軽減ができるという。加えて4kg軽量化された新しい40Ahのリチウムイオン・バッテリーを搭載。スペックシート上の空車重量(DIN)はPDKが1479kg、6MTが1462kgと先代より44kg重くなっているが、最も軽量な構成を選択した場合、その重量は1420kgに抑えられているという。



フロントまわりの意匠を若干変更

エクステリアでは、まずフロント・インテーク、リア・ディフレクターまわりのデザインが変更されシャープな雰囲気になった。また、フロント・ディフューザーの輪郭、スポイラー・リップの形状、アンダー・ボディのフィンなど細かな改良が施された結果、ダウンフォースの発生量が増大している。

また、LED式マトリックス・ヘッドライトがデイタイム・ライトなどすべてのライト機能を備えるよう改良されたことで追加のライトが不要となり、エア・インテークの拡大とエア・フローの向上に繋がっている。またリア・ウイングも角度のついた新デザインのサイドプレートが採用され、新型の識別点の1つとなっている。



バケットシートに胸部エアバックを内蔵

新型911カレラで初採用されたスターター・ボタンではなくロータリー式のイグニッション・スイッチがあえて継承したコクピットの意匠は基本的に先代と同一。オプションでロールオーバー・バーやバケットシートが用意されるが、新しい軽量スポーツバケットシートは、胸部エアバックを内蔵。調整は上下が電動、前後が手動となる。

また、オプションで3段階のシート・ヒーターを装着できるほか、ヘッドレスト・パッドの一部が取り外し可能となり、ヘルメットを被った時のドライビング・ポジションが改善されたのがトピックといえる。



サス・アームの形状を変更

脚まわりに目を向けると、フロント・ダブルウィッシュボーンはトレーリングアーム断面をティアドロップ型としたことで高速時にホイールアーチ内のダウンフォースの増加とブレーキ冷却を改善した。

さらに、ブレーキング時の前後ダウンフォース量のバランスが取れるよう、ロア・トレーリングアームのボールジョイントをフロント・アクスルより低くし、アンチダイブを軽減するといった、911GT3RS譲りの技術が採用されているのが特徴的だ。ちなみに、タイヤ・サイズはフロントが255/35ZR20、リアが315/30ZR21で従来モデルから変わっていない。



ヴァイザッハ・パッケージを設定

また、シリーズで初めて「ヴァイザッハ・パッケージ」を設定。アンチロールバー、カップリング・ロッド、リア・アクスルのシア・パネルに加え、ルーフ、リア・ウイングのサイドプレート、ドア・ミラーのトップシェル、ミラー・トライアングル、フロント・エリアのエア・ブレードがCFRP製となるほか、911GT3で初めてダッシュボードの上面に反射防止のRace-Texを貼り付けられた。CFRP製のドア・ハンドルと収納ネットの採用で軽量化されたドア・パネルを装備。そのほかCFRP製ロールケージ、鍛造マグネシウム・ホイールもオプション設定される。

そのほかGT3では、追加料金なしでボルト固定のスチール製ロールケージ、ドライバー・シートの6点式シートベルト、消化器といったサーキット走行用の「クラブスポーツ・パッケージ」をチョイスすることも可能となっている。



ウイング・レスのツーリング・パッケージも選べる

通常のGT3と同時にリアウイング・レスの「ツーリング・パッケージ」も用意される。もちろん固定式のリア・ウイングがない代わりにティアオフエッジを備えた伸長式のリア・スポイラー、ガーニーフラップ、アンダー・ボディのフィンなどを装備することで、エアロダイナミクスのバランスは保たれており、GT3の速さと911らしいシックな外観を求めるユーザーには、格好のチョイスとなっている。

ツーリング・パッケージには、エクステリア同色ルーフ、CFRP製のスタビライザー、カップリング・ロッド、リア・アクスルのシア・パネル、鍛造マグネシウム製ホイール、軽量ドア・パネル、「911S/T」の短縮シフト・レバーを備えた「ライトウェイト・パッケージ」を用意される。

なお、911GT3の販売価格はPDK、6MT、右ハンドル、左ハンドル問わず、2814万円。911GT3ツーリング・パッケージも全仕様とも2814万円で、2024年内の予約受注開始を予定している。

なお、オーナーは車両と合わせてポルシェ・デザインの911GT3クロノグラフ、911GT3ツーリングパッケージ・クロノグラフを購入することも可能である。



文=藤原よしお

(ENGINE WEBオリジナル)

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