2025.06.12

LIFESTYLE

世界で最も有名な怪獣が現代アートになった!『ゴジラ生誕70周年記念 ゴジラ・THE・アート展』は6月29日まで!

『ゴジラ生誕70周年記念 ゴジラ・THE・アート展』は6月29日まで森アーツセンターギャラリーで開催中

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1954年の東宝映画に登場して以降、世界中で親しまれ続けているゴジラ。この怪獣の魅力に迫る現代アートの展覧会が開催されている。

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知っている日本人を挙げてください……。今から35年ほど前のことだが、アメリカ人を対象にしたあるアンケート調査の結果に苦笑したことがある。1位は確かオノ・ヨーコさんだったと記憶しているが、かなり上位の方にゴジラの名前を見つけたからだ(もちろん松井秀喜氏のことではない)。

「the One ―呉爾羅(仮設のモニュメント6)」小谷元彦 TM&(C)TOHO CO.,LTD.

70年も前に生まれた日本の怪獣がこれだけの長きにわたり、世界中で愛され続けていること自体が驚きだが、その理由を明確に説明できる人は少ないのではないか? その答えに対するヒントが森アーツセンターギャラリー(東京・六本木)で開催中の『ゴジラ生誕70周年記念 ゴジラ・THE・アート展』の中にあるような気がした。

神のような存在

この展覧会では国内外の様々なアーティストがゴジラに向き合い、考え、そして生み出した新作の数々が展示されている。作品の形態は多彩で、横尾忠則によるパネルを組み合わせた作品もあれば、小谷元彦による木彫りのゴジラや風間サチコの木版画もある。

一方で、ゴジラそのものが描かれていないゴジラ・アートも多数あった。どこか不穏な空気が漂う川田喜久治による日常や都市の写真、マーシャル諸島沖で貨物船が真っ二つに割れたことを伝える青柳菜摘によるフェイクなニュース映像、そしてスウェーデンのアーティスト、東京ビルドが手掛けたミニチュアの建物などだ。

1960年代から70年代にかけては一時期、人類の味方的な描かれ方もしたゴジラだが、もともとは人間による水爆実験によって目覚めた古代生物である。海から突如として現れ、街を粉々に破壊し、そしてまた海へと戻っていく。その存在は人間が犯した愚行に対する報いのようでもあり、自然の猛威のごとく、我々が抗うことのできない神のようでもある。

一体、ゴジラとは何なのか? この世界で最も有名な怪獣は、これからも謎のままだ。それゆえに世界中の人々が、今回のアーティストたちのように、想像力を掻き立てられながら、ゴジラに魅了され続けていくのだろう。もちろん伊福部昭の有名なテーマ曲をバックに、雄叫びをあげるゴジラの姿は最高にクールでかっこいい。本展を見ながら、各々のゴジラ像を思い描いてみたい。

文=永野正雄(ENGINE編集部)

『ゴジラ生誕70周年記念 ゴジラ・THE・アート展』は6月29日まで森アーツセンターギャラリーで開催中。詳細はホームページまで。https://godzillatheart.com/exhibition

本展には絵画、彫刻、写真、動画など、国内外の第一線で活躍するアーティストたちによる様々なジャンルの作品が集結。また東宝映像美術によるゴジラとアートが融合したジオラマや、特別映像を楽しむこともできる。また国内外のアーティストたちによる新作のほか、2023年から渋谷PARCOで4回にわたり開催された『GODZILLA THE ART by PARCO』で紹介された一部の作品も展示する。

(ENGINE2025年7月号)

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