ベントレーが、コンセプト・カーの「EXP15」を発表した。フルサイズのエクステリア・モデルと、VRによるインテリアを組み合わせた、ブランド初の電気自動車のヒントだという。
あくまでもコンセプトだが……
全長5mのエクステリアは、1930年のスピードシックス・ガーニー・ナッティング・スポーツマン・クーペに着想を得た。これは当時、カンヌを出発した高級列車のル・トラン・ブルーと速さを競い、先にロンドンへ到着したという、ブルートレイン・レースとして知られる逸話から“ブルートレイン”の愛称を持つクルマだ。

EXP15とブルートレインの両者のサイド・ビューを上下に並べたデザイン・スケッチには、ベントレーのエクステリア・デザイナーのYASU JORDAN SATO氏の名が記されていた。

そしてアップライトなフロントまわりやグリル、長いボンネット、キャビンとボディが1:2となる上下比、リアエンドの盾のように広くクリーンな面といった、ベントレーのデザイン原則がEXP15には盛り込まれている。
電気自動車では機能的に不要なグリルも、ダイヤモンド・キルティングのモチーフがLEDで立体的に浮かぶ、ブランドの象徴的な要素として継承される。
ボディ・カラーのパラス・ゴールドは、スピードシックスのグリルやドアハンドルに用いたニッケルをイメージ。液体金属のような質感を表現する超極薄のアルミ顔料で、レーダー機器に影響を与えない特性を活かしてボディ全面にまで塗装を施せるという。

助手席側にはコーチドアと上方向に開くルーフが設置され、インテリアはかつての“ブルートレイン”にちなむ3座レイアウトを採用。ダッシュボードは、ベントレーらしいウイング形状だ。

中央部はローテーティング・ダッシュボードの発想を進化させ、電源を切ればウッドパネルに見えるが、オンにすれば全体がデジタル・インターフェイスへ姿を変える。複数の細かいパーツが光や動きで、進行方向やバッテリー残量などを示す内部の装置は、メカニカル・マーベルと呼ばれる。

運転席側は前後の二脚だが、助手席側は一脚のみで、45度回転するシートが、前席にも後席にもなるスライド機構を備える。そのため、助手席スペースは荷室として使うことも可能だ。
内装には、1903年創業という英国のゲインズバラ社が手掛けるシルクのジャカード織のような伝統のマテリアルと、金属メッシュをアクリルで封入したアクリル・クチュールのような新素材が共存する。
リア・ハッチを開けると、コンパクトなピクニック・シートが二座設置されており、センター・コンソールのランプや冷蔵庫と合わせてパーティ・スペースとして使用できる。

このEXP15はあくまでもデザイン・コンセプトで、パワートレインについては完全電動の四輪駆動であることしか言及されていない。そのほかのメカニズムについても、ルーフ・スポイラーやディフューザーがアクティブ・エアロであること程度しか説明はない。
しかも、ベントレー初の量産電気自動車は、EXP15とはコンセプトが異なる小型のモデルだという。

それでも、ベントレーはパワーユニットが電気とモーターになっても、あからさまな空力重視の流線型デザインへ舵を切ることなく、これまでどおりのアップライトで重厚感ある路線を維持するのであろうことが、このコンセプト・カーからはうかがい知れる。
まずは、2026年に公開予定のBEV第一弾がどのようなものになるのか、お手並み拝見といったところだ。
文=関 耕一郎
(ENGINE Webオリジナル)