2025.07.04

CARS

最大航続距離は1200km! 新世代e-パワー搭載の日産キャシュカイ現る 日本では次期エルグランドに搭載予定

キラキラ系の日産顔になったキャシュカイの新世代e-パワー搭載車が追加に。

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日産が、キャシュカイの新世代e-パワー搭載車を発表した。欧州で2025年9月に発売を予定している、CセグメントSUVの改良モデルだ。

次世代エルグランドに載る3世代“e-パワー”ってどう変わった?


キャシュカイは2006年にデビューしたクロスオーバーSUVで、日本ではデュアリスとして2013年まで販売された。以降はこのセグメントの需要が大きい欧州に主眼を置いた海外専売車種となり、現行モデルは2021年に登場した3代目。2022年には欧州初のe-パワーが設定され、2024年にデザイン変更を含むマイナーチェンジを実施している。



2025年の秋に投入されるのは、この改良型に第3世代e-パワーを採用したモデルだ。電動パワートレインは“5イン1”と呼ばれ、主要部品であるモーター/発電機/インバーター/減速機/増速機を、軽量でコンパクトなケース内に統合している。



バッテリー容量は従来同様の2.1kWhだが、モーターの最高出力は151kW(205ps)へ11kW (15ps)アップ。さらにユニットの高剛性化や軸構造の最適化で、走行時の音と振動を大幅に低減し、第2世代より最大5.6dB改善した。

エンジンは、e-パワー専用に完全新設計した1.5リットル3気筒ターボ。燃焼室内に強力なタンブル流を起こし、点火のための放電流の変動を低減させる独自のSTARC燃焼コンセプトにより、燃焼を安定化し、熱効率を42%に高めた。



また大型ターボの採用や最終減速比の変更で、高速走行時の回転数を約200rpm下げ、低騒音化にも寄与。可変圧縮比が不要となったことや、エンジン・オイルを0W-16と低粘度化したことで、内部抵抗も低減した。オイル交換サイクルも1.5万kmから2万kmへ延長されており、維持コストも抑えられることになる。

燃費は、ドイツ自動車連盟(ADAC)の基準に基づく独立試験で、実走行条件では既存車比最大16%、高速道路では14%の向上を実現。CO2排出量は12%削減、最大航続距離はセグメントでトップクラスの1200kmに達する。



e-パワーはご存知のとおり、エンジンは発電専用で、駆動は電力のみで行うシリーズ・ハイブリッドだ。強力で反応のいい加速とBEVに近い静粛性、回生ブレーキによる高効率化を可能にし、技術的にも、ユーザーの体験においても、BEV移行への橋渡しとなりうるメカニズムと日産では位置付けている。

キャシュカイは、欧州に続きアフリカやオセアニアへも投入を予定している。日本でもニーズはありそうだが、オフロード色の薄いクロスオーバーSUVとはいえ、車体サイズは全長×全服×全高が4425×1835×1625mm、ホイールベース2665mmというサイズでは、エクストレイル(4660×1840×1720/2705mm)との棲み分けが難しそうだ。

しかも、生産はイギリス・サンダーランド工場となると、N7セダンなどの中国製BEVを日本へ持ってくるよりコスト的にも厳しいだろう。



なお、日本市場における第3世代e-パワーは、まず2026年度に発売する次期エルグランドへの搭載が計画されている。

文=関 耕一郎

(ENGINE Webオリジナル)
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