2025.05.25

CARS

ドイツか? 中国か? 日本か? 全固体電池を征するのは誰だ!? BMWがi7で実証実験をスタート

ミュンヘンを走る全固体電池を搭載したBMW i7のテスト車両。

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BMWはソリッドパワー製全固体電池を搭載したi7をテスト車として、ドイツ・ミュンヘン周辺での実証実験を開始した。

全固体電池搭載のi7が走り出した

ソリッドパワーは、米コロラド州に拠点を構え、EV向けなどの全固体電池と関連技術の開発を行う企業だ。BMWとは2016年から共同開発を実施するほか、フォードなどとも協力関係にある。



今回i7に搭載された全固体電池は、角柱型セルの第5世代構造と、ソリッドパワーの全固体電池セルを統合するための先進的なモジュール・コンセプトを採用し、硫化物系電解質を用いる。



これからの数ヶ月のテストで、セル膨張の管理や作動圧力の制御、温度環境の調整などについて、重要な知見を得ることが期待されている。

とりわけ充放電時の体積変化は、液体電解質以上に破損へつながりやすいため、全固体電池実用化の大きな課題となっている。



2008年から、バッテリーセル技術のノウハウを着実に積み重ねてきたBMWは、2019年以降、それをドイツ・ミュンヘンのバッテリー・セル能力センター(BCCC)へ集約。今後はパルスドルフのセル製造能力センター(CMCC)で、ソリッドパワーの研究開発ライセンスに基づき、固体セルのプロトタイプ製造ラインを稼働させる計画だ。

全固体電池は、+/−両極の間を取り持つ電解質に、無機固体のみを使用。安全性やエネルギー密度、充電性能や寿命などで、液体電解質を用いる既存の電池を超える性能が期待される。次世代EVの主流となることが期待される技術で、日本でもトヨタやホンダ、日産が実用化に向けた研究を行っている。

BMWは実用化の具体的な目標時期などを明示していないが、今年はじめにEQSベースの実走プロトタイプを公開したメルセデス・ベンツとともに、全固体電池の開発競争で一歩リードしたと言えそうだ。

文=関 耕一郎

(ENGINE Webオリジナル)
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