2025.05.11

CARS

ロールス・ロイス・ファントムの100年 世界最高峰の高級車の歩み【前篇】

ロイヤル・ファミリーも選んだロールス・ロイス・ファントムが誕生から100年を向かえた。

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1925年、シルバー・ゴーストこと40/50HPの後を受けて登場した「ロールス・ロイス・ファントム」が、今年で誕生100周年を迎える。

ロールス・ロイス・ファントムの一世紀

このアニバーサリーに際し、ロールス・ロイスは自社デザイナーたちが歴代モデルを描いたイラストを披露。

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これは、スピリット・オブ・エクスタシーを生み出したアーティストのチャールズ・サイクスが、1910年、ロールスのカタログのために手がけた6枚の油絵に着想を得たものだ。サイクスの作品は、オペラハウスや別荘など貴族的なシチュエーションばかりだったが、今回のイラストは100年間での顧客の多様化を表現している。



あわせて公開されたのが、歴史を彩った歴代ファントムの写真だ。まずはバーナード・ロー・モントゴメリーの1963年型ファントムIII。第二次世界大戦における指揮官として高名な彼は、厳格で禁欲的な人物として知られたが、自身の移動手段のみは快適さを求めた。



彼は2台のファントムIIIを所有した。1台はフリーストーン&ウェブがコーチビルドした1936年型で、Dデイことノルマンディー上陸作戦の前夜、ウィンストン・チャーチル首相やドワイト・D・アイゼンハワー連合国遠征軍最高司令官、さらには国王のジョージ6世を作戦会議へ送り届けたクルマだ。

戦後はH.J.ミュリナーが手がけた、1937年型を愛用。逆スラントのフロント・ウインドウが特徴的で、通常モデルより空気抵抗が15%低かったというそれは、カナダやオーストラリア、ニュージーランドの首相を送迎する際にも使われたという。

ロイヤル・ファミリーが選ぶ

ファントムは、世界各国の王室でも使われてきた。英国で特筆すべきは、ナーバーのマハラジャというコードネームを与えられた一台。1948年、当時のエリザベス王女との成婚直後のエディンバラ公爵はロールス・ロイスを訪ね、新設計の5.3リットル直8を積んだ試作車を試乗すると、これを積んだよりフォーマルなボディのクルマをオーダーした。



そうして開発されたナーバーのマハラジャは、ファントムIVの第1号車となった。このクルマは今なお現役で、ロイヤル・ウェディングなどでその姿を見ることができる。



その後、英国王室ではランドレー仕様のファントムIVをオーダー。さらに、VとVIが2台ずつ納車されている。エリザベス2世の即位25周年を祝し、英国の自動車業界から寄贈された1977年のシルバー・ジュビリー・ファントムVIは、長年にわたり女王陛下に仕えたクルマの1台に数えられる。

様々な歴史的瞬間に立ち会う

また、UAE建国の父と呼ばれるザーイド・ビン・スルターン・アール・ナヒヤーンのもとへ1966年に納められた、ミュリナー・パークウォードのコーチビルドによるファントムVも、歴史的瞬間に立ち会ったクルマだ。

このクルマは彼のアブダビ首長就任式に参列したほか、1971年のUAE公式設立式では、英国の初代駐UAE大使を会場へ送り届け、1979年に訪問したエリザベス2世の移動用にも供された。

このロールス・ロイス・ファントムにまつわる、さらなる著名人とのストーリーは後篇にて。

文=関 耕一郎

(ENGINE Webオリジナル)

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