2025.02.08

CARS

ヤフオク7万円のシトロエン、日本製パーツの流用で、経年劣化でボロボロの複雑怪奇なハイドロ配管を新たに造り直す! シトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#62

カークラフトにて作業中のエグザンティアと、2人いる主治医のひとり、篠原大輔さん。オーディオのコントロールを司るステアリング・スイッチに続き、困難かつ忍耐力を要する今回の作業は、主に彼が取り組んでくれた。

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ヤフー・オークションで7万円のシトロエン・エグザンティアを手に入れ、10カ月と200万円を投じての大規模修復をするも、走りながら次々とトラブルに見舞われ、さらに80万円以上をつぎ込んでいるエンジン編集部ウエダによる完全自腹の散財リポート。今回のテーマはハイドローリック・シトロエンの命、LHMを通す配管だ。日本の技術と日本のメカニックの知恵を活かし、フランス製のオリジナルを破棄して新たに造り直した模様を報告する。

4度目の緊急搬送

2024年2月中旬の朝、あらかじめ駐車場の床にダンボールを敷いてからエグザンティアを始動すると、昨日同様、やはりかなりの勢いでLHMが流出してきた。これまでの小さな染みとは、勢いが違う漏れ方だ。エンジン・ルーム内の車体下部から漏れているのは分かるが、どうやら配管の継ぎ目程度ではなさそうだ。応急処置のレベルでは、いかんともしがたい。



LHMや冷却水の漏れのため、保険会社にキャリアカーで搬送を依頼するのも都合4度目。すっかり手順は頭に入っているから、スムーズに連絡は取れる。小一時間後にやって来た搬送業者にLHM漏れの状況を伝えながら、僕は心を決めた。

先ほど受け入れ先となる主治医のカークラフトからは、LHM配管の新規製作のめどが立ったという吉報がもたらされていた。もう、こんな状況に慣れてはいけない! これを最後にしよう。徹底的にLHMの配管と向き合って、この病魔を完治させよう!

ちょうど1カ月後には大規模修復後、初の車検も迫っていた。僕はリポート車にカークラフトへ向けた作業の依頼項目をまとめた書面を載せて、キャリアカーを見送った。

若手2人と年配2人

ちょうどこの頃、新潮社ENGINEの2024年5月号巻頭特集「ちょっと古いクルマ探検隊。」で、実際に古いクルマを所有するオーナーを何人か取材するとともに、編集部員の愛車を紹介するページを作ることが決定。登場するのは、20代の若手2人が乗るポルシェ・ケイマン(987型)とマツダ・ロードスター(NB型)、そして還暦を向かえたウェブ・ディレクターの乗るフィアット・ムルティプラ(2代目)と、アラフィフの僕のエグザンティアである。



この4台と4人が集まるつもりだったのだが、もちろんリポート車はすでに工場入りしている。結局卒業アルバムの欠席児童のような形で、エグザンティアだけ別途撮影しての誌面参加となってしまった。

この企画のタイトルは僕がつけた「エンジン編集部員の愛車たちも、やっぱりちょっと古いクルマばかり。純粋培養の若手組と、偏愛の年配組」というもの。頭金なし96回払いの8年ローンで購入したけど、スキーやスノーボードを載せて雪道も走る。ワンメイク・レース参加で火が付いてしまい、都合3台目となる同じクルマを買ってしまう。英国向けの並行輸入車を買って、すでに20年あちこち修理しながら乗り続ける。いやはやこうして文字にしてみると、こだわりの面々の、ものすごく偏ったクルマばかりである。もっとも、人のことはあまりいえないのだけれど。

それにしてもお互いのクルマを見て触れて、こんな風に出会った、あそこは部品がなく苦労した、ここはお金がかかった……などなど他愛もない話をするのは仕事抜きで本当に楽しかった。普段机を並べていても、クルマに対する考え方や趣味趣向は人それぞれだからオモシロイ。

でもいっぽうで、こういうときは自分のクルマがその場にいないだけで、なかなか辛く悔しい思いをすることも、あらためて知った。このリベンジをするためにも、やはり手を入れるなら徹底的にいこう。僕は密かに涙しつつ、決意を胸に刻んだのだった。

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