992の後期型となった最新のポルシェ911。最大のトピックはGTSがハイブリッド・モデルになったこと。3.6リッターフラット6+モーターで圧倒的パフォーマンスを誇る。カレラ、カレラT、カレラ・カブリオレ、そしてGTS! 最新のポルシェ911にモータージャーナリストの高平高輝、荒井寿彦とエンジン編集部員の村上政、新井一樹、上田純一郎が箱根でイッキ乗り! その【前篇】として911カレラGTSを集中的に議論した。
大変革の時代に
村上 自動車業界が100年に一度の大変革の時期にあるというのは周知の事実だけれど、それはもちろん自動車業界の一員であるポルシェにとっても例外ではない。

新井 ちょっといま難しい状況になってますよね。
村上 中国の2024年の販売台数が対前年比マイナス28%で、すごい勢いで伸びて来たポルシェの販売台数に急ブレーキがかかった。
高平 僕に言わせれば、2002年にカイエンが出たぐらいからの伸びが急激すぎたんだと思う。2024年のタイカンの販売台数は前年の半分ぐらい。それが大きく影響しているよね。
上田 ポルシェはこれまでも決して順風満帆ではなかったです。
村上 そうそう。とりわけ90年代に911が存続できるかという危機があった。それはボクスターを出すことでなんとか延命した。それがはずみとなって4ドア・モデルのカイエンの登場へと繋がっていき、それ以来マカン、パナメーラ、タイカンとモデル・ラインナップを充実させていった。
高平 コロナ禍になっても世界全体の販売台数は30万台をずっと超えていた。2024年は中国がガックリ落ちたせいで、世界全体でもマイナス3%になった。
新井 ここが正念場っていう感じですよね。
荒井 今回の特集は「ポルシェ新時代、変わるものと変わらないもの。」というのがテーマなんだけど、新しい時代が来て地平が変わろうとしていることは間違いがない。で、そこにポルシェが出して来たのが一番アイコニックなモデルの911と販売的な大黒柱であるマカンということになる。
村上 ここでは新しく992型の後期となった911を取り上げるわけだけど、電動化の波のなかで911はどうするのか? というのはクルマ好きのなかで大注目の課題だった。