2025.04.03

CARS

トランプ関税爆弾!? 大統領の一挙手一投足に戦々恐々 日本の自動車メーカーの動きについて国沢光宏氏が考察する

アメリカとメキシコの国境にあるサンディエゴのOtay Mesa入国港では、アメリカ側に入ろうとするたくさんの日本車がトラックに積み込まれていた。Photo:Bloomberg

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世界を揺るがすトランプ大統領の関税発言。日本の自動車メーカーは今後、どのような決断を下すのか?

今や世界中がトランプ大統領の一挙手一投足で大揺れになっている。我が国の場合、日本国憲法の上位にあたる『日米地位協定』により、アメリカの地位は日本の上とされているため逆らえない。トランプ大統領の軽い一言も大企業が経営会議をしなければならない大事になってしまう。自動車業界で大きな問題になっているのが関税である。突如「カナダとメキシコからの輸入に対し25% の関税を掛ける」と言い出した。

強いアメリカ、儲けるアメリカに! Photo:Andrew Harnik

日本の自動車メーカーは31年前に発効した「NAFTA」(北米自由貿易協定)以降、エネルギーコストの低いカナダや、労働力が安いメキシコに部品を含む工場を作ってきた。2020年の「第一次トランプ政権」の時に「USMCA」という少し厳格な条件になったものの、今やトヨタ、ホンダ、日産、マツダなどはアメリカで販売しているクルマの多くをカナダやメキシコから持って行っている。部品はさらに広範だ。

カナダやメキシコに25%の輸入関税を掛けたら、アメリカでの販売価格を高くしなければならない。利幅の大きい大型車なら影響を最小限に出来るけれど、薄利多売の小型車が多い日本勢は競争力を失う。そうこうしているうち、日本からアメリカへ輸出している自動車についても25%の関税を掛けるぞ、というプレッシャーを掛けてきた。時系列としては「イマココ」となる。今後どうなるだろう?

参考になるのはカナダとメキシコの関税だ。トランプ大統領が「2月4日から関税掛けるぞ!」と言ったのは2月1日のこと。この時は3月まで猶予になった。そして3月4日に再び「関税掛けるぞ!」となったものの、4月2日からとした。「出そうで出ない」というヤツ。この間、何をやっているかといえば、日本勢と同じくカナダやメキシコに工場を持つGMやフォードのロビー活動である。当然ながら日本勢より太いパイプを持つ。

GMとフォードがどんな交渉をしているのか。メディアのバックドアで聞いてみたら「カナダやメキシコの工場をアメリカに移転するから関税を猶予して欲しい」ということらしい。トランプ大統領の意思は明確。「強いアメリカ」や「儲けるアメリカ」である。関税の意味は輸入を減らし、国内に雇用をもたらすこと。出来ればアメリカの工場で作った製品を輸出して儲けたい。つまり関税を掛けることで国内を豊かにしたいのだった。

関税を掛ければ、長い時間軸を考えたらアメリカに産業は戻る。ただ、それまでの間、国民は高いクルマを買わなければならない。インフレを招く。GMやフォードはそのあたりの事情を説明した上「巨額の投資をして速やかにアメリカに工場を移します。稼働を始めれば雇用も増えて国が豊かになります」というロビーをしているという。当然ながら日本の自動車メーカーもGMやフォードと組んでアピールしている。

翻って我が国はどうか? カナダやメキシコと同じく日本の工場もアメリカに移転する方向になるだろう。逆らったら閉め出される。現在アメリカへの輸出は170万台ほど。これだけの工場がアメリカに行く=日本の雇用を奪うことになる。自動車産業は完成車組み立て工場だけでなく、裾野の広い部品工場も含む。輸出比率が高いスバルやマツダの地元への影響たるや……。我が国の政府はことの深刻さを認識しているのだろうか?

文=国沢光宏

(ENGINE2025年5月号)

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