2025.02.04

CARS

2台持つとクルマはもっと楽しい! 911カレラとケイマンを愛するオーナーの、背伸びをしない素敵なポルシェの楽しみ方とは

ポルシェ911カレラ(2002)とケイマン(2008)を大切にしながら楽しんでいる。

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猫かわいがりはしない

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犬田さんは911に愛情を注ぎつつも、過剰な気遣いはせずに使い込んできた。こうしたスタイルがかえってクルマの好調を保つ秘訣なのかもしれない。911を通じて知り合った仲間たちとも交流を深め、いまは週末ごとに色んな場所に仲間と足を延ばしているそうだ。

「“おははこ”って呼んでいる箱根での早朝ドライブに行ったり、みんなでおいしい海鮮のランチを食べに出かけたり、あるいは仲間にクルマが納車されたらお披露目会をしたり。毎週のようにイベントが盛り沢山です。ただそういう時にクルマが大きなトラブルに見舞われたら困るなとも思い始めたんですよね」

漠然とそんな思いが頭をよぎっていたときに出合ったのが現在のもう一台の愛車、ケイマンだ。987世代の2008年モデルである。

「世代が少し新しいぶん、エアコンもしっかりと効きますし、乗り心地もいいですね。夏場や長距離に出かけるときはこちらの稼働率が高まります」。

「急な話だったので、クルマの詳細はあまり把握していないんです(笑)。会社の先輩からどうかって言われて、911の距離もどんどん伸びているし、いっぽうで紹介されたケイマンも自然吸気の六発でマニュアルというベーシックな仕様が魅力的で、しかも新車の軽自動車程度の価格で売ってもらえるということだったので、だったらこちらも持っておくべきかなと思って購入に踏み切りました」

等身大のポルシェライフ

ここまででわかるように犬田さんはポルシェの購入に際して決して無理はしていない。そのスタイルは等身大で実践する2台持ちなのである。また、いずれもほぼノーマルのままで乗られているというのも好ましい。

「ポルシェは完成度が高いので、あえて手を入れる必要を感じません。足回りなどを換えるのもひとつの楽しみ方とは思いますが、素の良さを損なうリスクもありますから」



911はリア荷重による高い安定感と、パワーを生かした力強い走りが魅力であり、ケイマンはミドシップらしい旋回性の高さと軽快感がたまらないという犬田さん。その時々の気分やシチュエーションでベストなほうを連れ出し、それぞれの個性を最大限に楽しむスタイルが犬田さんのクルマへの深い理解を物語っている。自身は普通のクルマ好きなサラリーマン、というスタンスを崩さないが、実際は某自動車メーカーのエンジニアであり、その視点がクルマの選択や楽しみ方に表れている。

「新車の試乗にも積極的に行ったりしますよ。たとえばシートに着いた瞬間にペダル位置とかが悪くてポジションが決まらないとか、走り出してみるとステアリング・レスポンスは意外といいぞとか。クルマってカタログの数値だけじゃわからないことがたくさんありますから、触れて、乗ってみてわかることって多いですよね。そこも面白いんです」

2台で楽しむブランドの世界観

他人からはどうして同じブランドのスポーツカー? と奇異に見えたとしても、キャラクターが違えば楽しみ方も異なる、ということだ。もちろん他にも惹かれるクルマはあるそうだが、今の犬田さんにとってはこの2台がベストマッチだそう。



「仲間のスーパースポーツカーと一緒にワインディングを走っていても、くねくねとした道では結局速さは変わらない。911もハイブリッドが加わりましたし、ケイマンもEVになるって話がありますよね。いまは自動車の過渡期ですから色んなタイプのクルマに乗れる楽しみはありますが、パワーがありすぎても手に負えないし、電気はまだ不便なところもある。その視点で見れば、911もケイマンもこの世代は扱いやすいサイズで、日常ならこれくらいのパワーの自然吸気フラットシックスが最高。しっかりと踏めてその走り味の違いも楽しめる。ポルシェの世界観がじっくりと味わえますね」

決して背伸びをすることなく、ポルシェというブランドを満喫するにふさわしい2台の組み合わせは、やはり贅沢で、羨ましく、見習いたいスタイルのひとつである。

文=桐畑恒治 写真=茂呂幸正

(ENGINE2025年2・3月号)

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