2025.03.03

CARS

ヤフーオークションで見つけた初代ロータス・エランと半世紀ぶりに路上に復活したホンダS500

クラシックカー&ヒストリックカーのイベント「ノスタルジック2デイズ」の目玉企画のひとつとなっている「選ばれし10台」。主催社が発行する『ノスタルジックヒーロー』と『ハチマルヒーロー』の両誌の公募によって選ばれた10台クルマ(今年はプラス1台のスクーター)が会場に展示された。第4弾は2台のライトウエイトのオープン・モデルを紹介する。

1971年式 ロータス・エラン・スプリント

ロータス・カーズの創業年は1952年だが、創設者のコーリン・チャップマン氏はそれ以前からクルマの改造などを行い、レースに出場していた。同社は1958年にはF1へ参戦するまでに成長するが、企業経営としては苦しい時代であった。その状況を打開したのが1962年に登場するバックボーン・フレームを採用したエランであった。エランは完成車のほかにもキット・カーとして販売され、ヒット・モデルとなる。



オリジナルを保つ

エランは1962年に登場したエランはシリーズ1と呼ばれる。搭載されたエンジンは英国フォードの直列4気筒OHVにロータスが開発したDOHCヘッドを組み合わせたものだった。初代エランはシリーズ4まで存在する。この個体はシリーズ4の最終型であるスプリントである。スプリントの特徴は上下2分割に塗り分けられたボディにビッグバルブと呼ばれる126psのエンジンを搭載するところにある。

現オーナーは2023年にこの個体を入手している。2022年にフルレストアが済んでいたモデルをヤフーオークションで見つけ、名古屋から東京まで高速道路を自走で持ち帰ったとのこと。そのときの燃費が15km/リッターというから、いかに効率のいいエンジンで軽量なボディであるのかがわかる。現オーナーはできるだけオリジナルを保ちたいため、メインテナンス以外、カスタムやチューニングは行わない方針だが、エンジンのヘッドカバーのみDIYによる鏡面仕上げとしてアクセントをつけている。



1964年式 ホンダS500

本田宗一郎氏がホンダ技研工業の前身となる本田技術研究所を静岡県浜松市に設立したのは第二次世界大戦後間もない1946年のこと。当初は自転車に取り付ける補助動力用のエンジンなどを手掛けていたが、やがて2輪車の製造を開始する。

1962年に4輪車への進出を表明。1963年8月にホンダ初の4輪車となる「T360トラック」を発売、同年9月に2シーター・オープンのスポーツカーとなるこの「S500」を発売する。つまりS500はホンダ4輪車として2車種目、ホンダ乗用車として初のモデルとなる。



チェーン駆動

S500は前年の1962年に開催された全日本自動車ショウで展示された「ホンダ・スポーツ500」の市販版である。搭載されたエンジンは531ccの水冷直列4気筒で、ボンネット内に縦置きに配置。その後にトランスミッション、プロペラシャフト、デファレンシャルと通常のFR(フロント・エンジン後輪駆動)車と同じ構成を持つが、デファレンシャルは後輪軸よりも前に置かれ、その先の左右輪にはチェーンで動力が伝達される。なんとも2輪車メーカーらしい発想の、ほかには類を見ない構造である。なお、このチェーンを収めるケースがサスペンション・アームを兼ねている。

展示されたクルマは2000年頃から前オーナーがレストアを始めたもので、2010年ごろに現オーナーが引き継ぎ、2024年にレストアを終えて路上に復帰している。最後の抹消登録が1973年ということなのでじつに51年、半世紀以上の年月を経ての復活である。あらゆる部分がレストアされているが、現オーナーはウインドウデフレクター・トップやバッテリー・カバー、フロアマットなどの仕上がりがとくに気に入っているとのこと。



文=諸星陽一

(ENGINE WEBオリジナル)

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