2025.11.03

CARS

ミニが成功した秘密って何だと思いますか? 新型ミニとオリジナル・ミニ 並べてわかった人気の理由とは

ミニ・クーパーSE(2024)とローバー・ミニ・クーパー1.3i(1992)、こんなに違うのにこんなに似てた!

全ての画像を見る

新しいミニのカタチ

しかしながら、それをもってミニ・クーパーSEを単なるリメイクの成功例と評するのは正しくない。

advertisement


2001年に登場した新世代のミニが、それまでの超小型モビリティから、プレミアム・コンパクトカーという新たなジャンルを作り出すことに成功したように、ミニはオリジナル・ミニのDNAを大切に守りながら、常に時代の一歩先を目指して進化を続けてきた。

全長×全幅×全高=3850×1755×1460mmというサイズは先代とほぼ同じ。台形のサイドビュー、サイドのキャラクターライン、円形のヘッドライト、台形のグリルなど、オリジナル・デザインを記号として採り入れている。

そして電動化という新たなフェーズに入った今、ミニ・クーパーSEを見ていると、新たなステップに踏み出すタイミングを図っているように感じる。

過去3世代に比べて、よりシンプルになった各所の「記号化」は、その象徴的な部分だ。確かにBEVとなりラジエター・グリルが不要となったミニ・クーパーSEにとって、フロントグリルは「ミニ」であることを示す「縁」以外の意味はもっていない。またテールライトを含むリアまわりに至っては、オリジナル・デザインに依らず、ユニオンジャックをモチーフとしたものへと大きくその姿を変えている。

一方、4代目ミニで大きく変わったのがリアビューで、ユニオンジャックのような楔形のラインで構成されるようになった。

そのハレーションを抑えるべく、敢えて室内に丸型センターディスプレイ、センターのスイッチパネルを残してミニらしさを演出しているのかもしれないが、ミニというブランドイメージが完全に確立され、クルマそのものの定義や在り方が大きく変わろうとしている今こそは、過去からの脱皮を図る好機といえるのではないだろうか?

トレイのような横基調のインパネの中央に丸型の大型ディスプレイが備わるコクピットは、1959年デビューのオリジナル・ミニがモチーフ。

例えば4世代目ミニに先駆けて2023年にデビューしたミニ・カントリーマンや、昨年登場したミニ・エースマンが、ライトやボディに直線基調のデザインを大胆に取り入れて、敢えてミニっぽさを薄めてきたのも、そうした意思の表れであるようにも感じられる。

それをミニからの「卒業」と捉えるか「進化」と捉えるかは人それぞれだが、こうした新たなアプローチが、自動車に限らず様々なプロダクトのリメイク・デザインにとって、ひとつの試金石になるのは想像に難くない。

そして20年以上ローバー・ミニ・クーパーに乗り続けてきたオーナーの立場で言えば、そうした「ブレークスルー」こそが、ミニらしさであり、真骨頂なのだと思う。

文=藤原よしお 写真=佐藤亮太

(ENGINE2025年7月号)

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement

advertisement

PICK UP

advertisement