2025.04.15

CARS

後輪駆動だけど雪道は大丈夫なのか? 雪の上越をボルボのEV、EX30で走ってみた これぞ北欧車の実力!

後輪駆動でも雪は大丈夫。ボルボEX30。

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雪景色が広がる冬の妙高高原で、ボルボの電気自動車、EX30を走らせてみた。一般的に後輪駆動のクルマは雪道には不向きとされるが、さてその結果は?

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日本列島が猛烈な寒波に見舞われた2月の中旬、ボルボ史上最も小さな電動SUV、EX30で雪降る上越を走らせた。当日、北陸新幹線の上越妙高駅に降り立ったのは正午過ぎ。その時点ではまだ晴れ間がのぞいていたのだが、駅前で昼食を済ませていざ駐車場に向かおうとした頃には、日差しも消え、柔らかな雪が降り始めていた。

淡い色合いの車体が、雪景色に溶け込んでいるかのような印象のボルボEX30。当日は大雪に見舞われたにもかかわらず、終始、安定した走りを見せてくれた。

筆者がこのクルマに乗るのは今回が初めてで、雪道をドライブするのも久々。しかも現在の日本仕様のEX30は、一般的に雪道には不向きとされる後輪駆動の仕様のみ用意されている。果たして自分にまともな運転ができるのか、実は多少の不安を抱えながら現地へと赴いたのである。

内装デザインもシンプルで気持ちがいい。中央に配置された液晶モニターは最初、階層のプログラムがよく分からず操作に戸惑ったが、半日のドライブを終える頃にはだいぶ慣れた。

駐車場に停められていたのは、“クラウドブルー”という淡い青色のクルマで、雪景色に溶け込むような品のよい色合いにまずは見とれる。再生素材を多用したインテリアのデザインは驚くほどミニマルで、物理スイッチがほとんどないばかりか、ステアリング・ホイール前のスピード・メーターもない。クルマの様々な操作、そして情報の確認は、ダッシュボードの中央に配置された縦型の液晶モニターで行う仕様になっていた。



出発時の外気温はマイナス3度。シートヒーターで温められた快適な運転席に身をゆだねながら、上越高田ICから上信越道に乗る。高速道路で慎重にアクセルペダルを踏みこんでみると、EVならではのスムーズな加速が気持ちいい。運転中の車内はシーンと静まり返っていて、無理に走らせている感じがまったくしない。まさに“静謐”とか“平和”といった言葉が似合うクルマなのだ。冬の上信越道はあちこちに穴ぼこやひび割れが目立っていたが、EX30はそんな悪路も軽くいなしながら、心穏やかに運転を楽しませてくれる。

リアまわりのデザインは美しくしい。

妙高高原ICを降りると、いよいよ雪深い一般道が待ち受けていた。雪の壁に挟まれた、狭い道を走ってみたが、挙動は終始安定していて、後輪駆動のクルマだからという危うさは微塵も感じさせない。FRのエンジン車であれば、後輪に荷重がかかりにくく、雪道では落ち着かないというイメージがあったが、EX30は前後の重量配分が47:53とリアの方が重く、後輪がしっかりとクルマを押し出してくれる感覚がある。

また今回のドライブで大いに役立ったのがワンペダル・ドライブだ。路面の状況が読みにくい雪道では、こまめなブレーキングを必要とするが、アクセルから足を離すだけで自然に減速してくれるワンペダル・ドライブを活用すれば、いちいち足を踏み換える必要がない。しかもEX30はアクセル・オフした際の回生ブレーキの効き方がとても緩やかなので、運転中に不快なGを感じることもない(EX30のクルマのワンペダル・ドライブはオンかオフの2種類しかない。この潔さもいい!)。ドライブの終盤、一度だけ一般道で、泥まじりの重い雪の上を曲がろうとした瞬間、ハンドルを取られそうになったが、その時も慌ててブレーキを踏む必要がなく、落ち着いて対処することができた。

後輪駆動のクルマは雪道には向いていない……。少なくともEX30に関しては、そんな心配は杞憂だったようだ。これも雪深い国で生まれた、北欧車ならではの実力なのだろう。

文=永野正雄(ENGINE編集部) 写真=阿部昌也

(ENGINE2025年5月号)
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