2025.05.05

CARS

「実際は軽くないのに落ち着きに転化した乗り心地は秀逸の一言」と島下泰久(モータージャーナリスト)が絶賛したクルマとは? 5台の注目輸入車にイッキ乗り!

島下泰久さんが乗ったのは、レンジローバー・スポーツ・オートバイオグラフィーP550e、フィアット600eラ・プリマ、シボレー・コルベット Z06、アルピーヌA110 GT、アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオの5台

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アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ「不器用さが愛おしい」

走り出してすぐに思ったのは「こんな良いクルマだったっけ?!」ということだった。ジュリア・クアドリフォリオ、思えば久しぶりの試乗だったが、最新のモデルはフルLEDマトリックスヘッドライトの採用で顔つきが精悍さを増し、そしてリアに機械式LSDが入れられるというマニアックな改良が施されている。

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アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ

鮮烈なのが操舵応答性の鋭さで、クイックなステアリングを切り込むと、まさに切れ込むように全身一気に向きが変わる。別に飛ばしてなくても操るのが楽しくて仕方がない。

豪快に、けれどスムーズに吹け上がる2.9リットルV6ツインターボエンジンも、あふれる快感に、とにかく踏まずには居られなくなる。

冷静になって全身を眺めると、とてもアナログなクルマである。流行りのインフォテイメントなどは最小限に、極上のエンジンと操縦性を供することに徹した潔さは、古さということでもあるが、今の時代にはむしろ嬉しい。不器用かもしれないが、アルファ・ロメオは、だからこそ愛おしい。

「自分が何者かを知っている」島下泰久から見た、いまのガイシャのここがスゴい!


今回の大試乗会で担当した5台は、どれも長い伝統を持つ車名のモデルばかりでした。必ずしも順風満帆なものばかりではなく、一旦は歴史が途絶えていたり、昔の名前を引っ張り出しての再登場もあったりと、その伝統や歴史の引き継ぎ方は様々。けれど、乗ればいずれも伝統の名に負けないものばかりで、改めて「いまのガイシャすごいな」と思わされたのでした。

それは要するに、自分が何者かちゃんと分かっているということでしょうか。電動化されようが、エンジン搭載位置が変わろうが、実はそんなことは大した問題ではなくて、その材料をうまく活かして、ちゃんとその名に相応しいクルマを作り出す……。

伝統を、ブランドを、守るとは、こういうことだと実感させるのが、いまのガイシャたち。電動化だ自動化だと揺れる今だからこそ、却ってそのスゴさを実感できるのも、また事実なのです。

文=島下泰久

(ENGINE2025年4月号)

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