2025.06.12

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一日2回、恋人たちが橋の上で出会いキスを交わす詩的な機械式時計 ヴァン クリーフ&アーペルは、時を愉しむ夢の複雑時計だ!

ヴァン クリーフ&アーペル ミッドナイト ポン デ ザムルー ウォッチ/自動巻き。ホワイトゴールド、ケース直径42mm、30m防水。2085万6000円。

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エンジン時計委員が「願望」「欲望」優先で選んだ、「いつかは手に入れたい、時計好き憧れのマスターピース」。マスターピースとはつまり時代をこえて語り継がれる「傑作」「名作」「代表作」ということ。

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いつかは手に入れたい、いくら待ってでも買いたいと時計委員たちが心に秘める1本を披露する。エンジン時計委員の野上亜紀が選んだのはヴァン クリーフ&アーペルだ。

エンジン時計委員、野上亜紀 のイチオシはこれ!

ヴァン クリーフ&アーペル ミッドナイト ポン デ ザムルー ウォッチ




ポエティックコンプリケーションと呼ばれるロマンティックなテーマの複雑時計は、ヴァン・クリーフ&アーペルのスペシャリテ。

正午と深夜12時に恋人たちが橋の上で出会い、キスを交わすこのモデルはそのひとつ。

サイズアップして2020年に発表されたメンズモデルも、精巧なレトログラード機構のみならず、グリザイユエナメルによる美しい背景もまた秀逸だ。

自動巻き。ホワイトゴールド、ケース直径42mm、30m防水。2085万6000円。

“時”を愉しむというインスピレーション

お題をいただいた時の感想であるが、憧れの時計って何だろう。うーん、欲しい時計は山ほどあればこそ、憧れとなると、やはり心に残る特別な一本がいいな、と。そう思ったときにこの「ポン デ ザムルー」が浮かんだ。

その昔、詩の勉強をしていたこともあり“ポエティック”と聞くとそれだけでなになに? と無条件に反応してしまうところもある。しかし詩情というものは受け取る側によって捉え方が異なる非常に曖昧な概念であり、プロダクトの主軸として成立させるのは本当に難しいとも思うのだ。

しかしメゾンはレトログラードの動きに着目し、この難解なテーマを見事に具現化した。

キスをするまでの長い時間を待つか、あるいはオンデマンドでその瞬間を愉しむか。限られた数行に多くの物語を含む詩のように、この時計は小さな動きとともに、手にする者に「何かに浸る」余韻をもたらしてくれる。

やはり機械式時計って素晴らしい! と思わせる一本なのである。

文=野上亜紀

(ENGINE2025年5月号)

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