日産が海外で展開する高級車ブランドのインフィニティが、ミドルクラスSUVのQX60を改良。2026年モデルとしてアメリカなどで販売する。
イメージは静謐な竹林?
QX60は、中大型FF用プラットフォームがベースで、車体サイズは全長×全幅×全高が5032mm×2184(ミラー含む)mm×1770mm、ホイールベースが2900mm(すべてインチからの換算)。

車格的にはレクサスRXのライバルで、日産ブランドで販売される兄弟車は、かつてのテラノの系譜に連なるパスファインダーだ。現行モデルは2代目で、2021年に発売された。

エクステリアは、上位のQX80で導入された最新のデザイン言語である『アーティストリー・イン・モーション』に則り、静謐な竹林にインスピレーションを得たグリルや、新たなグラフィックのデイタイム・ライト、イルミネーションを仕込んだ立体的なエンブレムなどを採用。バンパーも変更され、グリルが浮いて見えるような形状となった。

サイドは、車体をより長く、水平基調に見せるロワー・ドア・フィニッシャーを装備。リアは塗装範囲をより低い位置まで拡大し、視覚的なロー&ワイド感を強めた。4WD車の車名ロゴに続くエンブレムは、日本的な演出としてハンコをイメージしてデザインされている。
エンジンは、前年モデルで3.5リットルV型6気筒から換装された2リットル直列4気筒の可変圧縮比ターボを継続採用。最高出力/最大トルクは272ps/388Nmを発生し、9段となるATとの組み合わせとなる。駆動方式は、FFと4WDを設定する。
エントリー・グレードの“ピュア”は5万1200ドル(約748万円)、その上位の“リュクス”は5万6800ドル(約822万円)で、いずれも4WDは2000ドル(約29万円)高。
“リュクス”は“ピュア”の装備に、新規採用の3Dアラウンドビュー・モニターをはじめ、プロパイロットアシスト1.1、前席冷却機能や後席ヒーター、クリプシュ製16スピーカー・オーディオなどが加わる。キャビンは7シーターだ。

新規グレードの“スポーツ”は6万1700ドル(約891万円)で、専用デザインのグリルやグロス・ブラックのホイールなどでスポーティさを演出。最上位の“オートグラフ”は6万6150ドル(約955万円)で、クリプシュ製オーディオは20スピーカー、インテリアにはセミアニリン・レザーを用いるなど豪華装備を揃える。どちらも4WDで6人乗り仕様のみを設定する。


スタイリングや装備、メカニズムなど、なかなか見るべき点の多い高級SUVであるQX60。左ハンドルのみの生産ではあるが、先代モデルは逆輸入車を日本の街で見かけることもあり、日本仕様を用意して正規販売されれば少なからぬニーズはありそうだ。
ご承知のとおり、インフィニティは日本展開を見送り続けているが、イメージ・チェンジと利益率向上を共に図るにはプレミアム・ブランド導入も効果的な策かもしれない。

それが無理だとしても、日産には魅力的な海外展開車種がけっこうあるのだから、国内導入をもっと前向きに検討してもらいたい。それこそ「やっちゃえ」ばいいのに、と思うのだが。
文=関 耕一郎
(ENGINE Webオリジナル)