2025.06.14

LIFESTYLE

夫婦で意見が分かれた平家と二階建て それならばと、両方つくってしまった建築家の素晴らしいアイディアとは?

展望台か? それとも見張り台? 奇想天外な建物のなんと楽しそうなことか!

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アートもオーダー

家具だけでなく、調度品も魅力的だ。使わなくなったスケートボードを用いた自作のオブジェから始まって、南米やアフリカの民具など、異なるテイストのものを上手く組み合わせている。趣味は段々とエスカレートし、アーティストに作品制作を依頼することも。本格的にインテリアを楽しんでいる。



一方、Sさんがこだわった離れの2階は、四畳半ほどの何もない板張りの空間。塔をグルリと取り囲む階段で上り、躙り口のような小さな入口から入る塩梅だ。子供たちが家に居る時に友人が訪ねてきた際は、ここでゆっくりと会話を楽しむことができる。塔の1階はDJブースになっていて、そこでかかる音楽は、2階にもBGMとして流れる仕組み。この音は、母屋のスピーカーに流すことも可能だ。

作庭も、この家に越してから興味を持って行っている。トロピカルなスタイルに合った木を探し、自ら植える。芝生の庭はガーデン・パーティーにもってこい。年に一度ほどだが、友人たちを招いて宴を催している。去年はシェフを呼んでの、アマゾン料理の会だった。

25年所有している、友人がペイントしたVWタイプ2。

フォルクスワーゲン・タイプ2は、23歳の時に手に入れた人生最初のクルマだ。前席に3人座れるベンチシートのクルマだと知り、水色のモデルに乗り始める。故障が多く費用が嵩むので、売却を検討したことは何度も。これで手放そうと、音楽フェスで、友人アーティストによるライブ・ペインティングのショーに提供したところ、その出来の素晴らしさに感心して売却を思い直し、現在に至っている。

「ここまで来たら、一生持ち続けようと思っています。なんといっても、最大で8人乗れるんですから。大勢で出かけると楽しいですよ。仲間と静岡まで鰻を食べに行ったのは、良い思い出です」

タイプ2とは別に、日常の足としてワゴン車を使っているSさん。週末の楽しみのひとつが、家から片道3時間以内の、穴場的な美味しい店を訪れることだ。リサーチマニアで、家具や調度品だけでなく、知られざるグルメ店など、関心のある分野を徹底的に調査している。

家を建てたことで、音楽とクルマだけでなく、家具や調度品、庭にまでこだわりの世界が広がったSさん。今は近隣に完成する、新しい住宅が気になってしかたない。

文=ジョー スズキ(デザイン・プロデューサー) 写真=田村浩章

■人気連載「マイカー&マイハウス クルマと暮らす理想の住まいを求めて」の記事一覧を見る!

■建築家:植木幹也、1966年群馬県生まれ。大学卒業後はサラリーマンとして働き始めるが、建築家を目指して、地元の前橋市立工業短期大学で学び直す。卒業後は短大の教授で建築家の、松井淳の事務所を経て独立。スタジオシナプスを主宰し、群馬県を拠点に住宅やオフィス、店舗などを手掛けている。写真はリノベーションした高崎市の家。クルマはトヨタiQと、スキー用のスズキ・ジムニーの、小さいクルマの2台持ち。写真:鳥村鋼一

■最高にお洒落なルームツアー「東京上手」がYouTubeチャンネルで楽しめる!
雑誌『エンジン』の大人気企画「マイカー&マイハウス」の取材・コーディネートを担当しているデザイン・プロデューサーのジョースズキさんのYouTubeチャンネル「東京上手」がご覧いただけます。建築、インテリア、アートをはじめ、地方の工房や名跡、刺激的な新しい施設や展覧会など、ライフスタイルを豊にする新感覚の映像リポート。素敵な音楽と美しい映像で見るちょっとプレミアムなルームツアーは必見の価値あり。ぜひチャンネル登録を!


(ENGINE2025年6月号)

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