2025.06.25

LIFESTYLE

【夏こそ寿司】魚の旨味を最大限に引き出すわざ 「鮨 門わき」の絶品の新江戸前寿司

料理は3万8500円のコースの一例。コハダは血抜きしているため5日寝かせても臭みが出ず、魚の香りとまろやかな脂の旨みを楽しめる。コースは前菜と小鉢3~4品、握り15カン前後、玉子焼きとお椀。

全ての画像を見る
外には見えない仕込みの技が深化し、多様化する江戸前鮨の世界。伝統を大切にしながらも独自の工夫で鮨の可能性を広げる新店のなかから、今回は「鮨 門わき」に注目したい。

「寝かせ」と「血抜き」

銀座「鮨 門わき」の大将・門脇賢寿氏のこだわりは、魚を適切なタイミングで寝かせ、旨味を最大限に引き出すこと。



「寝かせるからこそ鮮度の高い魚が必要」と語る門脇氏は、豊洲市場に加え、日本各地の漁港に足を運び、独自の仕入れルートを築いている。

なかでもよく話題に上るのが、鹿児島を拠点とし「究極の血抜き」の技を持つ魚の仕立て人。“ジョ兄”の通称で親しまれる彼の血抜きの技にヒントを得て、自分で血抜きをするようになったというコハダは、寝かせることでまろやかな脂が身に定着し、豊かな旨みを放つ。

クエの握り。“ジョ兄”が神経〆して血抜きしたクエは真空で冷やし込まれた状態で届き、それを大将の門脇賢寿氏が厨房で寝かせ、脂の甘みが感じられるように厚く切りつける。

クエも血抜きしたものを熟成させているため、さらりとした脂の甘みに驚かされる。

江戸前の定番、蛤はオープンから3年間継ぎ足し続ける煮汁で煮込み、一晩寝かせて味を含ませたもの。

昔ながらの煮蛤は醤油、砂糖、みりんを加えた蛤の煮汁に漬けて作られるが、門脇氏は調味料を加えないため、純粋な蛤の旨みを楽しむことができる。

数寄屋造りの店内は、白木のカウンター10席。2021年12月オープン。 ●東京都中央区銀座7-4-6 ACN銀座7ビルディング6F TEL.050-5385-4750 https://sushi-kadowaki.jp

酢飯は2種の赤酢と1種の白酢を独自にブレンドし、すべてのネタと調和するバランスを追求。焼き海苔も、直前に炭火で炙った生乾海苔を使い、風味と香ばしさを最大限に引き出している。

江戸前の伝統をリスペクトしつつ切磋琢磨する職人の鮨は、一分の隙もなく研ぎ澄まされた趣。江戸前鮨を次なる時代へと導く名店で、極上の鮨をぜひ。

文=小松めぐみ(フード・ライター) 写真=田村浩章

(ENGINE2025年7月号)
タグ:

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement