何かが噛んでいる
荒井 GTSのハイブリッド・システムは環境問題よりも走行性能の向上のために新たに生まれたものだとして、実際に乗ってどうでした?
村上 国際試乗会で乗ったときは正直良くわからなかった。速いけれど楽しいかどうかわからないというモヤモヤした印象だった。電気モーターが発進はもちろん常に何らかの動きをしている。何かがあいだに噛んでいる気がした。

荒井 僕はモーターが黒子に徹していると思った。メーターにモーター出力と回生のバー表示が出るんだけど、あれがなかったらモーター・アシストがわからなかったかも。
新井 僕はハイブリッド感があるなあと思った。踏めばパーン!と出るんだけど明らかにモーターの存在を感じる。ターボ・ラグもないようで、ある。

村上 ラグがないように何かが働いているという感じだよね。
新井 そうそう。首都高のトンネルのなかでオン&オフをやったんだけど、まずモーターの加速があってその間にターボが準備を始めて、それらが瞬時に切り替わる感じ。
荒井 僕は峠道で乗ったせいかもしれない。ほかに気にしないといけないことがあるからね。
村上 サーキットで乗ると、どこでも最高のパフォーマンスをクルマが勝手にやってくれる感じで、もうめちゃくちゃ速い。サーキットでアタマを取りたい人は絶対GTS。
高平 トルクカーブがグーッと上がっていくのではなくて、最初にモーターでドン!とイッキに立ち上がってそこから横へスライドするフラットトルクみたいな感じだよね。
村上 そうそう。カレラは回転数の上昇ともに盛り上がっていくドラマがあるでしょ。そういうものが好みの人はカレラがいい。
◆2379万円のGTSに対して素のカレラは1853万円。992後期型は前期型と比べてどうなのか? この続きは【後篇】で!
語る人=高平高輝+荒井寿彦+村上 政(ENGINE編集部)+新井一樹(ENGINE編集部)+上田純一郎(ENGINE編集部) まとめ=荒井寿彦 写真=望月浩彦

■ポルシェ911カレラ
駆動方式 リア縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高 4545×1850×1300mm
ホイールベース 2450mm
車両重量 1570kg
エンジン 直噴水平対向6気筒ターボ
排気量 2981cc
最高出力 394ps/6500rpm
最大トルク 450Nm/2000~5000rpm
変速機 8段デュアルクラッチ式自動MT
サスペンション(前) マクファーソン・ストラット/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ(前&後) 通気冷却式ディスク
タイヤ(前/後) 235/40ZR19 295/35ZR20
車両本体価格 1853万円
■ポルシェ911カレラGTS
駆動方式 前1モーターフロント輪駆動
全長×全幅×全高 4595×1850×1665mm
ホイールベース 2775mm
車両重量 1630kg
エンジン 直噴水平対向6気筒ターボ+モーター
排気量 3591cc
最高出力 541ps/6500rpm(システム計)
最大トルク 610Nm/2000~5500rpm(システム計)
変速機 8段デュアルクラッチ式自動MT
サスペンション(前) マクファーソン・ストラット/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ(前&後) 通気冷却式ディスク
タイヤ(前/後) 245/35ZR20 315/30ZR21
車両本体価格 2379万円
■ポルシェ911カレラT
駆動方式 前1モーターフロント輪駆動
全長×全幅×全高 4595×1850×1665mm
ホイールベース 2775mm
車両重量 1510kg
エンジン 直噴水平対向6気筒ターボ
排気量 2981cc
最高出力 394ps/6500rpm
最大トルク 450Nm/2000~5000rpm
変速機 6段MT
サスペンション(前) マクファーソン・ストラット/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ(前&後) 通気冷却式ディスク
タイヤ(前/後) 235/40ZR19 295/35ZR20
車両本体価格 2006万円
■ポルシェ911カレラ・カブリオレ
駆動方式 前1モーターフロント輪駆動
全長×全幅×全高 4595×1850×1665mm
ホイールベース 2775mm
車両重量 1620kg
エンジン 直噴水平対向6気筒ターボ
排気量 2981cc
最高出力 394ps/6500rpm
最大トルク 450Nm/2000~5000rpm
変速機 8段デュアルクラッチ式自動MT
サスペンション(前) マクファーソン・ストラット/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ(前&後) 通気冷却式ディスク
タイヤ(前/後) 235/40ZR19 295/35ZR20
車両本体価格 2110万円
(ENGINE2025年6月号)