2025.06.27

CARS

ロールス・ロイスは後席に乗るクルマと言うのは過去の話だ! 史上最もパワフルなロールス、ブラック・バッジ・スペクターに試乗!!

ロールス・ロイス・ブラック・バッジ・スペクター。車両本体価格は5614万円。

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ロールス・ロイス初の電気自動車、スペクターにブラック・バッジ・モデルが登場した。659ps、1075Nmという超弩級のパワー&トルクを擁する走りとはどんなものなのか。サーキットも使った国際試乗会から、エンジン編集部のムラカミが報告する。

圧倒的な「オルターエゴ」

1906年に登場して、「ザ・ベスト・カー・イン・ザ・ワールド」を謳うこのブランドの礎を名実ともに築き上げた名車「シルヴァー・ゴースト」以来、ロールス・ロイスの車名には、目に見えないものや自然現象、もっと突き詰めて言えば「幽霊」やそれに類するものが多いのは周知の通りだ。「ゴースト」も「ファントム」も「レイス」も、広い意味ではすべて「幽霊」だが、厳密に言うとそれぞれのニュアンスはかなり違っているようだ。ゴーストがいわゆる成仏できない死者の「お化け」なら、ファントムは目に見えないものが現れる「幻影」、レイスは生きたまま幽体離脱した「生霊」といったところか。そして、中でも、もっともタチが悪いのが、死者が怒りをもって現れた「スペクター」(妖怪とか物の怪?)ということになるらしい。そういえば、映画『007』に登場した「スペクター」もまさに悪の権化のような敵役だった。

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で、今回のクルマは「ブラック・バッジ・スペクター」である。妖怪がさらに黒いバッジをつけているなんて、いかにもワル中のワルという感じの名前だけれど、ロールス・ロイスはブラック・バッジのことを、圧倒的な「オルターエゴ」を表すものだと言っている。また難しい英語が出てきた。オルターエゴとは「別人格」のことだという。ジキル博士の裏に隠れたハイド氏のようなものか。さらにロールス・ロイスの表現を借りれば、「大胆不敵で既成概念にとらわれないお客様のためにつくられた」のが、ブラック・バッジ・シリーズということになる。中でも、ロールス・ロイス史上もっともパワフルなモデルとなるこのブラック・バッジ・スペクターは、シリーズを象徴する1台と言ってもいいだろう。

なにしろ、このクルマの開発は、すでに別のブラック・バッジ・モデルを購入した顧客の承認を得て、その数十万マイルにもわたる走行データにアクセスし、それを分析して、実際の使用方法を完璧に理解し、検証するところから始まったというのだ。さらに、このモデルをいち早く手にすることを望む選ばれた顧客のために、秘密裏にごく僅かな台数の「シークレット・ブラック・バッジ・スペクター」を製造し、それを事前に見せて、圧倒的な支持を得た上で世に出すことになったというのだからビックリである。果たして、これまでにここまで周到な準備を重ねて登場したクルマなど、この世にあっただろうか。

随所にブラック・バッジ・シリーズのアイコンであるインフィニティ・シンボルが取り入れられたインテリア。

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